極振り夫婦のVRMMO生活

峯 こうめい

極振り夫婦の初フレンド

-オープンチャットにて-

匿名1
「今回のイベント出た人、誰か気になるプレイヤーいた?」

匿名2
「俺Lv三十二だけど、俺が出たレベル範囲のところには気になる人はいなかったな……。他のレベルは?」

クロム
「俺Lv十八だけど、ヤベェ奴いた。俺魔法使いやってんだけど、その相手馬鹿みたいに速くて忍者みたいな格好してた。で、実際忍法使ってたw
俺ら瞬殺よw」

匿名3
「いや、忍法ってw
やってるゲーム違うだろw」

クロム
「いやいや、同じゲームだからw」

カムイ
「俺はLv二十二だけど、こっちもヤバイ奴いたよw
ス○イリーの仮面かぶってる女。動きが人間やめてたw」

匿名4
「今回のイベント、全然有名じゃないけど強い奴多いなw
まあ、今話で出てきた奴らの今後に期待だな」

匿名1
「そだねー」

匿名2
「そだねー」

クロム
「そだねー(便乗)」

匿名3
「そだねー」

カムイ
「そだねー」



 莉乃と俺はイベントが終わった数日後に、またログインしていた。
 まさか自分が、ゲームにハマるとは思わなかったな……。ゲームなんて普段全くやらなかったのに……。

「裕樹君、この前のイベント楽しかったね!」

「そうだな、次も絶対参加しような!」
 そう言うと、莉乃は笑顔で頷いた。
 俺達は今、お金集めのためにまた例の森に向かっている。スキル集めの時に回復薬を買いすぎて、お互い金がスッカラカンだからだ。
 他愛のない話をしていると、後ろから大声が聞こえた。
 後ろを振り向いてみると、大勢のプレイヤーに女性が追いかけられていた。その女性は背後のプレイヤーたちを見ているため、俺には気付いていない。勿論、俺に向かって真っ直ぐ走っていることも……。

「…………って、裕樹君!じっと見てる場合じゃないよ!早く避けないと!」

 そ、そうだ!早く避けないと!
 だが、そう思った瞬間に俺は女性と激突した。

「ご、ごめんなさい!じゃあ、私追われてるからさようなら!」
 女性は早口でそう言った後、走り出した。が、すぐに止まって戻ってきた。

「あー!あなたたち!私、ずっと探してたのよ!」
 俺と莉乃を交互に指差して言う。すると、女性を追っていたプレイヤーたちが追いつく。

「お、俺たちを探していたってどういうことですか?え、えっとどこかで会ったことありますか?」

「いやー、無い無い!会ったことなんて一度も無いよ!だけどね、探してたの!あなたたちを!」

「あのー、ところであなた、誰ですか?」
 莉乃がそう言うと、女性を追っていたプレイヤーたちの先頭にいる男が有り得ないという顔をして話し出した。

「この方は、かの有名なトッププレイヤー、ミリア様だ!トレンドマークの茶髪のポニーテール、小さく、それでいて整っている美しい顔!そして、鍛え上げられたナイスボディに引き締まった、長い脚!そしてそして、誰にでも優しく、明るく接する女神のような性格!そしてそしてそして、圧倒的なプレイスキルと身体能力!知らないのか!?これだから初心者プレイヤーは……」

「そ、そうだったんですか……。それで、俺たちを探していたってどう言うことなんですか?」

「よくぞ聞いてくれました!まず、あなたたちが本当に探してた二人なのかを確かめたいんだけど……。あなたたち、まだ革装備のときアイアンゴーレムを倒したことある?」

「は、はい。助けを呼んでいる男の人がいたので、私と裕樹君で助けました」
 俺は役に立てなかったので、あえて莉乃に答えてもらった。

「やっぱり、話で言ってた二人だ!あのね、その時あなたたちに助けてもらった男の人!その人がオープンチャットにヤバイ奴に会った!みたいな感じで、二人のことを話してたの!それをたまたま見た私は、あなたたちを探し出してフレンドになって、パーティーを組みたいなって!ずーっとずーっと探してたんだよ!」

「いやー、やっと見つかったよー」

「あ、あのオープンチャットって何ですか?」
 俺はオープンチャットなんて物があるなんて、聞いたことが無い。

「ああ、オープンチャットっていうのはね、このゲームにあるチャットサービスの種類の一つだよ!チャットには、フレンドと一対一で話すフレンドチャットと、ゲームの公式ホームページからと、このゲームからの二つから見たり話したりできるオープンチャットっていう二つの種類のチャットがあるの!こんど覗いてみなよ!きっと面白いよ!」

 そんな物があるなんて、全く知らなかった……。自分たちがそんなところで話題になっているというのも勿論知らなかった……。てか、トッププレイヤーに探されてたなんて……。意外と、もう結構な有名人だったりして、俺たち!

「いや、でもパーティーなんて……。こんな、まだまだ素人の俺たちと組んでも」

「いいの!私はあなたたちとパーティーを組んで、一緒にこのゲームをやりたいの!だって、あなたたちとやれたら、今より凄く楽しくできる気がするから!」

 なんだろう、なんか、告白されてる気分だ……。この感覚、凄く、良い!
 …………おっと、なんか言い方が変態みたいになってしまっている!
 ……とにかく、トッププレイヤーが仲間になりたいとこれだけ本気で言ってくれているのだ。断る理由が無い。

「俺はミリアさんとパーティーを組みたい。莉乃はどうだ?」

「私も!どうせいつか仲間を増やしたいと思ってたし!せっかくトッププレイヤーが仲間になってくれるって言ってるのに、断る理由なんて無いよ!」

 莉乃がいつか仲間を増やしたいと思ってたなんて、気づかなかった……。
 でも、俺もそう思っていた。いつか、仲間を増やしたら楽しいだろうな、と。

「じゃあ、これからよろしくね!」
 ミリアはそう言って、手を差し出した。俺と莉乃は、順番に握手をした。

「これからよろしくお願いします!ミリアさん!」
 俺と莉乃は軽く頭を下げた。

「私のことは呼び捨てで、敬語じゃなくていいよ!今からもう、友達であり、同時に仲間なんだから!」

「ところで、二人の名前は?」

「俺は裕樹、こっちは嫁の莉乃だ」

「てことは、二人、夫婦なの!?いやー、お似合いだとは思ってたけど、まさかすでに夫婦だとは思わなかったよ!」
 
「それはそうと……大丈夫なんですか?」
  俺はミリアに耳打ちした。俺が言ってるのは、ミリアを追いかけていたファンたちのことだ。

「ああー、大丈夫大丈夫!ファンを帰らせるのは、もう慣れてるから!」
 グッドをしながらそう言い、ミリアはファンたちのところに笑顔で駆け寄っていった。
 しばらくすると、ファンたちは離れていった。

「ふぅー。ファンがそこら中にいて大変だよー」

「あ!あれミリアじゃね!?」
 遠くから、また大勢の人が近づいてくる。

「今日はファンが多いな……。私はログアウトするね!また今度、一緒にダンジョンとか行こうね!ユウキ、リノ、バイバイ!」
 ミリアはそう言って、ログアウトしてしまった。

「明るくて、楽しい人だったね!裕樹君」

「そうだな……。でもまさか、トッププレイヤーに探されてたなんて……」

「ほんと!驚きだよね!私たちもそのうち、有名人になっちゃったりして!」

「そうだな!そうなれるよう、もっと強くなろうな、莉乃!」

「うん!」
 俺達はその後、お金集めという目的を忘れ、ログアウトした。

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