冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ
村人の治療
失敗した商売についてみんなで話しをして一夜を過ごした。
僕たちが商人ギルドプレートを持ち旅をするためには、もう少し商売について考えなければいけないと反省していた。
損はしていない、していないんだけど、悔しい商売になった。
行商人として相場を知るためにはもっと物の価値を知るために街の中に出なければ・・・。
買い物をするときも興味のない物でも見る癖をつけようと心に決めた。
そんな失意と決意の中僕たちは村を後にした。
門に立っている男も機嫌がよく、笑顔で僕達を見送ってくれた。
村を出て帰りは道なりに歩いて帰ることにした。
普段から道なきところを通っているのも人と違う事をしていると考えたからだ。
僕たちはもっと普通を知る必要があった。
気配を探りながら先に進んでいると、狩りをしているのか数人の気配を感じた。
周りには動物や魔物の気配もする。
強い魔物はいないが、弱い魔物の気配はいくらか確認できる。
その魔物の傍に村人らしき者の気配もする。
僕たちは弱い魔物であれば大丈夫だろうとそのまま進もうとしたが、村人と魔物が交戦する気配がした。
村人らしき気配は一度立ち止まると一斉に魔物から離れようとしているようだ。
しかし魔物は村人を逃がす気がないのか後を追いだし、すぐに追いついたようだった。
弱い魔物相手に何をしているんだろうと思いつつ村人がいる方向へ急いだ。
・・・・
・・・・
少し走ると村人が倒れている姿があった。
周りにはフォレストウルフが五匹おり、今この瞬間も攻撃を繰り返している。
フォレストウルフの攻撃をかわすこともせずに村人は次々と傷ついて行った。
「まずいね、あの人たちにはフォレストウルフが倒せないのかな? そんなに強い魔物でもないんだけどね。僕たちが攻撃するわけにはいかないから、ソフィアが行く?」
「そうしますね。危ないとわかっているのに見逃すわけにはいきませんから。」
ソフィアはそう返事をしてすぐにフォレストウルフに駆け寄り、風の刃で切り裂いていった。
一瞬で勝負は決まり僕達もソフィアの元に駆け寄った。
フォレストウルフに攻撃されていた村人は、致命傷になる傷はないものの血だらけで座り込んでいた。
「あり・・が、とう。もう少しで殺されるところだったよ。あいつらが遊んでいなければ一瞬で殺されていた・・。」
目の前の村人はぶるっと震えた。
「そうですか。あなたたちが攻撃をしていなかったので、見逃したのかと思っていました。」
「そんなわけないだろ! 逃げたんだよ・・・。俺達にはフォレストウルフは倒せないからな・・・。」
「フォレストウルフが倒せないのですか? いつも襲われた時はどうしているのですか?」
「逃げるよ・・・。見つからないように動物だけ狩ってるよ。前は勘が良い奴がいたんだが、最近死んだんだ。だけど肉を手に入れるためには森に出なければいけない・・・。お前みたいな行商人が来る村でもないからな・・・。」
昨日村にいた人だったんだな。
それに治療薬が売れていた。
事情は詳しく聞いていなかったけど、こんな時の為に必要だったんだ。
だけど効き目の良いポーションなどは手に入れるだけのお金はないんだろうな。
「その傷は大丈夫なのですか? 深い傷は少ないですが、そのままであれば直りが悪いですよ。」
「はは、は~・・・。しばらく狩りにはでられないな。村の奴らには我慢してもらうよ。俺たち以外は動物を狩るのも無理だからな・・・。」
僕は念話でソフィアに治療してあげるか聞いてみた。
ソフィアも考えていたようで、村人が望んだ時には治すことにした。
「その傷を治しましょうか?」
目の前の村人達は驚いた顔をした後黙って考え始めた。
・・・
・・・
「俺たちに治療してもらった後に渡せる対価がない・・。」
「ただでいいですよ。一晩お世話にもなりましたし。」
・・・・
・・・・
村人が黙り込んだ。
勝手に治そうかな?
僕は念話でソフィアに色々と伝えた後に回復魔法を村人たちに唱えた。
僕が魔法を使ったとはわからないように。
目の前の村人は何が起きたかわからず驚いていた。
・・・・
・・・・
「よかったですね傷が治って。不思議なことも起きるものですね? 私は何もしていませんよ。」
・・・・
「神様が奇跡を起こしてくれたんですよきっと。村を思う気持ちが神様に届いたんですよ。」
「そう? なのか? 確かにあなたは何もしていないように感じたが・・・。」
「私は何もしていませんよ? 私が魔法を使った時には手元がこんな風に光りますから。」
そう言ってソフィアはわざと手を魔法で光らせている。
「光ってなかったなさっきは・・・。神様の奇跡? 何の為に?」
「私にはわかりませんよ神様の気持ちは。それでもよかったじゃないですか治って。」
「それはそうなんだが・・・。」
「私はこれで戻りますから、皆さんもお気をつけて。」
村人はそれ以上は何も言えずただ僕たちの立ち去る方向を見ていた。
これ以上のことは僕達には関係がなく、村で考える事だ。
僕たちは目の前の手の届くところにいた人を助けただけ。
僕たちが出来る範囲だったから。
その後は運動不足だと言ってヤマトが村の周りの森の魔物を狩りだした。
クロウも商売は暇だったと言ってヤマトについて行った。
その間僕たちは暇になり、村に続く道の途中で休憩した。
休憩するところがなかったので、広場を作り出した。
その広場は商人が移動して馬車で休憩してもいいほどの大きさになった。
しばらくするとヤマトとクロウが帰ってきた。
クロウは今では収納魔法も使えるので何も持っていないが、いろんなものが手に入ったと報告してくれた。
ヤマトとクロウが狩りをしたことでしばらくは強い魔物は出てこない。
弱い魔物も強い者の気配が残るこの森にはしばらく近づかないだろう。
休憩を終えた後はフロックリンまで急いで帰ることにした。
帰り道で僕は商売は上手くなりそうにないけど、陰ながら人の為になることをするのは好きだとみんなに話した。
みんなも表立って動くことは好きではないが、人助けは嫌いではないと返事があった。
ん~陰で人助け・・・。
僕のこれからの目標になるかな?
僕は今後も悩みは尽きないと考えていた。
僕たちが商人ギルドプレートを持ち旅をするためには、もう少し商売について考えなければいけないと反省していた。
損はしていない、していないんだけど、悔しい商売になった。
行商人として相場を知るためにはもっと物の価値を知るために街の中に出なければ・・・。
買い物をするときも興味のない物でも見る癖をつけようと心に決めた。
そんな失意と決意の中僕たちは村を後にした。
門に立っている男も機嫌がよく、笑顔で僕達を見送ってくれた。
村を出て帰りは道なりに歩いて帰ることにした。
普段から道なきところを通っているのも人と違う事をしていると考えたからだ。
僕たちはもっと普通を知る必要があった。
気配を探りながら先に進んでいると、狩りをしているのか数人の気配を感じた。
周りには動物や魔物の気配もする。
強い魔物はいないが、弱い魔物の気配はいくらか確認できる。
その魔物の傍に村人らしき者の気配もする。
僕たちは弱い魔物であれば大丈夫だろうとそのまま進もうとしたが、村人と魔物が交戦する気配がした。
村人らしき気配は一度立ち止まると一斉に魔物から離れようとしているようだ。
しかし魔物は村人を逃がす気がないのか後を追いだし、すぐに追いついたようだった。
弱い魔物相手に何をしているんだろうと思いつつ村人がいる方向へ急いだ。
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少し走ると村人が倒れている姿があった。
周りにはフォレストウルフが五匹おり、今この瞬間も攻撃を繰り返している。
フォレストウルフの攻撃をかわすこともせずに村人は次々と傷ついて行った。
「まずいね、あの人たちにはフォレストウルフが倒せないのかな? そんなに強い魔物でもないんだけどね。僕たちが攻撃するわけにはいかないから、ソフィアが行く?」
「そうしますね。危ないとわかっているのに見逃すわけにはいきませんから。」
ソフィアはそう返事をしてすぐにフォレストウルフに駆け寄り、風の刃で切り裂いていった。
一瞬で勝負は決まり僕達もソフィアの元に駆け寄った。
フォレストウルフに攻撃されていた村人は、致命傷になる傷はないものの血だらけで座り込んでいた。
「あり・・が、とう。もう少しで殺されるところだったよ。あいつらが遊んでいなければ一瞬で殺されていた・・。」
目の前の村人はぶるっと震えた。
「そうですか。あなたたちが攻撃をしていなかったので、見逃したのかと思っていました。」
「そんなわけないだろ! 逃げたんだよ・・・。俺達にはフォレストウルフは倒せないからな・・・。」
「フォレストウルフが倒せないのですか? いつも襲われた時はどうしているのですか?」
「逃げるよ・・・。見つからないように動物だけ狩ってるよ。前は勘が良い奴がいたんだが、最近死んだんだ。だけど肉を手に入れるためには森に出なければいけない・・・。お前みたいな行商人が来る村でもないからな・・・。」
昨日村にいた人だったんだな。
それに治療薬が売れていた。
事情は詳しく聞いていなかったけど、こんな時の為に必要だったんだ。
だけど効き目の良いポーションなどは手に入れるだけのお金はないんだろうな。
「その傷は大丈夫なのですか? 深い傷は少ないですが、そのままであれば直りが悪いですよ。」
「はは、は~・・・。しばらく狩りにはでられないな。村の奴らには我慢してもらうよ。俺たち以外は動物を狩るのも無理だからな・・・。」
僕は念話でソフィアに治療してあげるか聞いてみた。
ソフィアも考えていたようで、村人が望んだ時には治すことにした。
「その傷を治しましょうか?」
目の前の村人達は驚いた顔をした後黙って考え始めた。
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「俺たちに治療してもらった後に渡せる対価がない・・。」
「ただでいいですよ。一晩お世話にもなりましたし。」
・・・・
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村人が黙り込んだ。
勝手に治そうかな?
僕は念話でソフィアに色々と伝えた後に回復魔法を村人たちに唱えた。
僕が魔法を使ったとはわからないように。
目の前の村人は何が起きたかわからず驚いていた。
・・・・
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「よかったですね傷が治って。不思議なことも起きるものですね? 私は何もしていませんよ。」
・・・・
「神様が奇跡を起こしてくれたんですよきっと。村を思う気持ちが神様に届いたんですよ。」
「そう? なのか? 確かにあなたは何もしていないように感じたが・・・。」
「私は何もしていませんよ? 私が魔法を使った時には手元がこんな風に光りますから。」
そう言ってソフィアはわざと手を魔法で光らせている。
「光ってなかったなさっきは・・・。神様の奇跡? 何の為に?」
「私にはわかりませんよ神様の気持ちは。それでもよかったじゃないですか治って。」
「それはそうなんだが・・・。」
「私はこれで戻りますから、皆さんもお気をつけて。」
村人はそれ以上は何も言えずただ僕たちの立ち去る方向を見ていた。
これ以上のことは僕達には関係がなく、村で考える事だ。
僕たちは目の前の手の届くところにいた人を助けただけ。
僕たちが出来る範囲だったから。
その後は運動不足だと言ってヤマトが村の周りの森の魔物を狩りだした。
クロウも商売は暇だったと言ってヤマトについて行った。
その間僕たちは暇になり、村に続く道の途中で休憩した。
休憩するところがなかったので、広場を作り出した。
その広場は商人が移動して馬車で休憩してもいいほどの大きさになった。
しばらくするとヤマトとクロウが帰ってきた。
クロウは今では収納魔法も使えるので何も持っていないが、いろんなものが手に入ったと報告してくれた。
ヤマトとクロウが狩りをしたことでしばらくは強い魔物は出てこない。
弱い魔物も強い者の気配が残るこの森にはしばらく近づかないだろう。
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