異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

35,忘れていたもの〜凛〜

好転したとは言ったものの
ゴブリンがナイフを使った…?
しかも、投げた…?

多分人族から奪った物だろう
自分達であそこまで作れると言うなら木製の棍棒なんて使ってないだろうし…
そんなことより今は戦闘に集中しなくちゃ!

背中の痛みはもう無い
怪我は治ったのだろう
 大丈夫、今の私はヴァンパイアだ不死で名高い吸血鬼なのだ。そう簡単に死にはしない
今一度握った拳に力を込め目の前の敵を見据える

「ふぅ〜…かかってきなさい!」

ゴブリン達へ腕をのばし人差し指を空へ向けて曲げる伸ばすを2回繰り返す
それを合図にゴブリン二匹が私目がけて走り出す
ゴブリン達は交互に棍棒を振り回し攻撃してくる、その攻撃範囲外を後ろに下がりつつタイミングを見計らい反撃をする

「もう飽きたのよ!」

反撃は出来てもすぐにもう1匹に邪魔されるので有効打にはなりえない
ならばと棍棒を振り下ろした1匹のゴブリンの側方へステップし、もう1匹の追撃ができない位置から脇腹に一撃を…

拳を突き立てる前にハウンドが飛びついて来て回避を余儀なくされる
一旦距離を取り、今度は私を取り囲み3匹とも一定距離を保ったままゆっくりと私の周りを回り始めた

いつ攻撃が来てもいいように警戒しながら一息付き、ふと、目の端に炎が揺らめいていた
……ははっ
あれほど魔法を使えるようにと魔素を操る練習をしていたのに…
おかしくて笑いそうになるのを堪えながら、前を向きニヤリと口角を上げてやる

何かおかしいと感じたのかゴブリン達は一瞬お互いに顔を合わせて一斉に襲ってきた
好都合だわ
イメージが大切…っ!
ギリギリまでゴブリン達を引き付けて目を瞑り

「今だ!燦然と輝け『ブライト』」

ゴブリン達の目の前に眩い光を発生させて怯ませる
走ってきている速度を利用して目の前のゴブリンの顎に膝蹴りを命中させる
目が眩んだにも関わらず棍棒を誰も居ない場所に振り下ろしたゴブリンの顔を掴み

「水よ沸き上がれ『アクアスプラッシュ』」

口や鼻に大量の水を流し込む
地上で溺れたようにもがき苦しみゴブリンは喉を手でつかみながら地面に這いつくばった
そこにかかと落としを決めてまず1匹!

続けて倒したゴブリンの棍棒を奪いそれに魔素を込める
背中から飛び込んで来たハウンドに振り向きざまに下から振り上げた棍棒を胴に命中させ空へ打ち上げた

追撃…といきたい所だったけれど後ろにゴブリンの気配を感じ一旦距離を取る
膝蹴りをもらってふらふらな状態でもままだ戦おうとするのね
賞賛しつつ立ってるだけで精一杯のゴブリンに、円を描くように足を振り上げてそこから地面に叩きつけるように蹴りゴブリンは動かなくなる
2匹目…っ

さて…
最後の1匹
既に口から泡を吐いて痙攣している
首を全力で踏みつける
…3匹目
周りを見渡してもほとんど戦闘は終わっているわね

「ふぅ…」

この後味の悪い感覚も冒険者となり各地を巡れば忘れるのかしら?
一息ついてから皆と合流しようかしら

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