冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

初めて見た依頼

今日もラウール達は冒険者ギルドに向かっていた。
今さら対策を考えてもしょうがないと。
今を受け入れようと。


冒険者ギルドについたラウールは、思い切ってドアを開けた。
「「「「!!!!」」」」
周りがざわつき始めた・・・。
噂が大きくなっている!?


「あの子が【黒い悪魔】・・・・。」
「あの子が【漆黒の翼】・・・・。」
「【黒猫】その2人・・・。」
「あの者と目を合わせるな、目を合わせた者は首を狩られると・・・・。」
「あの者に害意を向けるな、一瞬で意識を刈り取られると・・・・。」


物騒な話があちこちから聞こえてきた。なぜかラウール達は、魔物だけでなく、人間のも攻撃するような人に思われている。
その時受付の向こう側から声が発せられた。
「静かにしなさい。【黒猫】の噂はをするのは良いでしょう。しかし正しい情報を受け入れてください。【黒猫】のこれまでの行動で、理不尽な行いはありません。人に感謝されることをしてきています。このギルドで誤解される噂をすることはこのギルドマスターが許しません。」


周りがざわめきだした。
「あのギルマスが言うからには本当だろ。」
「あいつらはいい奴だ。」
「だれだ変な噂を流した奴は。」
「ギルマスのいう事を信じる!!」
「俺はデーブンから聞いた。」
「デーブン?そいつが嘘の情報を流したのか?」
「ちょっと待て! デーブンはそんなことを言ってないぞ。デーブンは【漆黒の翼】を尊敬しているぞ!」
「じゃあ誰だ!! どこで情報を曲げやがった!!」


そういった声が聞こえる。


デーブンさん、ごめん、疑った・・・。


更にギルマスは、
「【黒猫】の2人は強い!! しかし理不尽なことはしない。この私が保証する。以上だ!!」


そういってギルマスは奥の部屋に戻っていった。


何が起こったかわからないラウールは、シトカさんに聞くために、受付に進んだ。今の騒ぎで誰も並んでいない。


「シトカさん?どうなってるの?」


そう聞いてきたラウールに、シトカさんは微笑みながら答えた。
「ごめんなさいねラウールさん。物騒な噂がたって来たから、ギルマスに相談したの。そしたら、ギルマス本人が動いてくれたの。ラウールさんの依頼達成時には、いろんな人に感謝さえているのは、冒険者ギルドでは把握しているの。前は悪い噂を消すことまではできなかったんだけど、Aランクになったから、冒険者ギルドも介入できる範囲が増えたの。」


よくわかっていないラウールは、きょとんとしていた。
「低ランク冒険者に冒険者ギルドが介入すると、ひいきをしていると思われるの。だから、冒険者に不利なことがあっても、噂される程度なら、介入できないの。だけど、Aランク冒険者は、冒険者ギルドに多大な貢献をしているから慣れるランク。その人が悪く言われると、冒険者ギルドも悪く言われているも同然なの。」


ん~なんとなく納得してきているラウールに、シトカさんは話をつづけた。
「冒険者ギルドがランクを上げるでしょ。素行の悪い冒険者のランクを冒険者ギルドが与えて、その人が悪さをした場合は、冒険者ギルドの評判は落ちるでしょ?だから、Aランク冒険者の評判を悪くする行為には、介入するのよ。」


ようやく理解したラウールだった。
そしてうれしくなった。


「ありがとうシトカさん。今までの冒険者ギルドでは、一回評判が落ちると、居心地が悪かったから。うれしいよ。サクラもこれで普通にしていられる。ギルマスにもお礼を言っておいて。」


「どういたしまして。ギルマスにもお話しておきますよ。今後直接お話をする機会もあるかもしれませんよ。ギルマスたちは、お互いの情報を交換していますから。ただ、ラウールさんの情報を漏らしたことはごめんなさいね。」


「こういう事なら問題ないです。」


何かの連絡手段でもあるのかな?
でも、直接会えたらお礼は言おう。


~~~~~~~~~


ひと騒動あったラウール達だが、周りから好意の目を向けられながら依頼票を見ている2人。
何か珍しい依頼はないかと、低ランク依頼ものぞいてみた。


【学園行事の護衛:直接の護衛は騎士や学園職員が行います。その周りの警戒をしてくれる冒険者を募集します。Dランク以上対象】


学園関連の依頼を見つけた。
この世界の学校は入ったこともない。
興味が出た2人は、この依頼票を持ち、シトカさんに説明を求めた。


シトカさんが言うには、この依頼は通常であれば危険度も少ない。街の近くにある森に学園生がパーティーを組んで行き、2泊の野営をするものだ。卒業後の旅を想定して、徒歩での移動の練習。野営の練習。魔物に襲われた時の練習。騎士を目指しているものは、警戒や討伐の練習。最終学年の4年生が必須の授業という事だ。
まれに冒険者志望の学園生もいるようで、質問に答えることや、教えることが出来る範囲のことは教えてあげるのもいいようだ。


ラウールとサクラは少し話し合い、面白そうな依頼だから受けることにした。


「高ランクのラウールさんには簡単ですが、頑張ってください。行事は1か月後と期間がありますので、忘れずに集合してください。行事が近くなった時に、一度注意事項が書かれた手紙が渡されます。その後、行事前日に一度全員が集合しますので、手紙に書かれた場所に集合してください。」


そう言われ、冒険者ギルドを後にした。


~~~~~~~~~~~


1ヵ月と期間が開いたため、自分たちの強さを上げようと、ダンジョンに挑んでいた。
出来る限り変異種が出ていないところで、Aランクがダンジョンボスのところを選んでいた。
いくつかのダンジョンを制覇したところで、手紙が来た。
手紙の内容は、集合場所、注意点が書かれていた。注意点は生徒を威嚇するような装備をしない事。生徒の傍は騎士が守るので、生徒に危険が及びそうなときに介入すること。指定された魔物以外は討伐すること。後は細かい決まりが書かれている。


その後もダンジョン攻略をしていた。
そんな中で、Sランクパーティーの戦闘を見ることが出来る機会があった。
サクラ1人より弱かった・・・。



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