異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

47.玉座の間

「お城って憧れてたんだ〜」「ねえリンリンこれ凄い絵だね〜」「これとかなんか高そう…」


楽しそうで何よりね…
私達が人族とは相容れない存在だという事
それらが人族ばかりの所に放り出される…
不安に緊張してしまう私は風香の耳打ちに軽い相槌しか打てない

高そうでふわふわなカーペットが敷き詰められた広間を兵士達に誘導されて進む
風香のあのテンションは少しばかり助かってる部分もあるけれど
謁見の間ではなるべく静かにして欲しいわね

確かに城の出入口から目立つ所に現国王の肖像画がでかでかと飾られていたり、この世界の絵画などが壁や廊下に設置されていたり
こんなの漫画とかくらいしか見たことないわよ…

「ここが玉座の間です、中にてお待ちください」

3m位あるんじゃないかと思うほどの扉を開け兵士が中へと手で誘導する

「わぁ…」「きれ〜い!」「これは…凄いな」

あまりにもの美しさに口から漏れ出るのは感嘆や自身の語彙力の無さ故に言葉を紡ぐことの出来ない感想の様なもの

「この玉座の間はヴァンヒュート家のお抱え技術士が先代の意見を仰ぎその力を存分に振るったものだと聞いたわ、あまりにもの美しさ故に代々それを守り保全を尽くしてきたらしいの」

ミーリャ・クレストリア・ヴァンヒュート姫も同じく眼前に広がる美しい光景を何度見ても素晴らしいものだと
そう語るようなうっとりとしたような表情で、ただ誰に聞かせようとした声で無く呟くように説明した

中は扉から真っ直ぐ広間の奥…階段を登ったところに立派な椅子、つまりは玉座かしら?が置いてある
外見は派手派手しく肘置きなどは金色で彩られ手が来る所には赤色の水晶玉みたいな物が埋め込まれ、背中や腰が当たる部分にはクッションがはめられており、よく腰を置く場所が少しだけ凹んでいる

床は一様にして黒っぽい石で造られている
そして、よく磨かれているように見える
壁の窓からの光を反射させ、広間全体を明るくさせている

壁や柱などは白を基調として所々に金色の装飾がされている
また、壁には細長いかまぼこ型のガラスの様なものでできたはめ殺し窓が等距離で設置されていてソナル太陽の光を多く取り込み広間を明るく照らしている

天井は真っ平らではなく少し空の方向へと盛り上がっており、紺色で塗り尽くされていた
その天井には無数の小さな水晶が散りばめられていて、それぞれが弱い光を放ちまるで真夜中の夜空を思わせる

今一度玉座の方を見てみると
私達が居る場所よりも玉座の周囲のみが明るく感じられる
それに玉座の後ろにある分厚そうに見える赤い布とその中央にある下に凸った様に見える下側は角の取れた五角形の盾、その前に西洋の剣と杖がクロスした様な紋様が力強さを見せつける

細部までこだわった造りに感嘆していると1人の全身板金鎧の男が私達が入ってきた扉から入って来て私達の前方、階段の手前で止まりこちらを振り向く

「これより我らが王、ガレット王がおいでになられる、静粛にされたし!」

兵士の板金鎧は黒がベースに板金の節や端に金色の装飾がされており、左胸辺りに王国の紋様がこれまた金色で刻まれている
ヘルムは顔の部分が開けており中を伺える
少し日焼けしたような小麦色の肌は艶こそあれど所々に深いシワや刃物の古傷や獣にやられたような古傷があり30代とも50代とも取れる様な顔である

いよいよミーリャ姫の父親、クレスト王国の現国王と対面するのね…

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