冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ
フロックリンへの帰還
帰りは一日移動時間を短縮できそうだった。
魔物の警戒はするが、オークの襲撃の警戒はしなくてもいい。
負傷している者も、回復アイテムで移動には支障がない状態だ。
帰り道は僕たちが何もしないことに騎士がいら立ち、怒鳴りつけて来ることもあった。
その時は周りにいる女性の騎士が間に入ってくれたが、行きとは違い僕たちが怪我をしてもいいと考えているようだった。
そういった騎士は決まって偉そうだった。
実際にオークと戦い負傷もしたのであろう痕が鎧についているが、僕たちにあたられてもしょうがない。
本当に強い騎士は淡々と役割をこなしている。
フロックリンに到着する日に至っては、あの演説した偉そうな騎士も僕たちに絡んできた。
なんでも、物資の消費が激しかったから荷物運び情報ギルドの取り分を減らさせてほしいと言ってきた。
その言葉にギルドを代表して別のギルド員がここで決めることはできないと答えていたが引き下がらない。
「お前たちが素材の量を誤魔化して、その分を我ら騎士団へ回したらいいじゃないか! ここで決めろ! 従わないならその荷物は我ら騎士が運ぶ。お前たちは自分で身を守りついてくるんだな!」
偉そうな騎士が荷物運び情報ギルド員にそう言い放った。
さすがに戦闘力がないギルド員は顔色を悪くしている。
抗議したいが、なかなか次の言葉が出てきていない。
この騒ぎは冒険者も聞いており、冒険者も自分たちの取り分が減らされるのではないかと心配し始めた。
ざわつきが広がり、冒険者の不安の声も聞こえている。
「騎士がそんなことを言ってもいいのか?」
ざわつきの中から出てきたバイスが騎士に声をかけた。
「我ら騎士の決定に従えないのか? 我らは領主様のところの部隊だぞ。我らに逆らうという事は、領主様に逆らう事と一緒だぞ。」
「それは領主様が決定することで、あなたが現場で決める事ではないだろう。あらかじめ回収した素材の取り分は決められていただろう? その取り分を決めたのも領主様だろ?」
「ふん、そんなことはわかっている。だから数を誤魔化せと言ってるんだ。誤魔化した数以外を既定の割合で分けたらいいだろ?」
「それがダメだって言っているんですがね。このことを領主様に言った場合はあなたはどうなるでしょうね? 違法なことをした場合は領主様が冒険者ギルドと荷物運び情報ギルドから協力を断られることになるでしょうね。それはまずくないですか? その原因をあなたは作るのですか?」
「そんなこと、お前らが黙っていたらいいだろ。私も貴族の息子の端くれ。貴族に逆らうのか?」
「何と言われようと無理です。周りの騎士様方もこの騎士様の言う事に賛成ですか?」
ざわざわと騎士も周りの人と話している。
この偉そうな騎士の意見が当然だと言っている者もいるが少数だ。
さすがに出発の時にこの偉そうな騎士の演説で騒いでいたであろう者もまずい状況だと考えている。
「お前たち、私の意見に同意しないのか?」
偉そうな騎士がそう言っても同意の声が上がらない。
「だったら荷物運びのお前ら。荷物をよこすんだ。私たち騎士が運ぶからお前たちは勝手に帰ってくるんだな。」
「だからそれはさっきから言っているじゃないですか! 仕事の割り振りが決まっていて、荷物運び情報ギルド員はその仕事を全うしているでしょ! 我ら冒険者も一緒だ!」
バイスもさすがに大きな声を上げているが、偉そうな騎士だけはよくわかっていないようだ。
「冒険者は荷物運び情報ギルド員を守りますよ。それに、素材の量も誤魔化されないように、馬車も見張りますよ。騎士様方もいいのですか? 上司の言った事に逆らえなかったでは済まないと思いますよ? 新興のギルドとはいえ、すでに世界に展開している荷物運び情報ギルドをなめてかからないほうが良いですよ?」
「はんっ! 物を運ぶしか能のない奴らに何ができる!」
「荷物運び情報ギルドですよ? 情報の部分で、ギルド設立にあたりデーブン氏に敵対した者の醜聞もだいぶ集めたようですよ?」
デーブン・・・。
脅すための情報収集にも抜かりはなかったのか・・・。
一年でそこまでするのには並大抵の努力じゃあ到達できなかっただろうな。
僕たちとは別のチートでも持っていたんでないかと疑いたくなる。
「私には知られて困る情報はない。」
「あなたになくとも、フロックリンの領主様にあったらどうしますか? その情報が権力争いをしている相手に伝わったらどうしますか?」
バイスもぎりぎりを攻めている。
言いすぎると不敬罪で領主様付きの騎士に切られるぞ。
「ふん! お前らは自分たちでフロックリンに戻るんだな! 守ってやらないぞ!」
「それは結構ですが、到着したときに数を誤魔化したと言われたくないので、何人かは我々の馬車を見張っていてくださいね。」
ようやく荷物運び情報ギルド員も口を開いた。
「このことは上司に報告させていただきますから。」
その言葉を聞き、忌々しそうな顔をしながらも、見張りの騎士を馬車に付け立ち去って行った。
偉そうな騎士は宣言通り僕たち荷物運び情報ギルドの馬車の守りを放棄した。
冒険者も僕たちの周りに数人いるが、ほとんどは僕たちを置いて行った。
冒険者は当初守りの手伝いをしようとしていたが、ギヌンがバイスに何か話し、バイスが他の冒険者に何かを話をするとみんなが散っていった。
あまり驚いた顔をしていないという事は、ギヌンは上手く僕たちの事を伝えてくれたのだろう。
そこから残りの行程は短かった。
僕たちは向かってくる魔物をナイフで切り裂き、自分たちのマジックボックスに入れた。
出来るだけ苦戦して見せていたが、少しも傷を負わない僕たちを驚いた顔で冒険者は見ていた。
一番強かったのが集落から外れていたのかオークソルジャーがいた。
数匹のオークを引き連れていたが、僕たちだけで対処した。
さすがにほかの者より遅れていた騎士も自分たちの命がかかっていると思い一緒に戦おうとした。
だが僕たちには邪魔なので、冒険者と一緒に馬車の横で守りを任せた。
このオークの集団も僕たちだけで倒して見せるとさすがの騎士も言葉が丁寧になっていた。
不自然な丁寧言葉だが、自分達より強いと感じたようだ。
そんな騒ぎもありながらフロックリンに到着し、集合場所の門前へと馬車を進めた。
魔物の警戒はするが、オークの襲撃の警戒はしなくてもいい。
負傷している者も、回復アイテムで移動には支障がない状態だ。
帰り道は僕たちが何もしないことに騎士がいら立ち、怒鳴りつけて来ることもあった。
その時は周りにいる女性の騎士が間に入ってくれたが、行きとは違い僕たちが怪我をしてもいいと考えているようだった。
そういった騎士は決まって偉そうだった。
実際にオークと戦い負傷もしたのであろう痕が鎧についているが、僕たちにあたられてもしょうがない。
本当に強い騎士は淡々と役割をこなしている。
フロックリンに到着する日に至っては、あの演説した偉そうな騎士も僕たちに絡んできた。
なんでも、物資の消費が激しかったから荷物運び情報ギルドの取り分を減らさせてほしいと言ってきた。
その言葉にギルドを代表して別のギルド員がここで決めることはできないと答えていたが引き下がらない。
「お前たちが素材の量を誤魔化して、その分を我ら騎士団へ回したらいいじゃないか! ここで決めろ! 従わないならその荷物は我ら騎士が運ぶ。お前たちは自分で身を守りついてくるんだな!」
偉そうな騎士が荷物運び情報ギルド員にそう言い放った。
さすがに戦闘力がないギルド員は顔色を悪くしている。
抗議したいが、なかなか次の言葉が出てきていない。
この騒ぎは冒険者も聞いており、冒険者も自分たちの取り分が減らされるのではないかと心配し始めた。
ざわつきが広がり、冒険者の不安の声も聞こえている。
「騎士がそんなことを言ってもいいのか?」
ざわつきの中から出てきたバイスが騎士に声をかけた。
「我ら騎士の決定に従えないのか? 我らは領主様のところの部隊だぞ。我らに逆らうという事は、領主様に逆らう事と一緒だぞ。」
「それは領主様が決定することで、あなたが現場で決める事ではないだろう。あらかじめ回収した素材の取り分は決められていただろう? その取り分を決めたのも領主様だろ?」
「ふん、そんなことはわかっている。だから数を誤魔化せと言ってるんだ。誤魔化した数以外を既定の割合で分けたらいいだろ?」
「それがダメだって言っているんですがね。このことを領主様に言った場合はあなたはどうなるでしょうね? 違法なことをした場合は領主様が冒険者ギルドと荷物運び情報ギルドから協力を断られることになるでしょうね。それはまずくないですか? その原因をあなたは作るのですか?」
「そんなこと、お前らが黙っていたらいいだろ。私も貴族の息子の端くれ。貴族に逆らうのか?」
「何と言われようと無理です。周りの騎士様方もこの騎士様の言う事に賛成ですか?」
ざわざわと騎士も周りの人と話している。
この偉そうな騎士の意見が当然だと言っている者もいるが少数だ。
さすがに出発の時にこの偉そうな騎士の演説で騒いでいたであろう者もまずい状況だと考えている。
「お前たち、私の意見に同意しないのか?」
偉そうな騎士がそう言っても同意の声が上がらない。
「だったら荷物運びのお前ら。荷物をよこすんだ。私たち騎士が運ぶからお前たちは勝手に帰ってくるんだな。」
「だからそれはさっきから言っているじゃないですか! 仕事の割り振りが決まっていて、荷物運び情報ギルド員はその仕事を全うしているでしょ! 我ら冒険者も一緒だ!」
バイスもさすがに大きな声を上げているが、偉そうな騎士だけはよくわかっていないようだ。
「冒険者は荷物運び情報ギルド員を守りますよ。それに、素材の量も誤魔化されないように、馬車も見張りますよ。騎士様方もいいのですか? 上司の言った事に逆らえなかったでは済まないと思いますよ? 新興のギルドとはいえ、すでに世界に展開している荷物運び情報ギルドをなめてかからないほうが良いですよ?」
「はんっ! 物を運ぶしか能のない奴らに何ができる!」
「荷物運び情報ギルドですよ? 情報の部分で、ギルド設立にあたりデーブン氏に敵対した者の醜聞もだいぶ集めたようですよ?」
デーブン・・・。
脅すための情報収集にも抜かりはなかったのか・・・。
一年でそこまでするのには並大抵の努力じゃあ到達できなかっただろうな。
僕たちとは別のチートでも持っていたんでないかと疑いたくなる。
「私には知られて困る情報はない。」
「あなたになくとも、フロックリンの領主様にあったらどうしますか? その情報が権力争いをしている相手に伝わったらどうしますか?」
バイスもぎりぎりを攻めている。
言いすぎると不敬罪で領主様付きの騎士に切られるぞ。
「ふん! お前らは自分たちでフロックリンに戻るんだな! 守ってやらないぞ!」
「それは結構ですが、到着したときに数を誤魔化したと言われたくないので、何人かは我々の馬車を見張っていてくださいね。」
ようやく荷物運び情報ギルド員も口を開いた。
「このことは上司に報告させていただきますから。」
その言葉を聞き、忌々しそうな顔をしながらも、見張りの騎士を馬車に付け立ち去って行った。
偉そうな騎士は宣言通り僕たち荷物運び情報ギルドの馬車の守りを放棄した。
冒険者も僕たちの周りに数人いるが、ほとんどは僕たちを置いて行った。
冒険者は当初守りの手伝いをしようとしていたが、ギヌンがバイスに何か話し、バイスが他の冒険者に何かを話をするとみんなが散っていった。
あまり驚いた顔をしていないという事は、ギヌンは上手く僕たちの事を伝えてくれたのだろう。
そこから残りの行程は短かった。
僕たちは向かってくる魔物をナイフで切り裂き、自分たちのマジックボックスに入れた。
出来るだけ苦戦して見せていたが、少しも傷を負わない僕たちを驚いた顔で冒険者は見ていた。
一番強かったのが集落から外れていたのかオークソルジャーがいた。
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さすがにほかの者より遅れていた騎士も自分たちの命がかかっていると思い一緒に戦おうとした。
だが僕たちには邪魔なので、冒険者と一緒に馬車の横で守りを任せた。
このオークの集団も僕たちだけで倒して見せるとさすがの騎士も言葉が丁寧になっていた。
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