異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

51.冒険者ギルド

ここは他の建物とは造りが違うのね
外観は角柱になっている
おそらく八角柱…だと思う
4階建てのビルと同じくらいの建物の頂上から垂れ幕が1箇所
玄関の扉がある方に垂れ下がっている

垂れ幕には「冒険者ギルド」と文字としてありその文字のした部分にシルエットがある
シルエットは2人の人の胴より上のイラストが描かれている
剣を持った人物とつばの広い三角帽子を被って上端が少し大きく丸まった棒のような物を持った人物が背中合わせでいる

「あれ?読めてる?」
「どうしたのリンリン?」
「あの文字が読めてるよの」
「あ、ほんとだ」
「確かにあたしも読める」
「ねえ、ラトル「俺にも理由はわからん、この街に来た時にはなぜか読めてたんだよ」

むう、困るわけではないけれど釈然としないわね
そう思った時に私の両肩に2羽のコウモリが止まりこっちをじっと見つめてくる

私達に聞けと?

「何故か知ってる?」
「良くぞ聞いてくれました!!「ましたー!」

出番が無かったからって拗ねないでよね

「魔素が感知できる者は文字に込められた意味を魔素を通じて理解しているのです」
「つまり私はどんな文字でも読めるという事ね?」
「はい、その文字の意味する事が理解出来ないと読めませんけれど」

両肩のコリウリに自慢げに胸(?)を張りながら説明をされた
さて、疑問も解けたことだし登録しに行きましょうか
かなり大きめの両開きの扉に手を触れ中に入って行く

石造りの冒険者ギルド会館へ入ると想像以上に人が居てワイワイガヤガヤ少し騒がしいほどの音が聞こえる
前の世界のショッピングモール的な騒がしさね

フロアには木製のテーブルやイスが冒険者同士の意見交換場所として設置されている
奥には銀行等の受付窓口の様な場所があり、テーブルの上には「クエスト受注」や「冒険者相談」などのプレートが置かれている

「なんかすげーゲームみたいな感じだな」
「あー、それあたしも思った」
「ドラグニルクエストみたいな感じだね〜」
「ね〜って振られても私ロープレ系はあんまりやらないのだけれど」
「何の話だ??」
「元いた世界にそういう遊びがあったのよ」
「…?そうか」

話についていけてないラトルに連れられて1つのプレートのある窓口に向かう
そのプレートには「ギルド管理」と書かれている
ラトルは窓口の向こうに居る座りながら背中を解すように伸びをしている女性に語りかける

「こんにちは」
「こんにちは、どのようなご要件ですか?」
「冒険者ラトルです。バッチを無くしたので照合お願いします」
「ラトルさんですね。照合しますので暫くお待ちを」

そう言うと女性は振り返りカーテンで仕切られた奥の部屋へと歩いていった
目じりの下がった優しそうな印象の女性は声もそのまま優しさを感じる声だった
ここには人族だけが働いている訳ではなさそうね
別の場所を見ると丸い毛むくじゃらの様なパッと見モンスターと言いそうになる者もいる

「お待たせしました。ラトルさん照合完了しました。冒険者バッチを無くされてるそうなのでこちら、新しいバッチをお渡ししておきます」
「ありがとうございます」

女性はテーブルに銅のプレートと10cm程の小さな球が無数に一直線に繋がったボールチェーンの様なものを置いた
受け取ったにも関わらず動かないラトルを見て係の女性は再び口を開く

「他にはどのような要件です?」
「冒険者の新規登録と新チーム結成をお願いします」
「では、登録料として1人あたり4ブリンズ必要です」
「大丈夫です」
「分かりました。皆様魔素は扱えますか?」
「一応使えます」
「ではスクロールをお持ちしますね」

女性はまた仕切られた奥の部屋へと入っていく

「コリ ウリ」
「なんでしょうご主人様!」
「私達って文字が読めても書けないんじゃない?」
「その通りでございます」
「でも御安心を!スクロールに記入する時は魔素で文字を記入するので、どのような種族からでも魔素さえ扱えれば文字の意味が解れば各々読むことができるのです」
「なんてご都合主義…」
「便利だなぁ」

とにかく文字に関しては問題ないみたいね…
どこかのタイミングで勉強でもして公共語くらいは読み書きしたいわね

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