冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

第十三話 依頼を受けることが出来ない

僕達がまた何か良い依頼がないか探していると、呼ばれている感じがした。
まだ知り合いが少ない僕達を呼ぶなんて誰だろうと思い振り返ると、質素だが質の良い洋服を着た男? 男の子が立っていた。

「やあ、君達が噂になった冒険者だろ。俺と一緒に組まないか?」

いきなり組まないかと聞かれてしまった。
僕達は今誰ともパーティーを組むつもりはないが、何故僕達に声をかけてきたんだろう。


「組む気はないわ! 私はラウールとクロウがいたらパーティーなんて必要ないから!」

サクラが先に答えた。

「なにもそんなにむきになって断らなくてもいいだろ。俺はこの町の領主の三男のロッキン・クレイダ。これでも騎士に交じり訓練をしてるから、剣の扱いには自信があるんだ。」


「そんなことは聞いてないわ! どこかに行って!」

サクラがものすごい拒否反応だ。
今世ではサクラもソフィアやヤマトのような存在がいない限りは僕達だけで生活するつもりだろう。


「ちょっと、男の子も何か言ってよ。俺と組んだらその粗末な装備をすぐに変えることが出来るぞ。それに、俺の信用で行ける場所が増えるぞ。」


「ちょっと何を言っているのか分かりません……。僕達は誰とも組むつもりはありませんので、貴族のお仲間と一緒に活動してくださいよ。」


「貴族はダメだ。俺のおやじからして権力だけを欲しがり、信頼がおけないよ。その点君達は冒険者になり立てだろ? 長い時間一緒に生活したらお互いに信頼がおけるようになるだろ。もし信用できないのなら短期間で解散したらいいだろ?」

ん~なんですぐにあきらめないんだ?
誰とも組む気はないと言っているのに、何か理由があるのか?
いや、理由があるかもしれないが、今このタイミングで僕達を誘う意味が分からない。
強さは見せつけたが、それだけだ。


「強い仲間が欲しいなら、もっといい人たちがいるでしょ? その人達に声を掛けたら?」


「他の人? 他の人は美しくない……。俺のような高貴な人間の周りには美しい者が立っているのが当然だ!」


そこか……このパターンは初めてだ。
僕達は初めて容姿が良くなっている。
これが見た目が良いことのわずらわしさか……。

「見た目……そんなことで私達を誘わないで!」


「そんなことで済む問題ではない! 美しさは大切なんだ! それに将来俺の妻にしてやってもいいぞ。俺は貴族だから正妻にはなれないがな!」


結局はそこか……。

「ふざけたことを言わないでくださいね。」
と魔力を練る。

「僕のサクラに変なことをしたら……。」
と魔力を少しずつ漏らしていく。

「僕とサクラは既に結婚しているので。」
少し殺気を込める。

「手を出したら貴族でも許しませんよ?」
と殺気を冒険者ギルドで収まる程度に充満させる。
もちろん手は抜いている。

僕の殺気を受けたロッキンは動けない。
口を開けたまま固まっている。


他の冒険者や冒険者ギルドの職員も誰も動くことが出来ない。

そんな中でサクラが顔を赤くしてくねくねしている。
違和感満載だな……。

しかしサクラの姿を見て少し和んだ僕は殺気を消していく。


皆がほっとした表情をし始めた時、またもや上の階から人が走って降りて来る音がした。

ギルマスごめんなさい。

僕達は直ぐに舞い戻ったギルマスの部屋で謝った。
だけども僕達にあまり構わないでほしいと冒険者ギルドで御触れを出せないか確認したが、ランクが低く無理だった。

無理だとは思っていたからそこまで落ち込まないが、どうしたらいいのか聞いてみると、「早く冒険者ランクを上げろ。」そう言われてしまった。

難易度の高い依頼を多くこなすことと、護衛依頼と盗賊や町の中で犯罪を犯した人を討伐や捕まえる依頼を達成すること。後は強ければ何とでもなると教えてくれた。


何度もギルマスの部屋に来てしまっていることを謝りつつ、有益な情報を得ることが出来ている。
ギルマスには足を向けて寝れないなと思った。

こうなったからにはまだ聞くことがないか考えていると、冒険者プレートの事を聞いていないことを思い出し訪ねてみた。

「冒険者プレートで見ることが出来るスキルや数値で適した職業を見つけるんだ。お前らにも何か目安になるものがあるだろ? 例えばサクラは大剣を上手く使っていたな? 剣術あたりがあるだろ?」

「無いわよ。」

「無い……そうか、無くてもそこまで強いか...。じゃあラウールとサクラ、身体か精神もしくは魔力が五十は超えているだろ?」

「「わからないわよ(わからない)」」

「ん? 何故だ? プレートに出ているだろ?」

数値がもうすでに表示されていないことは言えない……。

「それは内緒よ!」

「あ、うんそれだとレベルもだろうな。」

「もちろんよ。」

「それではお前らはユニークスキルか加護があるだろ? どうだ、これはあっているだろ?」

あることくらいは言ってもいいかな?

「あるわね。」

サクラが言ったよ……。

「やはりな。それは特に秀でている技術となる。それを鍛えるんだ。それと数値はな、大きいほど強いぞ。昔々、俺も良く知らない歴史があってな。能力を神が数値化してこの世界を管理していると言い伝えられている。少しの数値の差で有れば体調などの変化で覆すことが出来る。しかし数値がかけ離れている場合は、弱点を突くか上手く作戦を練るかしないと相手に勝つことはできない。だからこそレベルを上げるのだ。」

レベルがここで出て来るんだな。

「レベルは魔物を倒すことで早く上げることが出来ることが知られている。魔物を倒したときに出る魔力を取り込んでいると言われている。だから強い魔物ほど倒すと多くの魔力を取り込むことが出来る。」

なるほど。

「そして、倒した者が強いほどレベルは上がりにくいと言う。この理論はまだ解明されていない。強い魔力を取り込むんだから俺なんかは素質は関係なく強くなると思ってしまうんだがな。」

確かにね~。同じ魔力を取り込んでも、レベルの上がり方が違うのは何故だろうな?

「レベルが一上がると通常であれば素質が高い部分が五上昇する。低い部分は一上がったらいいところだ。零から五の間の数値が上がることが通常だ。だがここで異色な者も出て来る。五以上の数値の上昇がある者がいる。大体は英雄になるものだな。」

英雄と呼ぶのかこの世界は。

「冒険者ランクもレベルで目安をつけることが出来るが、ステータスにもよるからこれだけでは決めることが出来ないとなり、今の形に収まったらしい。だが、Sランクの冒険者はレベル七十を超えて来る。上限がどこまであるかはわからないがな。


そんな説明を受けていると、ある程度の時間が立っていた。
僕達はギルマスにお礼を言って、また一階にもどった。

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