美醜の君

メリノ

❄Ⅱ

それを国の民は、知っていました。森の動物も知っていました。ただ、王家だけが知らないのです。
それは、1本だけじゃ細く弱くすぐに切れてしまうけれど、2本あればそう簡単に切れず、時が経てば経つほどにより頑丈に、切れないものへとなっていきました。そしてそれはやがて、強く、揺るぎないものになり、みなが見惚れるものへと、変わるのでした。
それは、赤い糸。運命の赤い糸ではありません。互いが信頼し合い、絆と愛情を深め、やがて、人生の長い道を渡り着る時、初めて紡ぎ終わり、パートナーの最後の時、涙で糸を固めて出来上がる糸。決して、運命なんて言葉じゃ語り尽くせない糸。
誰だって、語らなくとも知っているこの糸を王家は知りませんでした。

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