極振り夫婦のVRMMO生活

峯 こうめい

極振り夫婦のスキル集め

「「せーのっ!」」
 俺と莉乃は両手で宝箱の蓋を、思い切り開ける。
 中には、装備と武器がそれぞれ俺と莉乃の分入っていた。

「わぁー、凄い!装備だ!」

「本当だ、凄いな……。俺のは二セット分入ってるぞ」

「えー、ずるーい!私も二セット分欲しかったー!」

「まあまあ、これからも装備をゲットできる機会はあるだろうから、大丈夫だよ」

「うん、そうだよね!じゃ、早速説明見てみよ!」
 莉乃は切り替えが早いな……。

《漆黒ノ鎧》
AGI+10
ダークドラゴンを倒した者に贈られる全身装備。獲得した者によって、+されるステータスが変わる。男性専用。

《漆黒ノ剣》
ATK+5 AGI+7
ダークドラゴンを倒した者に贈られる片手剣。獲得した者によって、+されるステータスが変わる。

 おお!これはカッコイイぞ!
 二つの装備は黒を基調としており、所々に金の装飾が施されている。このボス部屋の扉と同じデザインだ。
 よし、もう一セットも見てみよう!

《忍ノ上衣》
DEF+3 MDE+3 AGI+30
スペシャルスキル、忍を獲得した者だけが貰える装備。伸縮性のある、特殊な鉱石を加工して作られている。

《忍ノ袴》
DEF+3 MDE+3 AGI+35
スペシャルスキル、忍を獲得した者だけが貰える装備。伸縮性のある、特殊な鉱石を加工して作られている。

        タビ
《忍ノ足袋》
AGI+50
スペシャルスキル、忍を獲得した者だけが貰える装備。伸縮性のある、特殊な鉱石を加工して作られている。

     ワラジ
《忍ノ鞋》
AGI+50
スペシャルスキル、忍を獲得した者だけが貰える装備。黒く染色したわらを使って、作られている。

《忍ノ短刀(二刀)》
ATK+7 AGI+10
スペシャルスキル、忍を獲得した者だけが貰える武器。獲得者が初期設定で選択した武器の種類と同じ物を獲得できる。

 おぉぉぉぉぉ!これはカッコイイ!本物の忍者が着てたやつみたいだ!凄い!
 装備は、漆黒の鎧よりも豪華に、それであって目立ち過ぎない程度で金が装飾されており、黒を基調としている。
 しかもAGI特化じゃないか!さすが忍者の装備だ!よし、次はスキルの確認だ。

《新獲得スキル説明:回避達人》
 Lvが四十以下の状態で、ダンジョンボスの攻撃を十回以上避け、なおかつ自身がトドメをさす。EVAが+60される。さらに、AGIが+15される。

《新獲得スキル説明:忍》
 ボス級モンスターをノーダメージで疲弊状態にし、それが治らないうちにノーダメージで倒す。全MPを消費するかわり、忍モードになれる。忍モード中は、MPを消費せず使用回数制限の無い、忍法を使用することができ、自身のAGIが+100される。ただし、忍モードは一日一度しか使用できず、効果は一時間。

 何だ、忍モードって!最強じゃねぇか!螺◯丸とかできるのか!?AGI+100とかチートじゃね!?ヤベェ……なんか莉乃に申し訳ないな……。俺だけこんなチートスキルゲットして……。
 
「裕樹君!見て!」
 莉乃を見ると、革の装備ではなく、純白の鎧に金の薔薇が所々に装飾された、美しい装備を身にまとっていた。大剣も、初期の質素な物ではなく、鎧と同じデザインの物になっている。

「今宝箱から出たやつを早速装備したんだ!めっちゃ可愛くない!?これ!しかも、可愛いだけじゃなくて攻撃力特化なんだよ!」

「おお!メチャクチャ似合ってるぞ!」

「本当?ありがとう!」

「あ、そういえば裕樹君、ステータスポイントって何に振ってる?」

「俺は相変わらず、AGIに全部振ってるけど、莉乃は?」

「私は勿論、ATKに全部振ってるよ!どんな敵でもワンパン!カッコよくない?」

「確かにな……そうなってくれれば俺も心強いし」

「そうだ!街に帰ったら、ステータス見せ合いっこしよ!」

「そうだな!お互い、最初とどう変わったか分かるしな!」
 俺たちはその後、ジメジメとした洞窟を出て街に帰った。

「「せーのっ!」」
 掛け声に合わせて、同時にパネルを表示する。

《名前    ユウキ》
《Lv  10》

《HP  200》
《MP  100》

《ATK  0(+7)》
《DEF  0(+6)》
《MAT  0》
《MDE  0(+6)》
《AGI  195(+190)》
《EVA  97(+60)》

《装備》
《忍ノ上衣》
《忍ノ袴》
《忍ノ足袋》
《忍ノ鞋》

《所持スキル》
《回避達人》 《忍》 《毒耐性中》


《名前    リノ》
《Lv  10》

《HP  200》
《MP  100》

《ATK  195(+17)》
《DEF  0(+5)》
《MAT  0》
《MAT  0》
《MDE  0》
《AGI  0》
《EVA  0》

《装備》
《金薔薇ノ鎧》
《金薔薇ノ大剣》

《所持スキル》
《毒殺のプロ》
 
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「お、おい、みんな見てるぞ……」
 莉乃に耳打ちをする。

「そんなこと気にしてる場合じゃないよ!裕樹君のAGI、195は私と同じだけど+190って何!?」

「ああ……それは、この装備のおかげだよ」

「あー!いつの間に忍者みたいな装備になってる!」

「何でそんな強力な装備持ってるの!?いいなぁー……」

「ゲットしたスキルにこの装備が付いてきたんだ」

「よし!私も裕樹君みたいな、カッコよくて強い装備が付いてくるスキル、絶対ゲットする!」

「ほら!森に行くよ!」

「何しに行くんだ?」
 すると、莉乃がグイッと顔を近づけてくる。

「ス・キ・ル・あ・つ・め!」


 そして俺は、半ば強引に森へと行くことになった。

「またこの森に戻ってきたな……」

「そうだね……。あの時みたいに、強そうな蜂とか出てこないかなー……」

「雑魚モンスターじゃあ、強いスキルはゲットできそうもないしな……。でも、あんな馬鹿デカイ蜂はもうこりごりだけどな」

「そうだよねー、また……ねぇ」
 な、何なんだ……。その、イタズラを考えてる子供みたいな顔は!

「また……裕樹君のMが発動しちゃうもんねー」

「俺はMじゃない!!」

「あの時は、仕方がなかったんだ!俺はMなんかじゃないぞ!」
 俺がムキになっていると、莉乃が笑い出す。

「あー…………裕樹君からかうと、ほんと面白いなー」
 そう言って、また笑う。

「大丈夫だよ、裕樹君がMじゃないのは分かってるから!」

「ちょっと、からかってみただけ」
 そしてまた笑う。

「くそ…………ムキになった俺が恥ずかしいじゃないか……」

「はぁはぁ、あー面白かった!さあ、気を取り直して、さらに奥へ!レッツゴー!」

 しばらく歩くと、毒の沼が現れた。

「よし、ここで毒無効をゲットしよう!」

「それは良いが……莉乃、お前毒無効の入手方法知ってるのか?」

「知らない!」

「し、知らないのか!?」

「勿論!でも、全財産使って回復薬買ってきたから、この毒の沼浴びまくれば毒無効ゲットできるでしょ!」
 そして、莉乃は毒の沼を手ですくって浴びた。

「毒って思ったより痛いね!」

「よくそんなテンションで言えるな……」
 そして俺も毒をすくって、浴びる。体に焼けるような痛みが走る。だが、毒耐性中を持っているのでまだ耐えられる痛みだ。

 十分ほどがたち、回復薬が尽きた。

《スキル、毒無効を獲得しました》

「よっしゃ!毒無効だ!」
「やった!毒無効だ!」

 二人でハモる。俺は、スキル説明を見てみた。

《新獲得スキル説明:毒無効》
 毒によるダメージを千以上、わざと受け、耐える。回復薬を使用しても良い。毒のダメージを受けなくなる。
 
「やったね!裕樹君!」

「ああ!この調子でスキルをゲットしよう!」

 その後も俺たちは、試行錯誤して様々なスキルを探した。




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