女神様(比喩)と出会って、人生変わりました
第15話 心が休まりません
「ふわぁ〜あ…。ねむ…。」
 昨晩千穂に、嬉しくない意味で寝かせてもらえなかった悠也は、重い体を引きずりながら、洗面所に向かう。
 時刻は11時過ぎだが、まだまだ惰眠を貪りたいところだった。しかし、由紀に無理矢理叩き起されて、渋々布団から這い出たのだ。
 顔に冷水をぶちまけ、何とか頭を起こした悠也は、取り敢えず腹に何か入れようと、リビングに向かう。
「あ、おはようございます、悠也さん。お食事は、今作っているところですので、少しお待ち下さいよ」
「おはようございます、天戸さん。」
 キッチンから、ニコニコと眩しい笑顔を浮かべながら、千穂が挨拶をしてくる。それに対して悠也は、眠そうな顔で返事を返し、大人しく椅子に座って待つ。
「昨日、夜遅くまでゲームしてたのに、何でそんなに元気なんですかね?」
「まだまだ若いので!」
「それはつまり、俺が年寄りとでも言いたいのですか?というか、何で家に居るんですか!?あんまりにも自然に溶け込んでて、普通に会話しちまったよ!」
 ここで漸く、千穂が家に居るという事実を認識した悠也は、大慌てでツッコミを入れる。
「それはですね、今朝、お伺いしたら、悠也さんのお母様に、是非上がって待っててくれと言われましたので、お言葉に甘えさせてもらいました。」
「…母はどちらに?」
 付近に、寝起きからいきなり頭を抱えたくなるような状況にした、元凶の姿が見当たらないので、悠也はキョロキョロしながら聞く。
「お仕事に出かけました。」
「逃げやがったな…。」
「まぁ、それよりも、早く椅子におかけ下さい。」
 さっきまで居たのに、爆弾を放置して逃げた由紀に、帰って来たら文句を言うと心に決めた悠也は、言われるがまま椅子に座り、少しの間、ボーッとする。
 そして数分後、ボーッとしていた悠也の目の前に、何とも綺麗なオムライスが運ばれて来た。
「ど、どうも、ありがとうございます。」
ー今更だけど、何で天戸さんに飯を作って貰ってるんだよ!?ー
 寝ぼけた頭が段々と起きてきて、今更ながらにこのおかしな状況にツッコミを入れる。
「はい、どうぞ、召し上がって下さい。お口に合えば良いのですが。」
「いただきます。」
 取り敢えず、せっかく作って貰ったのだから、大人しく食べる事にした悠也は、手を合わせてから、食べ始める。
「…。」
 そんな悠也を、向かい側に座り、じっと無言で見つめてくる千穂。悠也は、そんな視線を受け、緊張した面持ちでスプーンを口に運ぶ。
「…。これは…。」
 ゆっくりと咀嚼して、飲み込んだ悠也は、非常に驚いた顔を浮かべる。
「美味しいです!」
「ありがとうございます。」
 悠也の言葉に、嬉しそうにはにかみながら、ホッと一息つく千穂。
「!」
 その表情を間近で見てしまい、顔が赤くなってしまった悠也は、それを誤魔化すかのように、勢い良く食事を再開する。
「 …ふぅ。ごちそうさまでした。」
 最後の一口を食べ終えた悠也は、満足気な表情で手を合わせて言う。
「お粗末さまでした。」
「あ、片付けは自分でやります。そこまでしてもらうのは、気が引けますから。」
「そ、そうですか?分かりました。」
 空になった皿に手を伸ばしかけた千穂を制止し、自分でシンクまで運ぶ。そして、そのまま洗い始める悠也。
ー天戸さんと同じ空間に居るとか、心が休まらないな。つーか、何で天戸さんはうちに来たんだ?ゲームするなら、別に来る必要無いはず何だけどな。ー
 洗い物をしながら、悠也はぼんやりと考える。だが、いくら考えても、答えは出ない。
ーさて、取り敢えずどうするかー
 特に会話も無く、洗い物をする音が響くだけの時間が流れてゆく。
「…これでよし。さて、天戸さん、コーヒー飲めますか?」
「え、あ、はい。」
「じゃあ、少し待ってて下さい。」
 客人には取り敢えず、飲み物を出すだろうと、安易な考えに至った悠也は、棚の奥の方にあった、ちょっと高めなコーヒーカップを取り出す。趣味で買ったと由紀が言っていたもので、使った事が判明したら、大いに責められる事になるだろう。
 その際は、千穂を招き入れた後に、何の説明も無く何処かに出かけた事を出して、有耶無耶にするつもりだが。
「はい、お待たせしました。安いインスタントコーヒーで申し訳無いです。」
「いえ、ありがとうございます。」
「あ、砂糖と牛乳はどうしますか?」
「少しいただいても良いですか?」
「分かりました。」
 一旦テーブルにコーヒーカップを置き、再びキッチンへと戻って、牛乳と角砂糖の入った袋を持ってくる。
 「ありがとうございます。いただきます。」
 お礼を言い、牛乳と砂糖を入れる千穂。そんな彼女を横目に、キッチンへと戻って、自分の分を作って、再び千穂の正面に腰掛ける悠也。
 そして、コーヒーを1口飲み、ゆっくりと視線をカップから千穂へと向けながら、悠也は口を開く。
「では、今日は、どういったご用件でしょうか?」
 こうして、悠也の長い1日は、またしても始まりを告げた。
 昨晩千穂に、嬉しくない意味で寝かせてもらえなかった悠也は、重い体を引きずりながら、洗面所に向かう。
 時刻は11時過ぎだが、まだまだ惰眠を貪りたいところだった。しかし、由紀に無理矢理叩き起されて、渋々布団から這い出たのだ。
 顔に冷水をぶちまけ、何とか頭を起こした悠也は、取り敢えず腹に何か入れようと、リビングに向かう。
「あ、おはようございます、悠也さん。お食事は、今作っているところですので、少しお待ち下さいよ」
「おはようございます、天戸さん。」
 キッチンから、ニコニコと眩しい笑顔を浮かべながら、千穂が挨拶をしてくる。それに対して悠也は、眠そうな顔で返事を返し、大人しく椅子に座って待つ。
「昨日、夜遅くまでゲームしてたのに、何でそんなに元気なんですかね?」
「まだまだ若いので!」
「それはつまり、俺が年寄りとでも言いたいのですか?というか、何で家に居るんですか!?あんまりにも自然に溶け込んでて、普通に会話しちまったよ!」
 ここで漸く、千穂が家に居るという事実を認識した悠也は、大慌てでツッコミを入れる。
「それはですね、今朝、お伺いしたら、悠也さんのお母様に、是非上がって待っててくれと言われましたので、お言葉に甘えさせてもらいました。」
「…母はどちらに?」
 付近に、寝起きからいきなり頭を抱えたくなるような状況にした、元凶の姿が見当たらないので、悠也はキョロキョロしながら聞く。
「お仕事に出かけました。」
「逃げやがったな…。」
「まぁ、それよりも、早く椅子におかけ下さい。」
 さっきまで居たのに、爆弾を放置して逃げた由紀に、帰って来たら文句を言うと心に決めた悠也は、言われるがまま椅子に座り、少しの間、ボーッとする。
 そして数分後、ボーッとしていた悠也の目の前に、何とも綺麗なオムライスが運ばれて来た。
「ど、どうも、ありがとうございます。」
ー今更だけど、何で天戸さんに飯を作って貰ってるんだよ!?ー
 寝ぼけた頭が段々と起きてきて、今更ながらにこのおかしな状況にツッコミを入れる。
「はい、どうぞ、召し上がって下さい。お口に合えば良いのですが。」
「いただきます。」
 取り敢えず、せっかく作って貰ったのだから、大人しく食べる事にした悠也は、手を合わせてから、食べ始める。
「…。」
 そんな悠也を、向かい側に座り、じっと無言で見つめてくる千穂。悠也は、そんな視線を受け、緊張した面持ちでスプーンを口に運ぶ。
「…。これは…。」
 ゆっくりと咀嚼して、飲み込んだ悠也は、非常に驚いた顔を浮かべる。
「美味しいです!」
「ありがとうございます。」
 悠也の言葉に、嬉しそうにはにかみながら、ホッと一息つく千穂。
「!」
 その表情を間近で見てしまい、顔が赤くなってしまった悠也は、それを誤魔化すかのように、勢い良く食事を再開する。
「 …ふぅ。ごちそうさまでした。」
 最後の一口を食べ終えた悠也は、満足気な表情で手を合わせて言う。
「お粗末さまでした。」
「あ、片付けは自分でやります。そこまでしてもらうのは、気が引けますから。」
「そ、そうですか?分かりました。」
 空になった皿に手を伸ばしかけた千穂を制止し、自分でシンクまで運ぶ。そして、そのまま洗い始める悠也。
ー天戸さんと同じ空間に居るとか、心が休まらないな。つーか、何で天戸さんはうちに来たんだ?ゲームするなら、別に来る必要無いはず何だけどな。ー
 洗い物をしながら、悠也はぼんやりと考える。だが、いくら考えても、答えは出ない。
ーさて、取り敢えずどうするかー
 特に会話も無く、洗い物をする音が響くだけの時間が流れてゆく。
「…これでよし。さて、天戸さん、コーヒー飲めますか?」
「え、あ、はい。」
「じゃあ、少し待ってて下さい。」
 客人には取り敢えず、飲み物を出すだろうと、安易な考えに至った悠也は、棚の奥の方にあった、ちょっと高めなコーヒーカップを取り出す。趣味で買ったと由紀が言っていたもので、使った事が判明したら、大いに責められる事になるだろう。
 その際は、千穂を招き入れた後に、何の説明も無く何処かに出かけた事を出して、有耶無耶にするつもりだが。
「はい、お待たせしました。安いインスタントコーヒーで申し訳無いです。」
「いえ、ありがとうございます。」
「あ、砂糖と牛乳はどうしますか?」
「少しいただいても良いですか?」
「分かりました。」
 一旦テーブルにコーヒーカップを置き、再びキッチンへと戻って、牛乳と角砂糖の入った袋を持ってくる。
 「ありがとうございます。いただきます。」
 お礼を言い、牛乳と砂糖を入れる千穂。そんな彼女を横目に、キッチンへと戻って、自分の分を作って、再び千穂の正面に腰掛ける悠也。
 そして、コーヒーを1口飲み、ゆっくりと視線をカップから千穂へと向けながら、悠也は口を開く。
「では、今日は、どういったご用件でしょうか?」
 こうして、悠也の長い1日は、またしても始まりを告げた。
コメント
血迷ったトモ
ようやく第15話が完成です…。就活って、こんなにメンタルボロボロにされるんですね…。