異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

38,助っ人〜ラトル〜

「くそ!こんなの聞いてねぇぞ!」
「ゴブリンとハウンドが共闘してるとか有り得ないだろ!!」
「来るぞ!ゴブリンは何とかする、ハウンドを頼む!」
「頼むって言ったって俺も防ぎきるだけで精一杯だぜ?!」

ゴブリン二匹にハウンド二匹か
かなり押されている様に見えるな
声掛け自体はいい事なのだが状況だけ伝えてると言ったところか
時間をかければ倒せるかもしれない
そんなレベルだな

「助太刀するぜ!」
「「っ?!」」

軽戦士を後ろから襲おうとしていたハウンドを盾を構えながら走り込み敵を吹き飛ばす
冒険者2人は一斉にこっちを向き驚く

「バッチはないが俺も冒険者だ、偶然ここを見かけて助けに来た」
「す、すまない。助かる!」
 
さあ、さっさと片付けるぞ
敵は俺たちを囲むように位置している
それに対し俺たちは互いに背を合わせる形を取った
敵対する人数が増えたからかゴブリン達は無闇に攻めてこなくなったな
なら、俺から動くぜ

ゴブリンに向かってダッシュする
剣撃を棍棒で受け止められる、その瞬間にハウンドが右方向から攻撃を仕掛けてくる
盾で防げないのでゴブリンから距離を取るように避ける

出来ればハウンドの突撃を盾で弾いてその隙に1匹を仕留めたいな
だが、ハウンドに向かって攻撃を仕掛けようにも距離を詰めれずに徒労に終わるだろう
後ろの2人も同じように攻めあぐねてる

「助っ人のあんちゃん、これ使いな。光爆弾だ」
「ありがとう、使わせてもらう」
「良いってことよ!」

再び背中を合わせた時に盗賊が持たせてくれた小さな丸い玉を貰った
使い方は玉に強めの衝撃を与えるだけ、衝撃から7秒後に起爆する
剣を背負っている鞘に収め右手で受け取る

敵の方へ振り返る前にハウンドが飛び込んできているのを察し
盾で受け止め弾き返す
次の攻撃が来る前に盾に光爆弾を叩きアイテムを起動させる
そして心の中でカウントする

ゴブリンの棍棒を盾で受け止め右手で殴る
よろめき棍棒が盾から離れた即座に別方向へ盾を構える
ハウンドの攻撃は今度は弾き返さず受け流しバランスを崩させる

(5秒…)

右手を素早く突き出し軽く空へ向けて光爆弾を投げる

(3秒…)
起爆前に剣を抜き光を目に浴びないように盾で顔を隠す


(0秒!)

盾越しでも眩しく見える光を確認し盾を顔から外し、ハウンドの位置を見て剣を振り下ろす
確かな感触が剣から腕に伝わり、ハウンドが2つに分かれるのを目視するまでもなかった
続いてゴブリンに盾でアタックする
よろめいた所に容赦なく剣を喉に突き刺し、引き抜くと同時に距離を取り
少し離れた所で動かなくなるのを見る

よし、こっちは片付いた
向こう2人は少し苦戦しているようだ
守りの堅いゴブリンに攻めあぐねてる軽戦士
ハウンドの素早い動きに翻弄されている盗賊
俺が隙を見計らって倒すのも良いが…
ハウンドをこちらで受けて盗賊と軽戦士がゴブリンを討つ形にすれば彼らの戦闘経験になるか…

周りに敵モンスターは居ない
討伐されたか逃げたか…それはどっちでもいいな
よし、手伝ってやるか
盗賊に噛み付こうとしていたハウンドを走りながら盾で弾き飛ばす

「盗賊!ハウンドは引き受けた。奴を助けてやれ!」
「助かるぜ!」

ハウンドは狙い通り俺に狙いをつけたようだ
計画通り…
ハウンド単体なら恐れることは無い

低く姿勢をとり盾も低めに構える
そこにハウンドは横に軸をずらしながら近づき飛びついて来る
俺はハウンドと軸を合わせて少しだけ後ろに下がりハウンドの攻撃を躱す
ちょうど足元に着地する瞬間にハウンドを蹴りあげる
無防備に空へ打ち上げられたハウンドに狙いをすませて叩き切る!

単体のハウンドならではの攻撃だ
複数体いれば悠長に蹴りあげていられないからな
もう片方がどうなったかと言うと
盗賊が何回目かの『スティール』で棍棒を奪い無防備になった所を軽戦士が仕留めた
いい連携だな
挨拶もほどほどにリン達を探しに行こう

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