異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

29,地図を求めて三十里

川の近くに馬車を止めて、私は野宿の準備をしている

「ねえ、ラトル」
「んぁ?」
「どこの村もあんな感じなの?」
「いや、近隣王国の傘下に入っているなら王国からの業者も定期的に来るはず。そして旅人にその物資を売るなんてざらにある」
「じゃあ、たまたま感じの悪い村に当たったってわけね」
「そういうことだな」

仕方ない…と言えば仕方ないのかしら?
次の村では買えるといいのだけれど…
辺境の地域は日本でも排他的になりやすいとか聞いたことがあるけれど異世界もそうなのかしらね
そんな不安を抱きつつ朝を迎える

「王国の外ってこんなにも広いんですのね」

ミーリャ姫がぽつりと呟いている
私達は今草原を走っている
ぽつぽつと木々が群がる場所があり、子どもの時なら寝っ転がって気持ちの良い風に吹かれうたた寝をしたいくらいだわ

「ミーリャ姫の想像を超える場所なんて多分沢山ありますよ」
「本当?是非見てみたいわ!」
「姫、王国の外は魔物が居て危険すぎます」
「むうぅ…」

こうして見るとミーリャ姫とサリアさんは姉妹にみえるわね
2人はずっと一緒に居たんでしょうね

「冒険者の冒険譚など綴った物などあれば想像だけでも色々感じれるのでは無いでしょうか」
「それよ!!リンさんあなた天才ね!サリア!帰ったら早速やってもらいましょう!」
「わかりました、お父上に相談しましょうね」

王国での暮らしは退屈なんでしょうね
そのキラキラした目が物語っている
そんなほのぼのした時間もつかの間

「ねえ、あそこ!」

ケノスが何かを訴える
指さされた方を見ると数個の馬車が魔物に襲われている
護衛も居るが数で圧倒されている

「リンリン!助けてあげよう!」
「分かったわ。ケノスお願い」
「はいよ!全速ダッシュだ!!」

わざわざ危険を冒してまで助ける義理もない
敵が強ければそこで死ぬことも有り得るからね
なんせ今は一国の姫がそばに居る

「サリアさんはミーリャ姫を」
「姫以外は守れません!」

なんで助けに行くかって?
冒険者になろうとする者が目の前の助けを求める声に手を差し伸べない訳にはいかない

なんて立派な理由じゃないわ

彼らを助けて見返りに地図を貰うまで行かなくても、見せてもらえれば…って考え
あとは…風香が助けようって言ったからかしらね

「そのまま馬車の近くを通り過ぎて少し離れた場所で待機してて!」
「了解!」「まっかせな!」
「馬車の近くを通り抜ける時に飛び降りるわよ!」
「正気かよ」
「1番早いのはこれだな」
「わ、私には…むり」
「じゃあ、みんなで手を繋いで飛べば怖くないよ」
「遠足かよ」「ふははは」

全く…
風香は緊張した空気を壊す天才なのかしら?
結局、理華は里美が担いで降りることに
若干震える手を握りしめ馬車から飛び出した

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