極振り夫婦のVRMMO生活

峯 こうめい

極振り夫婦の初イベント

「はぁはぁ…………莉乃、そろそろステータスの見せ合いをしようか」

「うん、そうだね。そろそろ、疲れてきたし……」
 森から街に戻ってきた俺たちは、お互いパネルを表示する。

《名前    ユウキ》
《Lv  15》

《HP  250》
《MP  125》

《ATK  0(+7)》
《DEF  0(+6)》
《MAT  0》
《MDE  0(+6)》
《AGI  265(+205)》
《EVA  132(+60)》

《装備》
《忍ノ上衣》
《忍ノ袴》
《忍ノ足袋》
《忍ノ鞋》

《所持スキル》
《回避達人》 《忍》 《毒無効》
《炎耐性中》 《潜水初心者》
《無限スタミナ》 《HPドレイン中》
《爆破耐性小》 《スタミナ減らし》
《AGI特化》 《空中移動》
《自然回復小》


《名前    リノ》
《Lv  17》

《HP  270》
《MP  135》

《ATK  285(+32)》
《DEF  0(+5)》
《MAT  0》
《MAT  0》
《MDE  0》
《AGI  0》
《EVA  0》

《装備》
《金薔薇ノ鎧》
《金薔薇ノ大剣》

《所持スキル》
《毒殺のプロ》 《毒無効》
《ATK特化》 《潜水名人》
《炎耐性中》 《爆破耐性小》
《気配察知》 《気配消し》 《爆破》
《渾身の一撃》 《自然回復小》
《処刑人》 

「おぉー!大分スキル多くなったね!レベルも上がったし!」

「そうだな!…………でも、なかなか大変だったな……」
 本当はもっと習得したのだが、攻撃系の魔法だったためスキルを破棄した。MATがゼロのため、持っていても意味がないからだ。

「そうだね……疲れたし、今日はもうログアウトしよっか!」
 俺は頷いた。



 そして数日後、仕事が休みの日に、また俺たちはログインしていた。

「裕樹君裕樹君!大変だよ!」

「ど、どうしたんだ?」

「今日の夕方に、第一回Sword Magic Onlineバトルロワイヤルが開催されるんだよ!初のイベントだよ!イベント!ぜっっっっったいに参加しないと!」

「そ、そうなのか…………で、参加条件とかは満たしてるのか?」

「レベル十以上で、二人チームが参加条件だよ!」

「おお!それなら、折角だから参加するか!」

「そうと決まれば、一位目指して頑張ろうね!」

「おー!」


 そして夕方、いつもの街が八つのドーム型のスタジアムに変わっていた。それぞれレベル別の会場になっていて、俺達はLv16人から20までの会場に入った。

「さあ始まりました!第一回Sword Magic Onlineバトルロワイヤル!このゲームが発売して一ヶ月!初のイベントです!」

「では早速、ルールを説明します!一時間、このスタジアムの中で生き延びるだけ!……ですが、ただ生き延びるだけでは表彰台には乗れません!敵に与えたダメージ、残りHP、そして倒した敵の数、この三つが順位を決めることになります!」

「では、五分後に開始ですので今の内にスタジアム内の構造を見てみたり、作戦会議をしてください!」

「裕樹君、私たちの作戦は?」

「まず、このスタジアムの構造を見てくる。俺のAGIなら、把握してから作戦を説明する時間はあると思う」

「わかった!いってらっしゃい!」
 俺は頷き、全力で走り出す。


 3分後、俺は莉乃の元へ戻ってきた。

「まず、今俺たちがいるこの広場はスタジアムの中心だ。そして、あのデカイモニターを見たとき右にくるのが、草原、左が森、前が低めの山岳、後ろが街だ。それぞれのエリアは森で区切られている。だから、この広場からそれぞれのエリアに移動するには数十秒で出られるような森を抜けなければならない」

「それで、作戦だが……まずこの時間のうちに森エリアに移動する。そのあと、俺が森エリアにいる他の参加者を探しに行く。莉乃はその間待機していてくれ。俺は他の参加者を見つけたら、お前が待機してる場所まで誘導する」

「でも、裕樹君が居ない時に敵にあったらどうする?」

「莉乃、お前スキルで気配消し持ってるだろ?俺が居ない間は、草むらで気配を消しておくんだ」

「OK!じゃあ、早く森エリアに行こうか!」

「ああ、頑張ろうな!」

 そして、俺たちが森エリアへの移動が終わった瞬間開始の合図が鳴った。俺は、スペシャルスキル、忍を発動した。そして、走り出す。
 おお!こんな速く走ったのは生まれて初めてだ!本当に忍者になったみたいに身軽で、楽しいぞ、これは!

「さて、獲物はどこかな……」
 しばらく走ると、前方に魔法使いの二人組が見えた。
 よし、恨みはないがあの二人にしよう。

「忍法・影移動!」
 俺はそう言い、自分の影に潜った。そして、実物が無くなり影だけとなった俺は、魔法使いの二人組の前に移動し、影から出る。

「やあ、こんにちは」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
 よほど驚いたのだろう。あまりの大声に耳をふさぐ。
 だがすぐに戦闘態勢になった。俺は一旦距離を取る。
 魔法使いか、ここで二人まとめて倒すか。莉乃はAGIがゼロだから、魔法使い相手だと近づくことができない。ならば、俺がやるしかない。

「忍法・影つかみ!」
 手を前に出し、拳にすると二人は身動きが取れなくなった。この忍法は、相手の影をつかみ動けなくするというものだ。二人とも、大分戸惑っている。

「忍法・影燃やし!」
 前に出した拳に息を思い切り吹きかけると、二人の影が燃え始めた。
 やがて、二人のHPバーが空になり、消滅した。これで敵を倒した数はニになった。
 忍法の強みは、魔法のように使用回数制限が無いことだけではなく、MATがゼロでも固定ダメージ、または継続ダメージだからだ。
 マジで強い!マジでカッコイイ!忍者、最高!
 そして俺は、また走り出す。

「お、見つけたぞ。今度は剣士と魔法使いか……。よし、莉乃のところにおびき寄せるか」
 俺はさっきと同じように影移動を使う。そして、わざと自分の影の存在に気付かせ追いかけさせる。誰でも、影だけが地面を這っていたら気になるだろう。うまく莉乃のところに誘導できたら、消えてもらおう。

「莉乃!二人連れてきたぞ!剣士の方をやってくれ!」
 影移動を解除し、叫ぶと草むらから莉乃が現れた。
 すると二人組の剣士の方が、舌打ちをした。うまく誘導されて、イライラしているのだろう。
 剣士は莉乃の方に走っていく。莉乃は何とか突進攻撃を避ける。だがすぐに次の攻撃が来た。莉乃はまた避ける。
 さて、向こうは莉乃に任せて、俺は魔法使いをやるか。

「忍法・火ノ檻!」
 俺がそう言うと、魔法使いは火柱に囲まれた。
 もう逃げられないぞ。

「忍法・大炎上!」
 すると、魔法使いを囲んでいる火柱が、まるで油を注いだかのように燃え上がった。
 火柱の間から見えるHPバーが空になったのを見て、俺は忍法を解除した。
 莉乃の方を見てみると、まだ戦闘中だった。だが、莉乃はAGIが敵より劣っているため、攻撃をギリギリで避けることしかできない。
 あんまり二対一はやりたくなかったんだが、仕方がない。

「忍法・影つかみ!」
 俺は、剣士の影をつかみ身動きを取れなくした。そして、莉乃が思い切り剣を下から上へ振った。剣士は遥か遠くに吹き飛ばされる。
 すまない。二対一なんか本当はやりたくなかったんだ……。だから、通報だけはしないでくれ。
 俺は心の中でそう言った。

「裕樹君!裕樹君が居ない間、六人も倒したよ!凄いでしょ!」

「おお!凄いな、さすが莉乃だ!」
 俺が褒めると、莉乃は嬉しそうに笑った。



 一時間がたち、イベントは終わった。ついに結果発表だ。

「皆さん!お疲れ様でした!では早速、トップスリーの発表です!まず、第三位!…………シュラさん、マキさんチームです!」
 すると、遠くから喜ぶ声が聞こえた。恐らく、本人たちだろう。

「続いて第二位!…………ユウキさん、リノさんチームです!」

「えぇぇぇ!ねぇ、裕樹君!私たち二位だって、やったぁー!」

「マジか…………。まさか表彰台に立つなんて思わなかった……」
 俺はそう言い、莉乃と一緒に表彰台に上がった。

「そして、栄えある第一位はリクさん、シルアさんチームです!」
 すると、本人たちが表彰台に上がる。一人はハイテンションで喜んでいるが、もう一人の中性的な顔立ちの男の子は全く喜んでいないように見えた。

「では、トップスリーの皆さんに感想を聞いていきましょう!」
 そして、三位の二人が話し終えた。

「続いて二位のお二人!まずはユウキさんから!」

「え、えっと、その、に、二位になれて良かったです!」
 何も考えておらず、変になってしまう。

「では次、莉乃さん!」

「えっと……は、初イベントで二位になれてとても嬉しいでしゅ!…………嬉しいです!」
 盛大に噛み、赤くなった顔を両手で隠している。
 可愛い……。

「ありがとうございます!では一位のお二人にも感想を聞きましょう!」

「まずはリクさん!」
 そう言われ、俺達とは違いしっかりと話し出した。
 くそ…………。ちゃんと考えておけば良かった……。

「では最後にシルアさん!」
 さっきから全く喜んでいる様子がない、男の子だ。

「特にない」

「え?」
 司会者が聞き返す。

「だから、感想なんか特にないって言ってるの」

 凄いな……。俺も考えてなかったなら、無理に言う必要なかったのか?いや、それじゃあカッコつかないし。でも、あんな途切れ途切れで喋った方がカッコつかないのか?…………よし、考えるのはやめよう。

「き、きっと緊張してしまっているんですね!では、これにて初イベントを終了します!」
 その後、スタジアムは無くなり、いつもの街に戻った。

「いやー!楽しかったね!いい戦闘経験にもなったし!」

「そうだな!次のイベントも絶対に参加しような!」

「うん!」

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