女神様(比喩)と出会って、人生変わりました
第21話 嫌な体質です
「お、悠也君じゃないか。どうしたんだい?」
「あ、岩尾さん。非番何ですか?」
 何時でも殴り返せるように、悠也が体勢を作った瞬間、悠也に話しかけて来る者がいた。
「うん、今日はそうだね。で、どうしたんだい?」
 彼は、悠也の事情聴取の際、担当となった刑事であった。身長は180センチほど、体重は90キロ超はありそうな、ガタイの良い人物だ。
「ちょっとコイツに絡まれてまして、殴られたら徹底的にぶちのめそうと、構えてたところです。」
「…あの事件から、そんなに時間が経ってないのに、君は厄介事に巻き込まれる体質なのかな?」
「さぁ、今まではそんな事はありませんでしたが。」
 呆れた様子で呟く岩尾に、苦笑いで返す悠也。
 そんな体質、普通の人間がなったら、1週間も経たずに死んでしまうだろう。
「お、おい、お前!何呑気に喋ってんだ!」
 そこで、ついに我慢出来なくなった男が、悠也の顔面目掛けて拳を振るう。
「おっと!」
 岩尾と話しながらも、しっかりと警戒していた悠也は、余裕を持って右手でパリィをする。そして、両腕が自由に出来ない状態となった男に、それなりに腰を入れたパンチを、鳩尾に見舞う。
「うぐぉ…!」
 すると、見事にクリーンヒットしたようで、悠也の胸倉から手を離して、お腹を抱えてその場に倒れ込む。
「おぉ、お見事。」
「悠也さん!大丈夫ですか!?」
 感心したように呟く岩尾と、心配そうに悠也に詰め寄る千穂。千穂は、右腕を悠也の左腕に絡めながら、体のあちこちをぺたぺたと触ったり見たりして、怪我の有無を確認してくる。
「み、見ての通り、大丈夫ですよ。寧ろ、あの男の心配をした方が良いと思いますが。」
 転げ回りながら、嘔吐している男に、少しやり過ぎたかなと、悠也は反省する。別に、男に情けをかける訳では無い。汚いので、顔面を狙えば良かったかと、反省したのだ。
「岩尾さん。どうすれば良いですかね?」
 転げ回る男を視界から外しながら、岩尾に聞く。外で人をノックアウトしたのは、これで2回目だが、前回は相手が強盗だったので、こんな時のとるべき行動が分からなかったのだ。
「う〜ん、まぁ同僚の刑事に、脅迫と暴行でしょっぴいてもらおうかな?今、連絡するよ。」
 岩尾は、少し考えながら、そう結論を出す。
「自分はどうすれば良いですか?」
「まぁ、悠也君ならこの間、事情聴取したばっかりで、人となりはそれなりに知ってるから、こっちで何とかしておくよ。それに…。」
 ありがたい事を言ってくれる岩尾だが、千穂が悠也に身体を寄せながら、心配してる様を見ながら、最後に何か、意味深に言葉を切る。
「それに、何ですか?」
「いや、言わぬが花ってやつだよ。馬には蹴られたく無いからね。」
「はぁ。何の事かは分かりかねますが、時間はあんまりとられたく無いので、助かります。」
「そうか?まぁ、英雄殿に態々御足労願うのも悪いからな。」
「…それ、恥ずかしいので、止めてもらえると嬉しいです。」
 『英雄殿』という呼び名に、悠也はこそばゆそうに、頬を掻く。
 このあだ名は、銃を持った強盗に単独立ち向かった悠也に、記者及び警察関係者から名付けられたものであった。事情聴取に出向いた悠也は、驚きのあまり、しばらく空いた口が塞がらなかったぐらいだ。
 と、そこで、全身をぺたぺたと確認し終えた千穂が、悠也の左側に、寄り添うように立つ。
「良かったです。怪我は無いみたいですね。」
「ま、服の首元が、少し伸びたぐらいですね。これの費用は、あの男に請求しますか。」
「その辺は後々、こちらで処理するから、後は任せて下さい。」
 岩尾が、ウィンクしながら言う。刑事とは思えないほど、ノリの軽い男である。
「はい、お願いします。」
 こいうのは、慣れてる人に任せるのが一番なので、後の処理は岩尾に一任する事にした悠也。
「じゃあ、楽しんで下さい。」
 笑顔で岩尾は言う。
「「ありがとうございます。」」
 それに、悠也と千穂の2人で礼を言い、一旦この場から離れる事にする。少々、騒ぎが大きくなり過ぎて、周囲から注目を集めていた。
 このままでは、落ち着いて映画など観られない。
「ちょっと気になるので、カフェの前に行ったお店で、服を買って良いですか?」
 あの店では、体力を全て奪われてしまい、買う気力を無くしてしまったので、何も購入せずに出てきたのだ。そのため、替えの服など無く、このままお出掛けを続けるなら、どこかで調達する他は無かった。
「はい、大丈夫です。」
 千穂は頷いてくれる。悠也にとって丁度いい価格帯だったので、あの店に行きたいところだったのだ。
「じゃあ…行きましょうか。」
 一瞬、『急いで買って来るから、ここで待ってて』と伝えようとするが、千穂をこの場に置いてけば、まず間違いなく、輩に目を付けられるだろう。だから、悠也は一緒に行こうと伝える。
「はい!」
 それが嬉しかったのか、千穂は笑顔で悠也の左手に、自身の右手を絡ませるのだった。
「あ、岩尾さん。非番何ですか?」
 何時でも殴り返せるように、悠也が体勢を作った瞬間、悠也に話しかけて来る者がいた。
「うん、今日はそうだね。で、どうしたんだい?」
 彼は、悠也の事情聴取の際、担当となった刑事であった。身長は180センチほど、体重は90キロ超はありそうな、ガタイの良い人物だ。
「ちょっとコイツに絡まれてまして、殴られたら徹底的にぶちのめそうと、構えてたところです。」
「…あの事件から、そんなに時間が経ってないのに、君は厄介事に巻き込まれる体質なのかな?」
「さぁ、今まではそんな事はありませんでしたが。」
 呆れた様子で呟く岩尾に、苦笑いで返す悠也。
 そんな体質、普通の人間がなったら、1週間も経たずに死んでしまうだろう。
「お、おい、お前!何呑気に喋ってんだ!」
 そこで、ついに我慢出来なくなった男が、悠也の顔面目掛けて拳を振るう。
「おっと!」
 岩尾と話しながらも、しっかりと警戒していた悠也は、余裕を持って右手でパリィをする。そして、両腕が自由に出来ない状態となった男に、それなりに腰を入れたパンチを、鳩尾に見舞う。
「うぐぉ…!」
 すると、見事にクリーンヒットしたようで、悠也の胸倉から手を離して、お腹を抱えてその場に倒れ込む。
「おぉ、お見事。」
「悠也さん!大丈夫ですか!?」
 感心したように呟く岩尾と、心配そうに悠也に詰め寄る千穂。千穂は、右腕を悠也の左腕に絡めながら、体のあちこちをぺたぺたと触ったり見たりして、怪我の有無を確認してくる。
「み、見ての通り、大丈夫ですよ。寧ろ、あの男の心配をした方が良いと思いますが。」
 転げ回りながら、嘔吐している男に、少しやり過ぎたかなと、悠也は反省する。別に、男に情けをかける訳では無い。汚いので、顔面を狙えば良かったかと、反省したのだ。
「岩尾さん。どうすれば良いですかね?」
 転げ回る男を視界から外しながら、岩尾に聞く。外で人をノックアウトしたのは、これで2回目だが、前回は相手が強盗だったので、こんな時のとるべき行動が分からなかったのだ。
「う〜ん、まぁ同僚の刑事に、脅迫と暴行でしょっぴいてもらおうかな?今、連絡するよ。」
 岩尾は、少し考えながら、そう結論を出す。
「自分はどうすれば良いですか?」
「まぁ、悠也君ならこの間、事情聴取したばっかりで、人となりはそれなりに知ってるから、こっちで何とかしておくよ。それに…。」
 ありがたい事を言ってくれる岩尾だが、千穂が悠也に身体を寄せながら、心配してる様を見ながら、最後に何か、意味深に言葉を切る。
「それに、何ですか?」
「いや、言わぬが花ってやつだよ。馬には蹴られたく無いからね。」
「はぁ。何の事かは分かりかねますが、時間はあんまりとられたく無いので、助かります。」
「そうか?まぁ、英雄殿に態々御足労願うのも悪いからな。」
「…それ、恥ずかしいので、止めてもらえると嬉しいです。」
 『英雄殿』という呼び名に、悠也はこそばゆそうに、頬を掻く。
 このあだ名は、銃を持った強盗に単独立ち向かった悠也に、記者及び警察関係者から名付けられたものであった。事情聴取に出向いた悠也は、驚きのあまり、しばらく空いた口が塞がらなかったぐらいだ。
 と、そこで、全身をぺたぺたと確認し終えた千穂が、悠也の左側に、寄り添うように立つ。
「良かったです。怪我は無いみたいですね。」
「ま、服の首元が、少し伸びたぐらいですね。これの費用は、あの男に請求しますか。」
「その辺は後々、こちらで処理するから、後は任せて下さい。」
 岩尾が、ウィンクしながら言う。刑事とは思えないほど、ノリの軽い男である。
「はい、お願いします。」
 こいうのは、慣れてる人に任せるのが一番なので、後の処理は岩尾に一任する事にした悠也。
「じゃあ、楽しんで下さい。」
 笑顔で岩尾は言う。
「「ありがとうございます。」」
 それに、悠也と千穂の2人で礼を言い、一旦この場から離れる事にする。少々、騒ぎが大きくなり過ぎて、周囲から注目を集めていた。
 このままでは、落ち着いて映画など観られない。
「ちょっと気になるので、カフェの前に行ったお店で、服を買って良いですか?」
 あの店では、体力を全て奪われてしまい、買う気力を無くしてしまったので、何も購入せずに出てきたのだ。そのため、替えの服など無く、このままお出掛けを続けるなら、どこかで調達する他は無かった。
「はい、大丈夫です。」
 千穂は頷いてくれる。悠也にとって丁度いい価格帯だったので、あの店に行きたいところだったのだ。
「じゃあ…行きましょうか。」
 一瞬、『急いで買って来るから、ここで待ってて』と伝えようとするが、千穂をこの場に置いてけば、まず間違いなく、輩に目を付けられるだろう。だから、悠也は一緒に行こうと伝える。
「はい!」
 それが嬉しかったのか、千穂は笑顔で悠也の左手に、自身の右手を絡ませるのだった。
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