冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ
IF第零話 伝説になった前世
  何か困ったことがあるとデーブンに呼ばれていたな。
  僕たちが魔の森に籠り、人族の寿命が尽きるまでデーブンとは良い関係を築いた。
  しかしデーブんは人族……僕たちも人族のはずだが老ける気配が二十歳からなくなった。
……
  両親がデーブンより長く生きた。
  嬉しいが、やはり寂しかった。
  前世ではありえない環境で僕を大切にしてくれた両親――――ありがとう。
  そこまで生きると勇者も老けていた。
  ある勇者は若いまま旅に出て行方が分からなくなったり、ある勇者は闇落ちをしてこの世界に敵対したが、僕たちが解決した。
……
  ほとんどの勇者は勇者同士結婚していた。
  やはり最後までこの世界の人族とは結婚まではいけなかったようだ……
  勇者も魔力の高さのおかげか長寿だったが、子孫を残し亡くなった。
  勇者の子孫は他の種族と結婚し子孫を残し、段々と代を重ねる事にこの世界に埋もれて行った。
  そんな感じで僕たちにとっては急ぎ足で過ぎていく世界でも、困った時には地味な人族二人とエルフが一人、黒猫の獣人が一人に八咫烏と言う従魔を連れた【黒猫】と言われる集団が現れ自分たちでは解決出来ないことを解決してくれる人たちがいると言い伝えられた。
  その者たちの善悪の判断は独特だが、先登では適うものなしと……
  そんな世代交代をいくつも経験していたが、僕たち四人と一匹はいつまでも変わらずに魔の森で生活していた。
  魔の森も変わることもなく、僕たちは変わらぬ環境でいつまでも一緒にいることが出来ると考えていた。
  そんなある日、僕は何かを忘れていると感じることがあった。
  更に次の年になる頃には、思い出せないことが増えてきた。
  ……とうとう来た……老化だと思った。
~~~~~
「サクラ?」
  僕はいつも隣にいた大切な人の名前を呼んだ。
  大切だけど、どんな関係だったっけ?
  夫婦? 恋人? 友達?
  いくら呼んでもサクラが隣にこない……
  今までそんなことはなかったのに……?
  あっ…………
  サクラはもういないんだった。
  僕より少し先?
  ずいぶん先?
  ――に今世から旅立ったのだった……
  思い出した。
  ――僕たちは結局そのままの関係だった。
  友達以上恋人未満、そんな関係のままで過ごしていたんだった……
  結婚したかったな~。
  前世も今世も結局は機会を逃しちゃったな。
  サクラはどんな気持ちだったんだろう?
  もしサクラも結婚しなかったことを残念に思ってくれたならうれしいけど。
  ……もう確かめようがないな。
  ようやく目の前が明るくなってきた。
  目の前にはクロウがいた。
  ソフィアは全く姿が変わらず、ヤマトは龍の姿で僕を包み込んでいる。
  『今までありがとう』もう声が出ない。
だけど気持ちを込めて念を送る。
  しんみりとした雰囲気が少し和らいだが、鳥の目にも涙、クロウが泣いている。
  結局クロウより先に逝ってしまうか……
  クロウは僕がいなくても生きていけるかな?
従魔とは言え一つの命だから大丈夫かな。
……
……
……
  鮮明な時間が終わってしまったのか、目の前がまたもやがかかったようになってきた。
  ……そろそろ時間かな?
  楽しかったな~。
  前世での死は突然訪れていたから感じなかったけど、こんな気持ちで死ねるのなら、もう一度生き返ってもいいな。
  もうそんなことはないが、つい考えてしまった。
『ラウール。待っていたわよ。私はラウールと一緒に死にたかったけど、持ちこたえられなかった。だから次の人生は一緒に生きて一緒に死にましょ。次の人生は友達とか仲間ではなくて、一生の伴侶として生きたいから、プロポーズをラウールからしてね。』
  サクラの声が聞こえる。
  これは最後に僕の望みがサクラの声で聞こえただけ?
『もう、いつも鈍いわね。じゃあねクロウにソフィア、ヤマト。楽しかったわよ。また次に出会うことが出来たらよろしくね』
「ラウール! サクラ! 我はきっと次も二人の子! しばらくお別れ!」
……
……
……
……
「我願う 我の大切な者に安らぎを 我の願いは安らぎと絆   我の声を聞いた神よ 我らに祝福を――」
  クロウの祈りの声を聞きながら二度目の人生を閉じた。
  ん?
  クロウの祈りを聞いていた自分がいた。
  一瞬今までの記憶が鮮明に頭に流れる。
  嫌な記憶、地球での何者でもない自分。
  早く亡くなってしまった両親の事を思い、老人が安らかに過ごせる場所で良い看護を提供したいと転職して、死んでしまった情けない看護師だった自分。
  次に冒険者ラウール。Sランクの冒険者となり強い魔物の群れも無傷で倒しきる実力を持った人族だ。地球から召喚された勇者が複数いたが、勇者よりも強く創作も魔法でこなせていた。二十歳の時には魔王も出現して最終的には勇者ではなく僕が倒した。
  何か虚しくなり殆どの時間をSランクの魔物も多く出現する魔の森で過ごしていた。
  その後にちょっと遠征し魔族の国でも色々とあったが長い永い人生、語るには邂逅しているこの時間では言いきれぬ物語もあった。
  ま~簡単にまとめるとただ最強な人生だった。
  相方のサクラ。
  コケシのような外見で僕の愛しい存在の人族の女。この愛しい存在も最強になっていて僕の活動を支えてくれた。
  従魔のクロウは僕とサクラが魔物の卵から孵した。子供と同じくらい可愛い存在だった。八咫烏と言う種族に産まれてしまい、シチランジンと言う僕達が暮らしていた世界では、唯一の魔物だった。このクロウも最強だったが、僕の人生後半は、マッピングが一番役にたっていたと思う。
  そんな存在だったが特定の状況であれば僕達も負けるかもしれない魔物だった。もしかしたら魔物を通り越して神性な存在かもしれないが。
  その後に仲間になったソフィアはハイエルフだった。寿命が尽きることを知らないくらい長寿で僕を看取ってくれた。ソフィアも最強の一角だった。
  黒猫の姿が大分定着していたヤマト。ヤマトは緑龍だった。黒猫の獣人の姿に見慣れてしまっていたが、最後は龍の姿で僕を温かく包み見送ってくれた。何だかんだとデーブンの荷物運び情報ギルドの配達にはまってしまい、僕達の中で一番街に出向いていた感じがする。
  ここで出てきたデーブン。初めはただ一緒の依頼を受けた冒険者だったが、何を考えたのか一年で世界規模のギルドを作り上げた。
  流石に予想外だったが、死ぬまで付き合いがあって、パーティーメンバー以外では一番信頼してしまっていた。
  僕達のパーティー、【黒猫】と言う名の仲間で活動していた幸せな人生。
  そんな幸せな人生で出会った人物が出てくる邂逅。
  色々な映像が頭の中で流れながら僕は光に包まれていた。
  僕たちが魔の森に籠り、人族の寿命が尽きるまでデーブンとは良い関係を築いた。
  しかしデーブんは人族……僕たちも人族のはずだが老ける気配が二十歳からなくなった。
……
  両親がデーブンより長く生きた。
  嬉しいが、やはり寂しかった。
  前世ではありえない環境で僕を大切にしてくれた両親――――ありがとう。
  そこまで生きると勇者も老けていた。
  ある勇者は若いまま旅に出て行方が分からなくなったり、ある勇者は闇落ちをしてこの世界に敵対したが、僕たちが解決した。
……
  ほとんどの勇者は勇者同士結婚していた。
  やはり最後までこの世界の人族とは結婚まではいけなかったようだ……
  勇者も魔力の高さのおかげか長寿だったが、子孫を残し亡くなった。
  勇者の子孫は他の種族と結婚し子孫を残し、段々と代を重ねる事にこの世界に埋もれて行った。
  そんな感じで僕たちにとっては急ぎ足で過ぎていく世界でも、困った時には地味な人族二人とエルフが一人、黒猫の獣人が一人に八咫烏と言う従魔を連れた【黒猫】と言われる集団が現れ自分たちでは解決出来ないことを解決してくれる人たちがいると言い伝えられた。
  その者たちの善悪の判断は独特だが、先登では適うものなしと……
  そんな世代交代をいくつも経験していたが、僕たち四人と一匹はいつまでも変わらずに魔の森で生活していた。
  魔の森も変わることもなく、僕たちは変わらぬ環境でいつまでも一緒にいることが出来ると考えていた。
  そんなある日、僕は何かを忘れていると感じることがあった。
  更に次の年になる頃には、思い出せないことが増えてきた。
  ……とうとう来た……老化だと思った。
~~~~~
「サクラ?」
  僕はいつも隣にいた大切な人の名前を呼んだ。
  大切だけど、どんな関係だったっけ?
  夫婦? 恋人? 友達?
  いくら呼んでもサクラが隣にこない……
  今までそんなことはなかったのに……?
  あっ…………
  サクラはもういないんだった。
  僕より少し先?
  ずいぶん先?
  ――に今世から旅立ったのだった……
  思い出した。
  ――僕たちは結局そのままの関係だった。
  友達以上恋人未満、そんな関係のままで過ごしていたんだった……
  結婚したかったな~。
  前世も今世も結局は機会を逃しちゃったな。
  サクラはどんな気持ちだったんだろう?
  もしサクラも結婚しなかったことを残念に思ってくれたならうれしいけど。
  ……もう確かめようがないな。
  ようやく目の前が明るくなってきた。
  目の前にはクロウがいた。
  ソフィアは全く姿が変わらず、ヤマトは龍の姿で僕を包み込んでいる。
  『今までありがとう』もう声が出ない。
だけど気持ちを込めて念を送る。
  しんみりとした雰囲気が少し和らいだが、鳥の目にも涙、クロウが泣いている。
  結局クロウより先に逝ってしまうか……
  クロウは僕がいなくても生きていけるかな?
従魔とは言え一つの命だから大丈夫かな。
……
……
……
  鮮明な時間が終わってしまったのか、目の前がまたもやがかかったようになってきた。
  ……そろそろ時間かな?
  楽しかったな~。
  前世での死は突然訪れていたから感じなかったけど、こんな気持ちで死ねるのなら、もう一度生き返ってもいいな。
  もうそんなことはないが、つい考えてしまった。
『ラウール。待っていたわよ。私はラウールと一緒に死にたかったけど、持ちこたえられなかった。だから次の人生は一緒に生きて一緒に死にましょ。次の人生は友達とか仲間ではなくて、一生の伴侶として生きたいから、プロポーズをラウールからしてね。』
  サクラの声が聞こえる。
  これは最後に僕の望みがサクラの声で聞こえただけ?
『もう、いつも鈍いわね。じゃあねクロウにソフィア、ヤマト。楽しかったわよ。また次に出会うことが出来たらよろしくね』
「ラウール! サクラ! 我はきっと次も二人の子! しばらくお別れ!」
……
……
……
……
「我願う 我の大切な者に安らぎを 我の願いは安らぎと絆   我の声を聞いた神よ 我らに祝福を――」
  クロウの祈りの声を聞きながら二度目の人生を閉じた。
  ん?
  クロウの祈りを聞いていた自分がいた。
  一瞬今までの記憶が鮮明に頭に流れる。
  嫌な記憶、地球での何者でもない自分。
  早く亡くなってしまった両親の事を思い、老人が安らかに過ごせる場所で良い看護を提供したいと転職して、死んでしまった情けない看護師だった自分。
  次に冒険者ラウール。Sランクの冒険者となり強い魔物の群れも無傷で倒しきる実力を持った人族だ。地球から召喚された勇者が複数いたが、勇者よりも強く創作も魔法でこなせていた。二十歳の時には魔王も出現して最終的には勇者ではなく僕が倒した。
  何か虚しくなり殆どの時間をSランクの魔物も多く出現する魔の森で過ごしていた。
  その後にちょっと遠征し魔族の国でも色々とあったが長い永い人生、語るには邂逅しているこの時間では言いきれぬ物語もあった。
  ま~簡単にまとめるとただ最強な人生だった。
  相方のサクラ。
  コケシのような外見で僕の愛しい存在の人族の女。この愛しい存在も最強になっていて僕の活動を支えてくれた。
  従魔のクロウは僕とサクラが魔物の卵から孵した。子供と同じくらい可愛い存在だった。八咫烏と言う種族に産まれてしまい、シチランジンと言う僕達が暮らしていた世界では、唯一の魔物だった。このクロウも最強だったが、僕の人生後半は、マッピングが一番役にたっていたと思う。
  そんな存在だったが特定の状況であれば僕達も負けるかもしれない魔物だった。もしかしたら魔物を通り越して神性な存在かもしれないが。
  その後に仲間になったソフィアはハイエルフだった。寿命が尽きることを知らないくらい長寿で僕を看取ってくれた。ソフィアも最強の一角だった。
  黒猫の姿が大分定着していたヤマト。ヤマトは緑龍だった。黒猫の獣人の姿に見慣れてしまっていたが、最後は龍の姿で僕を温かく包み見送ってくれた。何だかんだとデーブンの荷物運び情報ギルドの配達にはまってしまい、僕達の中で一番街に出向いていた感じがする。
  ここで出てきたデーブン。初めはただ一緒の依頼を受けた冒険者だったが、何を考えたのか一年で世界規模のギルドを作り上げた。
  流石に予想外だったが、死ぬまで付き合いがあって、パーティーメンバー以外では一番信頼してしまっていた。
  僕達のパーティー、【黒猫】と言う名の仲間で活動していた幸せな人生。
  そんな幸せな人生で出会った人物が出てくる邂逅。
  色々な映像が頭の中で流れながら僕は光に包まれていた。
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