冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

勇者とダンジョン攻略開始

食事をしながら、このダンジョンの情報をみんなで再確認した。


【スライムの楽園】
全50階。現れる魔物は全てスライム。50階のボスは、そのままの大きいスライムでビックスライム。
スライムは弱いやつはとことん弱い。だけど、粘度?硬さ?属性などで、一般人にも冒険者にも強敵となる。
それぞれの特性があり、種類が多いのもスライムの特徴である。




みんなでスライムについて語り合い、勇者はまだスライムの討伐はしたことがないと話すため、練習させることにした。


いよいよスライムの楽園に足を踏み入れた。
スライムの楽園は1階1階が狭いため、そんなに1階に時間はかからないはずだ。不意打ちも少ない状況になるが、大量にいっぺんに出てきたときが脅威となる。


1階に足を踏み入れると、他の冒険者も多く、スライムに会うことが出来なかった。意外に魔石しか素材がないが人気がある。魔石だけだと多く持ち運べるのも利点だ。特に低階層はスライムも弱く、稼ぎ場だ。


2,3,4と階層を進んで行くが冒険者の方が人数が多い。
先にどんどん進み、スライムに手ごたえが出て来る10階層で、ようやく第一スライムを発見した。


「おい、じゃああれ、俺からでいいか!?」
とダイチが立候補した。


「僕も行きたいです!」


「ここは私の魔法の出番よ!スライムと言えば魔法!」


と3人に対しスライムが1匹だったこともあり、自分が自分がと前に出ていく。


ラウールはその姿を見て、どうやって決めるか楽しみにしていた。そして様子を見ていてやはり・・・、じゃんけんが始まった。この世界にもじゃんけんはあるけど、あまり見たことがなかったので新鮮だ。


「やった~僕が一番だ~!」
そうグンジョウは今までで一番テンションが高く見えた。


「くっそ~! 次こそは俺に~。」
「いえ、次こそは私に~!」
と悔しそうな2人を気にせず、グンジョウはスライムに襲い掛かった。


「はっ!」と剣を一振りすると、スライムは真っ二つに割れた。しかし、スライムはそのままくっついてしまい、倒せていない。
そして何度も何度も剣を当てるが、スライムを倒すことが出来ないでいる。
そこでラウールが一言グンジョウにアドバイスした。


「通常は魔石を壊すか、叩き潰して体積を減らすんだよ。一定の体積がなくなると、活動を停止するよ。」
そう、3人の勇者の中では、グンジョウの武器が一番切れ味が良くて倒しにくかったのだ。


「ありがとうラウール。じゃあ、これでどうだ!」
そう言って、剣でスライムの体をそぐように、外側からゆっくりと引きはがしている。そして時間はかかったが、一定の体積がなくなり、スライムは動かなくなった。


「あ~疲れた。スライムがこんなに大変なんて思わなかったよ。」


「そうでしょ、私も魔法以外だと倒しにくいもの。最近は私もラウールもほとんど魔法で体をなくしているわよ。」


「そうだねサクラ。僕たちの主になる武器が切れ味のいいものだからね。魔石ぎりぎりを見極めて魔法を使うのは、いい練習になるからね。」


「「「へぇ~」」」


「俺たちも魔法の練習をもっとした方がいいかな?どうするグンジョウ!」


「そうだねダイチ・・・、僕たちはヒミカほど魔法を使えないけど、練習しようか。」


「私ももっとうまく魔法を使いたいから、ラウールかサクラが教えてくれる?」


「いいよ。僕とサクラは両方できるから、2人で教えるよ。」


「「「ありがとう!」」」


そうして5人は先に進んで行った。スライムはその後も続々と出てきており、3人が手分けして倒している。グンジョウが倒しているところを見ていたからか、倒し方は把握したようだ。


そして途中から、魔法の練習も始めた。まずは魔素をうまく操ることからと思い、自分の魔力や、魔素の感覚をつかみながら歩いてもらった。そして魔力を意識しながら戦闘もしてもらっていた。
3人は僕たちほどではないが、転移補正があるので、感覚は早めにつかめそうだった。


スライムが出てこない時は魔法はイメージだ!と何度も繰り返し、日本人ならわかりやすい例えを使い教えて行った。なぜ火は燃えるのか?何もないところから水は魔法だけでも出せるが、大気から水を集めるにはどうしたらいいか?風はなぜ吹くのか?などと話すと、3人はそれぞれ考えていたようだ。
そして3人は得意分野が違うようで、一緒に話し合う場面もあった。


仲の良い、バランスの良いパーティーだなと考えながら攻略を進め、25階層まで来て夕食にすることにした。


「な~、ここまでラウールもサクラも戦っている姿を見てないが、どれくらい強いんだ?Sランクの魔物を倒したような噂は聞こえてきたが、まだ魔物のランクでどれくらい強いのかは、想像がつかないんだよな。」


「そう言えばこの世界のことはあまりわからないものね? ん~、どうすればわかりやすいかな?」
そういってラウールは一瞬でダイチの後ろに回った。
ダイチは全く気付かず、周りをキョロキョロ伺い、後ろにいるラウールを見つけて驚いた顔をしたいた。


そしてサクラは目の前に氷の塊を魔法で作った。そしてロマンの大鎌を取り出すと、一瞬で移動して、大鎌を振り切ったポーズで停止していた。
少しの時間が流れると、すっ・・・ズズン! と大きな氷が斜めに二つに割れて、上部が落ちていた。


「すげぇ・・・。」
「すごい・・・。」
「ここまでの魔法が・・・。」


勇者たちは目が飛び出しそうなくらい驚いていた。


その後は寝るまで興奮し質問攻めだった。どうしたらそんな魔法が使えるようになるのか、どう練習すればいいのか?と。
ラウールとサクラは、基礎を大切にして、後はイメージだ!と繰り返した。


安全に眠ることが出来る環境をラウールが整え、5人は就寝した。

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