冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ
フロックリン領を探索する
商人のスタイルが決まった僕たちは、フロックリンの周辺を探索することにした。
今回は特に商売を考えていないので、道に沿って移動している。
帝国でも移動している商人や冒険者、ただの一般人のような人も道を歩いていた。
時々道を歩いている者に魔物が攻撃を仕掛けているが、他の国よりも魔物が多く感じる。
更にフロックリンから離れると、動物型ではなく、オークが頻繁に出現していた。
オークの数が気になり、立ち止まっている冒険者に慎重に話しかけると、最近オークが多くなっていると教えてくれた。
オークの出現で全滅した村もあり、冒険者ギルドにはオーク討伐の依頼と、オークの集落を捜索する依頼が出ているそうだ。
僕たちはこの冒険者にお礼を言い、情報料として回復ポーションをいくらか渡すと喜ばれた。
冒険者と別れた後は周りに誰もいないことを確認し、話し合いをした。
「僕たちは今人の姿をしているのに、つい周りに人がいないか確認しちゃうね。」
「そうね。しばらくこの姿で行動してなかったからまだなれないね!」
「我は変わらない。」
「俺も無口になってしまった・・・。声の大きさが前はどれくらいだったか忘れたぜ!」
「それくらいでいいですよヤマト。まずは今どうするか考えましょう。」
「そうだよ。オークの事を聞いちゃったからには、僕たちも動く?」
「そうねー。目立たないように、姿を見られないように出来るかな?」
「もしオークの拠点を殲滅するなら無理でしょう。」
その時キョロキョロしていたクロウが口を開いた。
「ラウール! あっちでオークに襲われている人の気配がする!」
あっち?
示す方向はトムシーカと戦った方向だな。
「クロウ、クロウが一番気配を探知する能力が高いけど、もしかしてトムシーカと戦ったあたり?」
「そう、その辺。我の感じる通りだと人は負けるよ!」
負けるか・・・。
クロウが言うのであれば正しいんだろうな。
「みんなどうする?」
「さすがにわかっているのに見捨てるのはね・・・。」
「そうだよねサクラ・・・。みんなも助けに行くでいいかな?」
もちろんみんなが賛成した。
助けられる命なら助けたいと言う気持ちだった。
そこからは早かった。
僕が近くにみんなと転移し、見つからないように冒険者が見えるところまで移動した。
やはり僕たちがトムシーカを倒したところにオークがいた。
オークは五匹だが、普通のオークより大きく、色が禍々しい黒だった。
色は普通のオークではないが、上位種でもない気配だ。
変異種?
少しオークを観察してしまったが、オークに攻撃されている冒険者が押され始めているので介入することにした。
僕は五人の冒険者に向かって声をかける。
「手助けは必要ですか!」
「お、おう、おう! 手を貸してくれ!」
一人貫禄のある冒険者が返事をした。
年配の冒険者が一人と若く見える二人の男の冒険者と、二人の女の冒険者がこちらを向いた。
「じゃあ少しこらえてね! サクラ、ヤマトオークを抑えて! ソフィアは結界を、クロウは上から適当に攻撃して! 僕は接近戦で攻撃する!」
僕が言うのが早いか動くのが早いか、ソフィアはすぐに結界を張り冒険者を守っている。
クロウも上空からチマチマした魔法を唱えて前に集中できないようにしている。
そこにヤマトが鉄の爪で切りかかる。
サクラも久しぶりに目立つがロマンの大鎌を取り出し攻撃、僕はこん棒で攻撃する。
さすがにオーク程度には過剰戦力で、僕が一匹オークの頭をつぶし、サクラは大鎌で二匹の首を狩った。
ヤマトも鉄の爪で四肢を切り裂き二匹のオークを倒した。
一瞬でオークの集団は壊滅した。
「大丈夫ですか? なんか変なオークだったけど、この国のオークはこんな感じなの?」
・・・・
・・・・
口をパクパクさせ冒険者は言葉がなかなか出てこなかった。
しかし自分を落ち着かせたのか、年配の冒険者が声を出した。
「あ、ありがとう・・・。助かったよ。普通のオークなら負けることはないが、このオークは? 俺も初めて見た。黒いオーク? 上位種とも違う? この国もオークはあのオークだ・・。」
「オークはオーク? 黒いオークのは普通ではないって言う事で良いんだよね? それで怪我はない?」
「ああ、普通ではないオークだ。怪我はあるが大したことはない。お前たちのおかげだ。お前たちが助っ人に入ってくれなかったらやばかったかもしれん・・・。」
「それは良かった。じゃあ回復もしなくていいね? じゃあ僕たちは行くよ。」
「ちょっと待ってくれ! 助けてもらってこのまま帰すわけには! こいつらも冒険者になりたてで死ななくて済んだんだ、お礼をさせたい! お前たち・・・・、失礼、君たちのような冒険者にこいつらもなってほしいんだ!」
そう言って若い冒険者に目くばせをしている。
「お礼なんてなくていいよ、僕たちは商人だから、僕達を目指さず頑張って。」
目の前の冒険者の動きがまた止まった。
「あっ! 今はだよ。今は冒険者活動を休んで商人として活動してるから。」
さすがに商人に助けられる冒険者は立場がないから言ってしまった。
「商人・・・。しかし冒険者でも高ランクだったんだろ?」
「それは秘密です。本当なら言うつもりはなかったんだけど、そこの若い冒険者に悪いと思ったからね? 僕たちの事は内緒ね。」
・・・・
「ありがとう・・・。俺達ここで死ぬかと思った・・・。ようやく村から出て来て、冒険者になって稼ごうとギヌンさんに鍛えてもらってたのに・・・。ありがとう、仲間も死ななくてよかった・・・。」
「いいよ、後輩の面倒を見るのも先輩の役目だしね! 今は商人だけど、冒険者に戻ることもあるだろうから。またどこかで会ったらお礼の続きを聞くよ。」
「「「「はい!」」」」
「ありがとうな。俺がついていながら・・・。ただ本当にこのオークは普通ではなかったから気を付けるんだぞ。君たちは強いだろうけど、最近のオークの出現数は異常だからな。」
そんな話をして最後までお礼を言われていたが、冒険者たちはフロックリンへ戻っていった。
冒険者を見送ったあと僕たちは念のため地面を浄化した。
今では体の汚れだけを落とせるようになった精密な浄化に魔力を込めて。
それからある程度の時間魔力を込めていると地面はきれいになった。
トムシーカの血が原因だったのか?
それともトムシーカが飲み込んだ物体が他にもあるのか?
結局オークを探してみないといけないかと考えたラウールだった。
今回は特に商売を考えていないので、道に沿って移動している。
帝国でも移動している商人や冒険者、ただの一般人のような人も道を歩いていた。
時々道を歩いている者に魔物が攻撃を仕掛けているが、他の国よりも魔物が多く感じる。
更にフロックリンから離れると、動物型ではなく、オークが頻繁に出現していた。
オークの数が気になり、立ち止まっている冒険者に慎重に話しかけると、最近オークが多くなっていると教えてくれた。
オークの出現で全滅した村もあり、冒険者ギルドにはオーク討伐の依頼と、オークの集落を捜索する依頼が出ているそうだ。
僕たちはこの冒険者にお礼を言い、情報料として回復ポーションをいくらか渡すと喜ばれた。
冒険者と別れた後は周りに誰もいないことを確認し、話し合いをした。
「僕たちは今人の姿をしているのに、つい周りに人がいないか確認しちゃうね。」
「そうね。しばらくこの姿で行動してなかったからまだなれないね!」
「我は変わらない。」
「俺も無口になってしまった・・・。声の大きさが前はどれくらいだったか忘れたぜ!」
「それくらいでいいですよヤマト。まずは今どうするか考えましょう。」
「そうだよ。オークの事を聞いちゃったからには、僕たちも動く?」
「そうねー。目立たないように、姿を見られないように出来るかな?」
「もしオークの拠点を殲滅するなら無理でしょう。」
その時キョロキョロしていたクロウが口を開いた。
「ラウール! あっちでオークに襲われている人の気配がする!」
あっち?
示す方向はトムシーカと戦った方向だな。
「クロウ、クロウが一番気配を探知する能力が高いけど、もしかしてトムシーカと戦ったあたり?」
「そう、その辺。我の感じる通りだと人は負けるよ!」
負けるか・・・。
クロウが言うのであれば正しいんだろうな。
「みんなどうする?」
「さすがにわかっているのに見捨てるのはね・・・。」
「そうだよねサクラ・・・。みんなも助けに行くでいいかな?」
もちろんみんなが賛成した。
助けられる命なら助けたいと言う気持ちだった。
そこからは早かった。
僕が近くにみんなと転移し、見つからないように冒険者が見えるところまで移動した。
やはり僕たちがトムシーカを倒したところにオークがいた。
オークは五匹だが、普通のオークより大きく、色が禍々しい黒だった。
色は普通のオークではないが、上位種でもない気配だ。
変異種?
少しオークを観察してしまったが、オークに攻撃されている冒険者が押され始めているので介入することにした。
僕は五人の冒険者に向かって声をかける。
「手助けは必要ですか!」
「お、おう、おう! 手を貸してくれ!」
一人貫禄のある冒険者が返事をした。
年配の冒険者が一人と若く見える二人の男の冒険者と、二人の女の冒険者がこちらを向いた。
「じゃあ少しこらえてね! サクラ、ヤマトオークを抑えて! ソフィアは結界を、クロウは上から適当に攻撃して! 僕は接近戦で攻撃する!」
僕が言うのが早いか動くのが早いか、ソフィアはすぐに結界を張り冒険者を守っている。
クロウも上空からチマチマした魔法を唱えて前に集中できないようにしている。
そこにヤマトが鉄の爪で切りかかる。
サクラも久しぶりに目立つがロマンの大鎌を取り出し攻撃、僕はこん棒で攻撃する。
さすがにオーク程度には過剰戦力で、僕が一匹オークの頭をつぶし、サクラは大鎌で二匹の首を狩った。
ヤマトも鉄の爪で四肢を切り裂き二匹のオークを倒した。
一瞬でオークの集団は壊滅した。
「大丈夫ですか? なんか変なオークだったけど、この国のオークはこんな感じなの?」
・・・・
・・・・
口をパクパクさせ冒険者は言葉がなかなか出てこなかった。
しかし自分を落ち着かせたのか、年配の冒険者が声を出した。
「あ、ありがとう・・・。助かったよ。普通のオークなら負けることはないが、このオークは? 俺も初めて見た。黒いオーク? 上位種とも違う? この国もオークはあのオークだ・・。」
「オークはオーク? 黒いオークのは普通ではないって言う事で良いんだよね? それで怪我はない?」
「ああ、普通ではないオークだ。怪我はあるが大したことはない。お前たちのおかげだ。お前たちが助っ人に入ってくれなかったらやばかったかもしれん・・・。」
「それは良かった。じゃあ回復もしなくていいね? じゃあ僕たちは行くよ。」
「ちょっと待ってくれ! 助けてもらってこのまま帰すわけには! こいつらも冒険者になりたてで死ななくて済んだんだ、お礼をさせたい! お前たち・・・・、失礼、君たちのような冒険者にこいつらもなってほしいんだ!」
そう言って若い冒険者に目くばせをしている。
「お礼なんてなくていいよ、僕たちは商人だから、僕達を目指さず頑張って。」
目の前の冒険者の動きがまた止まった。
「あっ! 今はだよ。今は冒険者活動を休んで商人として活動してるから。」
さすがに商人に助けられる冒険者は立場がないから言ってしまった。
「商人・・・。しかし冒険者でも高ランクだったんだろ?」
「それは秘密です。本当なら言うつもりはなかったんだけど、そこの若い冒険者に悪いと思ったからね? 僕たちの事は内緒ね。」
・・・・
「ありがとう・・・。俺達ここで死ぬかと思った・・・。ようやく村から出て来て、冒険者になって稼ごうとギヌンさんに鍛えてもらってたのに・・・。ありがとう、仲間も死ななくてよかった・・・。」
「いいよ、後輩の面倒を見るのも先輩の役目だしね! 今は商人だけど、冒険者に戻ることもあるだろうから。またどこかで会ったらお礼の続きを聞くよ。」
「「「「はい!」」」」
「ありがとうな。俺がついていながら・・・。ただ本当にこのオークは普通ではなかったから気を付けるんだぞ。君たちは強いだろうけど、最近のオークの出現数は異常だからな。」
そんな話をして最後までお礼を言われていたが、冒険者たちはフロックリンへ戻っていった。
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