冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ
ラウールのやつあたり
時間を無駄にしたと思ったラウールは、命を大事にと言う言葉を忘れ、Sランクボスのいるダンジョンにサクラと共に挑んだ。
そして、全力で挑んでいた。
全50階のダンジョンを2日で攻略した。
ダンジョンボスは、オルトロスだった。
2首の地獄の犬。
強かったが、今回のうっぷんがあり、つい我を忘れてしまった。
そのおかげで、冷静になれたラウールとサクラに手紙が届いていた。
冒険者ギルドに戻ってきたときに、シトカさんから手渡された。
『全然会いに来てくれないので、ぜひ待ち合わせをしたいです。返事は冒険者ギルドに取りに伺います。駄目ならまた手紙を送ります。 キソ。』
キソ様からの手紙だった。
そして忘れていた。
この前サワーを見てちょっと気づいたんだけど無視していた。
権力を使う教師にイライラしていたから。
「サクラどうする?僕は会うだけならいいけど、何かお願いされるのはお断りだ。」
「私も! あの教師を見たら、いい貴族も嫌いになりそう! あの教師の立場が貴族か知らないけど、嫌い! ああやって自分の立場を利用してくる人は。」
サクラも不信感を持っている。
少し見直していた貴族様だが、また距離が遠くなった。
・・・・・
・・・・・
ラウールは返事を書いた。
明日の朝なら冒険者ギルドの酒場で会えることを。
それ以外の選択肢であれば、会えないことを。
この手紙を冒険者ギルドに託した。
今日の内に届けてほしいと。
~~~~~~~~~
次の日の朝、冒険者ギルドにラウールとサクラ、キソ様とサワーにウツカが酒場にいた。
「お久しぶりラウール!」
そうキソ様が声をかけて来てテーブルに着いた。
「お久しぶりですキソ様。お元気でしたか?」
「なんでそんなに他人行儀なのラウール?」
「そんなことはございませんよ。私はいつもこういった口調です。」
かたい口調で話すラウール。
混乱するキソ様。
「ラウール?何か怒ってるの?」
「いえ、キソ様を怒るなど、我々平民にできる事ではございません。気のせいではございませんか?」
「ではその話し方はなに?そんな話し方なんてしなかったじゃない!?」
「権力がある方には丁寧に伝える必要があるでしょう?ウッド様みたいに言われても困りますから。キソ様も、学園の関係者ですから、生徒とはいえ。」
キソ様は目が泳いだ。
・・・・・・
・・・・
「そんな・・・、ウッド先生は・・、そんなことをしたのですね? ラウールがそんな態度になるようなことを?」
「そうですね。私はそんな人が大嫌いです。自分だけが正しい、自分だけが正義、自分のいう事を聞け! 、そんな人は!!」
魔力が冒険者ギルド内に充満した・・・。
冒険者ギルド内にうめき声があふれた。
目の前のキソ様も苦しそうにしているが、何かの魔道具を持っているのか、ぎりぎりのところで耐えている様子だ。
「・・・・ご、めん、な、、、さい。」
キソ様の謝る声で、ラウールは魔力を抑えることが出来た。
「申し訳ありませんでした・・・。今日はお引き取りください。」
そう告げると、ラウールはサクラの手を引いて冒険者ギルドを立ち去った。
~~~~~~
「ごめんサクラ・・・。僕は無理だ。なんで偉い人と言われる人に我慢しないといけない!」
サクラは戸惑った。ここまで感情を出しているラウールを見るのは初めてだった。
いつも、怒っても、どこかで線を引いて許してくれるラウール。
今回のラウールはいつもとは違う・・・。
私はどうしたらいいの?
「ごめんね・・・。僕の前世の気持ちを引きずっている言動だよきっと。抑えられないし。」
・・・・・
・・・・
「立場、思い、個性、人それぞれ・・・。そういう思いに気づかず自分の価値観だけ押し付けて来る人たち・・・。他の人も違う思いを持っていると想像もしない人・・・。そんな前世も思い出して、我慢がならなかった。強い人も、弱い人も、それぞれが違う価値観で人生を送っている。その人の人生はその人だけのものなのに・・。その人が考えて、動いて、あがいて、一生懸命で・・・。だけど自分と違う価値観の動きと言うだけで,
それだけで頑張りも否定する。そんなことを思い出してね。」
ラウールの闇は深かった。
今まで表に出してこなかった分、前世のうん十年と今世のうん十年。
その思いが、今回のかたくななラウールになっている。
サクラは聞くだけしかできなかった。
サクラも自分の価値感を殺して前世の両親の思いを尊重していたから。
サクラの人生も人に左右された人生だった。
自分の価値感を持つことが出来ない、最後にだけ持てた人生だったから。
2人は今世こそなんとなく生きて行きたかった。
自分の価値感を否定されず、しかし全てが思い通りにはいかない、そんな難しい人生。
なんとなくとは難しい。
しかしなんとなく、なんとなく。
適当ではなくなんとなく。
絶対的な、自分の正義を押し付けられない人生を・・・。
そして、全力で挑んでいた。
全50階のダンジョンを2日で攻略した。
ダンジョンボスは、オルトロスだった。
2首の地獄の犬。
強かったが、今回のうっぷんがあり、つい我を忘れてしまった。
そのおかげで、冷静になれたラウールとサクラに手紙が届いていた。
冒険者ギルドに戻ってきたときに、シトカさんから手渡された。
『全然会いに来てくれないので、ぜひ待ち合わせをしたいです。返事は冒険者ギルドに取りに伺います。駄目ならまた手紙を送ります。 キソ。』
キソ様からの手紙だった。
そして忘れていた。
この前サワーを見てちょっと気づいたんだけど無視していた。
権力を使う教師にイライラしていたから。
「サクラどうする?僕は会うだけならいいけど、何かお願いされるのはお断りだ。」
「私も! あの教師を見たら、いい貴族も嫌いになりそう! あの教師の立場が貴族か知らないけど、嫌い! ああやって自分の立場を利用してくる人は。」
サクラも不信感を持っている。
少し見直していた貴族様だが、また距離が遠くなった。
・・・・・
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ラウールは返事を書いた。
明日の朝なら冒険者ギルドの酒場で会えることを。
それ以外の選択肢であれば、会えないことを。
この手紙を冒険者ギルドに託した。
今日の内に届けてほしいと。
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次の日の朝、冒険者ギルドにラウールとサクラ、キソ様とサワーにウツカが酒場にいた。
「お久しぶりラウール!」
そうキソ様が声をかけて来てテーブルに着いた。
「お久しぶりですキソ様。お元気でしたか?」
「なんでそんなに他人行儀なのラウール?」
「そんなことはございませんよ。私はいつもこういった口調です。」
かたい口調で話すラウール。
混乱するキソ様。
「ラウール?何か怒ってるの?」
「いえ、キソ様を怒るなど、我々平民にできる事ではございません。気のせいではございませんか?」
「ではその話し方はなに?そんな話し方なんてしなかったじゃない!?」
「権力がある方には丁寧に伝える必要があるでしょう?ウッド様みたいに言われても困りますから。キソ様も、学園の関係者ですから、生徒とはいえ。」
キソ様は目が泳いだ。
・・・・・・
・・・・
「そんな・・・、ウッド先生は・・、そんなことをしたのですね? ラウールがそんな態度になるようなことを?」
「そうですね。私はそんな人が大嫌いです。自分だけが正しい、自分だけが正義、自分のいう事を聞け! 、そんな人は!!」
魔力が冒険者ギルド内に充満した・・・。
冒険者ギルド内にうめき声があふれた。
目の前のキソ様も苦しそうにしているが、何かの魔道具を持っているのか、ぎりぎりのところで耐えている様子だ。
「・・・・ご、めん、な、、、さい。」
キソ様の謝る声で、ラウールは魔力を抑えることが出来た。
「申し訳ありませんでした・・・。今日はお引き取りください。」
そう告げると、ラウールはサクラの手を引いて冒険者ギルドを立ち去った。
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「ごめんサクラ・・・。僕は無理だ。なんで偉い人と言われる人に我慢しないといけない!」
サクラは戸惑った。ここまで感情を出しているラウールを見るのは初めてだった。
いつも、怒っても、どこかで線を引いて許してくれるラウール。
今回のラウールはいつもとは違う・・・。
私はどうしたらいいの?
「ごめんね・・・。僕の前世の気持ちを引きずっている言動だよきっと。抑えられないし。」
・・・・・
・・・・
「立場、思い、個性、人それぞれ・・・。そういう思いに気づかず自分の価値観だけ押し付けて来る人たち・・・。他の人も違う思いを持っていると想像もしない人・・・。そんな前世も思い出して、我慢がならなかった。強い人も、弱い人も、それぞれが違う価値観で人生を送っている。その人の人生はその人だけのものなのに・・。その人が考えて、動いて、あがいて、一生懸命で・・・。だけど自分と違う価値観の動きと言うだけで,
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