異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

50.一件落着ってところかしら?

市民街の市場に戻ってきた頃にはソナルは空高くに位置していてお昼時を示している
王城の1つ周りを貴族街としてそのさらに外側を市民街と呼ぶそうだ
兵士達が案内を終えて姿が見えなくなるまで誰も何も話さなかった
そして…

「っふぅ〜つっかれたなぁ」
「お、王様のっあ、圧力が凄かった…」
「ラトルに全部振られた時は冷や汗ものだったわよ」
「いや、貴族暮らしも悪くねぇなと」
「悪くねぇなじゃないんですけど…」

おかげで間近で王様に睨まれたわよ

「しっかしまぁなんで王様は貴族なんて言い出したんだ?」
「想像するに、国政に魔族として介入させることで政治の公平性を醸し出したかったんじゃない?」
「リンリンってば凄いね」
「まあ、溺愛してる愛娘の救世主という過大評価もあるとは思うんだけどね」

グチグチ言ってもしたかないわ
特に今日はやらなきゃ行けないこともあるし

「おーい、無事に終わった様だな!」

後ろからケンタウロスが駆けてくる
彼女たちも無事に解放されたのね

「ケノス、ウロスお疲れ様」
「おうよ!なんとか無事に運送が終わってよかったぜ」
「それじゃあ運賃のことだけ…」

ケノスに手を向けられ言葉をさえぎられる

「いや、王国から支払われたからリン達からはいいぜ!」
「いやでも」
「十分過ぎるほど貰ったからな、これで運送に関する装備とかも揃えられるから問題無いぞ」
「そ、そう?」
「そういうことだ。それじゃあ今後ともケンタウロス運送をよろしく!」

そう言い残して彼女たちは飯だーと叫びながら走っていった
私達はお互いを見合って少し笑いあった
慌ただしいケンタウロス達だったわね
それじゃあ私達もやることをやりに行きましょうか
割り切って街の方を向く

街並みを眺めてみると人族と魔族の比率はだいたい8:2くらいね
もちろん人族が8割
魔族が少ないとはいえどこかの国みたいに奴隷として居る訳じゃなく
ちゃんとした一般市民として働いている者もいれば真昼間から顔を赤らめ木製のジョッキみたいなものを浴びるように飲んでいる者もいる

「リっ」
「まずやることがあるでしょ」

風香の唇を人差し指で抑えラトルを見る

「ギルドだな、登録に時間がかかるから先に行こう」

その言葉に頷き案内をお願いする
だいたいの人は賛同したが1名のみ、むー!と頬を膨らませる

「登録が終わったら美味しいもの食べましょ」
「はぁーい」

若干機嫌を治した返事が帰ってくる
まあ、可愛いから膨れててもいいんだけれどね
冗談はさておき目的の建物の前まで行くのにそれほど時間はかからなかった
なにせラトルはここに住んでたのだから迷うことなく来ることが出来た

「そういえば冒険者登録は良いとして、チームは組まないのか?」
「チーム?」
「冒険者には特定の人物とチームを組むことができるんだよ、無論報酬が分散されるが。嫌なら1人でやることもできるが…」
「んぁ?あたしらで組むんじゃないのかよ?」
「わ、私はひと、1人なんて無理ですぅ…」
「私はリンリンが一緒ならなんでもいいよ〜」
「ラトルは来ないの?」
「ふっ、聞くまでもなかったな。俺もチームに入れてくれ」
「「もちろん」」

さて、改めてチームも決まったし?いよいよ冒険者ギルドの建物ね

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