冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

第三都市のダンジョン小手調べ

第三都市のダンジョンは1つだけなので、そのまま【第三都市のダンジョン】。
そして交易都市サザは、1つの都市に1つのダンジョンだった。他にも都市の外れにダンジョンはあるが、昔からあるダンジョンは都市にあるものだった。


ラウールとサクラは今日は直接ダンジョンに来ている。依頼を達成するのは、後から素材採取でいいだろうと考えていた。


テザン皇国も、交易都市サザも、ダンジョンの入り口で名前を言うだけで入ることができた。所属している組織がある場合は、伝えておいた方が良い。


ラウールとサクラは、名前と冒険者プレートを提示して、ダンジョンの中に入った。


第三都市のダンジョンは、全てがランダムで、階層によって出現する魔物のランクが決まっているようだ。


だからこそ、様々な冒険者がこのダンジョンに挑んでいる。
あるものは様々な魔物と戦い、経験を積むため。
あるものは魔物の素材を採取するため。
このダンジョンはそういった経験を積むためにも、挑む冒険者が多い。


そして、ラウールたちにとって幸運なことは、偶数階に、転移陣があったことだ。
これで、ボス戦を繰り返す時間が短縮されると喜んだ。
普通の冒険者は、一度Sランクの魔物と戦うと、インターバルが必要だが、ラウールたちはチートだ。
普通の冒険者よりは周回プレイができると思っていた。
安全第一も、ロマンにはかなわなかった。


「ラウール? 今日はどの辺までいく?」
サクラが1階で聞いてきた。


「ん~、先ずは夕方まで行けるところまで行こうか。結構広いみたいだから、時間はかかるかもね。おそらく、今まで挑んだダンジョンで、一番ランクが高いんでないかな?」


そういいながらも、魔力、気配察知で順調に進んでいる。
まだ低階層。魔物も余裕だ。


~~~~~~~


昼食をとり、前半と同じペースで進んだ。


現在は10階。このままであれば、20階近くには到達できると思う。


まだ魔物はEランク程度。余裕だ。


そうしているうちに、外は夕方の時間になってきている。


「サクラ、今日は20階で一旦帰ろう。」


そうラウールは言って、20階の転移陣で入り口に戻った。


「意外に簡単だねラウール。このままのペースなら、1週間かからずに、ボスまでは行けそうだね?!」


「そうだね。このあとの魔物の強さや、階層の広さにもよるけどね。」


そう言いながら宿屋に戻り休んだ。


~~~~~~~


ダンジョンに潜り5日後、48階までたどり着いた。


「これは確かに稼げるね。Aランクの魔物が定期的に現れるなんて。Sランク冒険者は、魔物の卵がでなくても十分だね。サクラも大丈夫?」


「もちろん大丈夫よ! これくらいなら、傷もつかないわ!」


さすがに余裕だった。
Sランクと言っても、僕たちの強さは、もっと先にいっているとラウールは思っていた。
しかし慎重なラウールは、これでも命を大事にが基本だった。


「どうする? 一回くらいならボス戦をできると思うけど、行ってみる?」


「ラウール、今日は帰って休みましょ。明日は朝から挑んで、連戦しましょ。49階がどれくらい広いかはわからないけど、4回位は行けるんでない?」


「そうだね、ここまで駆け足できたからね。宝箱も最低限しか開けてないし、49階はもう少し探索しつつも、先に進もうか。」


この時点で中ボスはSランクの中でも弱いと言われている魔物が出現していた。
これはさすがにSランク冒険者でないと、攻略はできないと感じたラウールだった。


一度宿で休み、朝が来た。


「じゃあ今日は一度ダンジョンを制覇しましょ。それで魔物の卵がでなければ、周回しましょうねラウール。」


「こちらこそ頼むよサクラ。油断せずにね。」


そんな朝のやり取りのあと、ダンジョンを攻略して行った。


49階は宝箱も豊富だが、Aランクの魔物も複数出現していた。討伐できるなら稼ぎは万全だ。しかしリスクは高い。


おそらく、一階での稼ぎは過去最高だろうと話ながら、ボス部屋の前までやって来た。


48階を終えて転移陣。
49階を攻略し上に上がるとボス部屋のみ。
これなら繰り返すことが簡単だ。
あとはボスがどの程度なのかとラウールは考えた。


「サクラ、このダンジョンの初めてのボスだから、油断せずにね。」


「わかってるわよラウール。ラウールこそ油断しないでね。一回目だけは、余裕を見せないで全力よ。」


そう言いながらボス部屋の門を開けた。


ボス部屋の中には、【ゴブリンロード】がいた。


「確かにSランク! 殺ろうサクラ!」


「行こうラウール!」


そう2人は言って、全力で魔法を唱えた。
ラウールは風を。
サクラは火を。


・・・・・
.....


2人は目の前の光景に絶句した。


火災旋風・・・、


これは、やり過ぎた・・・。


・・・・・


目の前ではゴウゴウと炎が踊っている、全てを焼き尽くすように。


ラウールとサクラは魔力を纏い、熱さも防いでいる。


「やり過ぎたねサクラ・・・。」


「そうみたいねラウール・・・。誰もいないから、適当詠唱もなかった、無詠唱なんだけどね・・・。」


2人は炎が収まるまで立ち尽くしていた。


ゴブリンロードは、存在感もなかった・・・。

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