愛した人と共にいられるなら

パンデミック

愛した人と共にいられるなら

ねぇあなた神様?



違う?ごめん、私もう見ることも聞くことも出来ないの。



可哀想?失礼ね、私これでも幸せだったのよ?



大好きな彼と過ごせて。



まぁ良いわ、私の話聞いてくれる?
 

 
まぁ聞くっていうよりは懺悔に近いかもしれないわね。



私、前は男爵令嬢だったの、で、その前は庶民。



男爵に引き取られて男爵令嬢になったのよ。



この国って貴族は学園に通うじゃない?だから私も学園に行ったのよ、けどまだ貴族になりたてでマナーとか全然出来なかったのよ。



平民の子達も特待生とかで少しはいたけど、一応貴族になったわけだから話せなくて、しかも私マナーとか分からないから一人ぼっちよ?



だけどある日、すごくかっこいい人に出会ったの、銀色の髪で淡い翠の目をしたすっごいかっこいい男の子。 



最初誰か分からなくて、馴れ馴れしく話しかけたの、

「すごくかっこいいわね!!!」

って、今思い返せば馬鹿な行動だと思うけど、その時は本当にマナーとか分からなかったのよ…



そこからあれよあれよという間に彼と仲良くなったの、で、彼に惚れきってたある日気付くの、彼が第二王子ってことにね。



彼に婚約者がいるって言うのは知ってた、だけど私は彼を愛していたし、彼も私を愛していた。



当たり前だけど周りはみんな認めないわ、私だって許されると思っていなかった妻じゃなくても良かったの、愛人でもなんでも。


 
彼と一緒にいたかっただけなの。



そんな日々が続いたあの日、なんか卒業記念パーティーがあったのよ、そこで彼が婚約者に婚約破棄!って言い出したのよ。

 

私は彼と一緒に居れるならなんでも良かったけど、彼は私を1番にしたかったみたいね。



もちろん陛下とか婚約者のお父さんとかすっごく怒ってて、縁とか切られて庶民にされたわ。



別に元が庶民だから私は困らなかったけど彼は王子様だから苦労したみたい。








この後の話要るかしら?


分かるでしょ?彼と私は平民になって幸せに暮らしましたとさ、って感じね。



まぁ元婚約者さんも隣国の王子と結婚したみたいよね、恋愛結婚だそうよ、幸せそうで良かったわ。



聞いて下さってありがとう、敵国の兵士さん。



彼が居ない世界に未練なんて無いわよ。



戦争が起きたのね、見て?街が真っ赤よ、燃え盛る炎。



ねぇ、元婚約者さんにさ、言っておいていてくれないかしら?



私は天国で彼と暮らすから貴方は現世で楽しく暮らしなさいって。



私、後悔はしていないの。




「この国がいつか幸せで溢れますように。」

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