異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

33,戦闘開始〜ラトル〜

全く…
冒険者でもそうそう思いつくことじゃないぞ
走っている馬車から飛び降りて戦闘するなんてな
でもまあ、ミーリャ姫を安全圏に確保しつつ救援を両方実現するならこの方法しかないな
流石だ

っと、感心してる場合じゃないな
俺も飛び降りる準備をしておかなくては
剣を右手に、盾を左手に持ち飛び込む戦場を見据える

戦闘範囲は馬車を中心に広範囲に広がっており、人族の冒険者が魔物に散り散りに囲まれていると言ったところか
まず人族に敵ではない事を示しておかないと後で厄介事になるのは必然か…
負傷した冒険者を集めている所の近くに飛び降りよう

そうして力強く馬車から飛び降りる
流石にそこそこの速度で走っているから2本の足で着地するのは不味いだろうな
着地する時に踏ん張らずに何度かゴロゴロ回転しながら速度を殺し
起き上がれる速度になった時に起き上がり、すぐに攻撃に対応できるように構えながら止まる

付近に敵魔物は居ないことを確認し構えを解く
だが、治療に当たっていた人族が震えながら剣をこちらに向けている

「安心してくれ、俺たちは敵じゃない」
「そ、そそ、そんなこと言われたって!」
「今は冒険者バッチを紛失しているが俺は今はクレスト王国冒険者組合に所属している冒険者だ、偶然見つけた君たちを助けに来た」
「そ、そうか。助かる」

震えていた人族は剣を置くとそのままへたり込んでしまった
その少年は冒険者…では無さそうだな
流石に若すぎる、ギルドが許可を出すわけが無い
人手が足りず傷の応急手当をしていたというところか

敵は森で相手をしたゴブリン族
それもレベルはほとんど変わらない同族だな
それから…
おいおい…ハウンドか?奴らが共闘する事が稀にあるって言う噂は本当だったのかよ…

「ハウンドだ!ノーマルタイプなら力はそれほどないがすばしっこい動きに注意しろ!」

これであいつらも警戒してくれるだろう
警戒なくあの速度は対応しきれないからな
それから

「おい、そこの」
「は、はい!!なんでしょうか!!」
「先程ここに俺を含め6人の亜人族が救援に来た、間違って攻撃するな。と、お前の仲間に伝えてくれ」
「わ、わかりました!!」

よし、俺もさっさと戦果を立てなくちゃな
とはいえ、ゴブリンとハウンドの共闘を相手するのは初めてだ…
油断しないようにしねぇとあいつらの前で大恥かいちまうからな

警戒しつつ馬車の近くで苦戦している軽戦士と盗賊のチームに加勢する

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