異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

22,勝てないのなら…

状況を整理しましょう
勝ちのイメージが無い戦いはするだけ無駄よ
武術の試合でも無いんだから

時刻は夕方ね
林道なんてそもそも影が多いし、後1時間もしたらケアラがこんにちはする時間帯ね

さっきの統率の取れた動きを見るに、向こうは戦闘慣れしている
そして、そこそこの実力者だと見える
奇襲されなかっただけまだましね

真っ向から戦っても数に押されて私が確実に負ける
ともすればこのまま逃げざることもできる

でも、そうするとあの女性が命をかけて叫んだことが全くの無意味になる
唯一の足掻くチャンスを私が奪い去ることになる
逃げれたとしても後味が悪いわ

つまり、勝ち=山賊の殲滅、負け=何もせず逃げる
のどっちも出来ない

あの女性は山賊にも出来なかった私の気配を読む力がある
そこそこの実力者だと見込んでいいわね?
私がやるべき事はチャンスを作ること
あの女性と子ども、スライムを逃がせるチャンスを

これならなんとかできそうね
考えてる内に山賊達はじわり、じわりとこちらに近づいている
やるしかないわね

まだ山賊からは死角なのをいい事にもう一本遠くの木付近の背の低い草木に石をぶつけて注意を移す

「あそこだ!」
「回り込むぞ!」

小声で指示を出し合う
私は霧化して山賊が通り過ぎるのを待つ

「お前はそっちから回り込め」
「わかった」
「逃がすんじゃねえぞ」

山賊達が虚空に夢中になっている間に私は馬車の方へと向かう
が、山賊の1人が馬車で待ち構えていた
まだ間に合うっ!
全速力のダッシュで山賊の元へと向かう

「しばらく大人しくしておいてね」

山賊の懐へと潜り込み手の平を顎に目掛けて押し上げる
そのまま頭を馬車の檻にぶつける

「おぃ  ぐぅっ!!」

その後はぐったりしている
気絶したわね
よし、急がないと!

「っ!」

この馬車を引いているのって!?
上半身は人間で下半身が馬の様な生物?!
…種族名…なんだっけ?
檻の中の人も馬のような人も首輪をつけられているわね

「今解放してあげるわ」

例のごとく魔素を過剰に流し首輪を破壊する
檻の鍵は…硬すぎるわ
檻の鍵は頑丈で手で壊せるものじゃないわね…
戦闘するしか無いのねっ

犬か狼のの遠吠えに似た呻き声が響き渡った
直後、山賊達が林道へ飛び出し、3人とも背中を合わせるように円形の陣を取った

それからまもなく私の傍の低い木々から毛玉が飛び出てきた

「大丈夫か?」
「ええ、まだなんとか」

ラトルが合流してきた
これでなんとか戦えそうね…

「ラーンがやられたか…」
「だが、奴は俺たち4人の中でも最弱っ!」
「女1人ごときにやられるとは…全く情けない奴よ」

残り3人が剣を抜き、私達を中心に扇状に陣を取る
私達は馬車があって後ろには逃げられない

「3対2だ、大人しく降参するなら今のうちだぜ」
「あら、負けるのが怖いから降伏を迫るのかしら?いいのよ?負けたくないなら無様に逃げ出しても」
「ふん!舐めた口聞いた事を後悔させてやる!」
「いつも通りに行くぞ」

流石に簡単に踊らされてくれないわね

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