冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

ダイヤ伯爵の呼び出しが

あんなことがあったが、僕たちは直ぐに都を出ることはしなかった。
一応もう数日は荷物運び情報ギルドに足を運ぶことにした。

その一日目で動きがあった。
ダイヤ伯爵の遣いと言い、ジャネスがギルドで待っていた。

何故こんな事を起こしてまでジャネスが?と思ったが、僕たちはギルドの喫茶コーナーで話を聞き始めた。

「あなたたちをダイツクが呼んでいるから明日館に来なさい。」

魔物の討伐の時に一緒にいた人族のジャネスが言い放った。
謝罪も何もない。

「あなたね! 先に言うことがあるんじゃないの!」

僕が口を開く前にサクラが答えた。

「は~、私が言いたいことだけどそれは。貴族の娘で、ダイツクの婚約者である私が命じただけよ。それを邪魔したんだもの。そちらから謝罪をするべきでしょ。ダイツクは自分が出向いて謝罪すると言い出したから、私が今日会ってくるって言ったのよ。」

は~。ダイヤ伯爵は謝罪する気持ちはあったのか。だけどジャネスが来た。
このジャネスを止めることが出来なかったんなら、ダイヤ伯爵も同罪だな。
婚約者に優しいのではなく甘い・・・。

「反省していないって事ね! これじゃあ、ダイヤ伯爵が止めたのに、あなたが勝手にやったんでしょ!」

「そうよ、悪い。あなたたちは得体が知れないのよ。そんな危ない者を放置するなんて、いくらダイツクが言ってもダメよ。他の誰も動かなかったから、私が動いたのよ!」

他の人は誰も動かなかったなんて、ダイヤ伯爵はジャネス以外は押さえれたんだな。
だけど、約束は破られた・・・。

「じゃあ、あなたの婚約者のダイヤ伯爵が私の敵でいいのね!」

・・・・

「それは不敬罪を適応してもいい話ね。」

ジャネスがそう言うと、後ろに控えていた二人の騎士が剣に手をかけた。

「逆に、それはあなたとダイヤ伯爵を敵と認識するわよ。誰も私たちを害することなんて許さない・・・。」

サクラの殺気が徐々に強くなり、ギルド内にいた者の顔色が悪くなっている。

向かい合っているジャネスたちはもっとキツいだろうが、戦いなれているからか耐えている。

「くっ! 最終通告よ。今の言葉、昨日の事を謝らなければ、ダイツクに言って不敬罪として処分してもらうわ!」

ジャネスが決めることでないだろう・・・。

「こっちも最終通告よ・・・。私たちを探ったことを謝り、今日のこの態度を謝らないと、ラウールが止めても私は敵よ! 」

おう、やっぱり怒っている。
だけど、サクラ一人にはしない。
僕が言ったことを無視されて怒っているから・・・。

「じゃあ俺も敵だな。」
「私も敵ですね。」
「もちろん僕も敵だよ。」
クロウは姿を現していないが、クロウの殺気も感じる。

普通であれば貴族の婚約者に対する態度ではないだろう。
僕たちが不敬と言われるのも確かだろ。
だけど、約束を破ったのはあちらだしね。

僕たち【黒猫】の殺気が強くなっていく。

非戦闘員のギルド員はいっぱいいっぱいだ。

ジャネスたちも同じようで、キッと僕たちを睨むと、ギルドから出て行った。

~~~~~

ジャネスが出ていってから僕たちはまた話し合った。
日本人だったであろうダイヤ伯爵を直ぐに見捨てるのも悪いから、もう一度だけ様子を見ることにした。

これで敵対するのなら、ここには用事がないので立ち去る。

サクラはこのまま【黒猫】の誰かが馬鹿にされた場合、切れるだろう。
それだけは僕が止めることにする。
相手のためではなく、サクラのために。

~~~~~

そして次の日も僕たちは荷物運び情報ギルドにいた。
一応僕たちが悪いわけでないと見せたい部分もあったからだ。

そして僕たちがギルドに入ると直ぐに手紙が渡され、それを今見ようとしていた。

きちんとダイヤ伯爵の紋章で封蝋されていた。
『ラウールへ

今回の騒動は止めることが出来なかった私の責任だ。すまない。婚約者だが、ジャネスにも罰を与える。あのときの口約束とは言え、約束を違えた私が全て悪い。回りの者を止めることが出来なかった。今後はこんなことを起こさないことを誓う。

ダイツク・ダイヤ』

手紙だが謝罪を受けてしまった。
ここまで怒っていたが、通常の貴族なら本当に僕たちを不敬罪で処罰していただろう。

なので、この手紙だけは認めよう。
表だって敵対もしないでおこう、不快なことがなければ。

サクラも手紙を読んで一応矛を納めてくれた。同じようなことがあった場合は手加減しないと呟いて・・・。


手紙を読んだあとに受け付けに声をかけてほしいと言われていて、僕たちは声をかけた。

すると、もう一通の手紙を出され、許してくれるなら渡すように言われたと説明してくれた。

その手紙も受け取り内容を確認すると、こちらは館への招待状だった。

急だが明日のお昼前に館に来て欲しい。
出来るなら武器は携帯しないで来て欲しい。
昼食は用意するので何も食べないで来て欲しい。
色々な情報交換をしたいので、話すことができる範囲をみんなで決めて来て欲しい。

そう、お願いが多く書かれていた。

その内容を確認し、荷物運び情報ギルド員にダイヤ伯爵への返事をお願いした。
ただ、明日向かうことと、できるだけ手紙の中の要望に答えますと。

その後は荷物運び情報ギルドを出て、みんなでどの話ならしてもいいか決め、僕が代表して話すことになった。

明日は気が重いと感じているラウールだった。

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