冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

出発首都ニジュールへ

冒険者ギルドでウツカと別れ、必要な物を買い足した。
そして目立たない格好と言われ、ラウールとサクラは夕食を宿で摂りながら考えていた。


 「ラウール?どうする?見た目で目立たないのって?」


 「うーん?目立たないって言ったら軽装?」


 「軽装?目立たないと言ったら地味な色?」


 「地味な色って言ったら闇に溶け込む黒?」


 「黒って言ったらあのローブ?」


 「あのローブって言ったら・・・。」


 自分たちで地雷を踏んだ・・・。


 「サクラ?普段着で行く?」


 「普段着って言ったら素手?」


 「素手って言ったら魔法で戦う?」


 「魔法は目立つから、魔法を隠しながら接近戦をする?」


 「魔法で接近戦と言ったら魔法の爪・・・。」


またであった・・・。


2人は平民にしては上等な素材の服にした。地味に上着はベージュのシャツ。ズボンは茶色。腰には適当にナイフをつける。キソ様と街で出会い、行き先が一緒であったため馬車に同乗させてもらう友達役で行こうと考えた。


 ~~~~~~~~~~~~


 一晩眠り、待ち合わせの門に向かった。
そして少し待っていると、キソ様達が到着した。


 「おまたせラウール。今日は私たちが護衛するから、2人はキソ様と一緒に馬車に乗ってて。」


 相手からの提案に驚いた。
2人はどうやって友達役に持っていこうかと考えていたからだ。


 小声でラウールは、
 「サワーさん、いいんですか?僕たちも友達を装うのがいいと思ってんしたけど、そんなに簡単に貴族の馬車に乗せて。」


それにサワーも小声で、
 「いいんだよ。キソ様はそう言う事を気にしないし、強いものが隣にいるほうが守りやすい。」


ラウールは声の大きさをもどして、
 「サワーさん。今日はキソ様と一緒によろしくお願いしますね。サクラも一緒に馬車に行こう!」


 「そうねラウール。私もキソ様と話したいことがいっぱいあるから。」


そういって馬車に向かった。


 「ラウールさん、サクラさん、数日間よろしくね!」
そう元気いっぱいにキソ様が迎えてくれた。


 「「よろしく!」」
2人もあいさつし、馬車に乗り込んだ。


さすがに貴族の馬車は立派で広い。座り心地の良いクッションもある。
 中も何かの魔道具でもあるのか、過ごしやすい温度だ。


 「じゃあよろしくね!何もなければお話し相手になってね!旅の話も聞きたいし、魔法の事も知りたい。それとも勉強でも教えてあげよっか?」
 元気にキソ様は挨拶してくれた。


 「キソ様よろしくお願いします。護衛として乗っていますけど、僕も色々と話を聞きたいな。」
 「私もよろしく。首都の事も教えてね?」


 挨拶を済ませ、キソ様を乗せた馬車は出発した。
 門は貴族専用で、護衛が身分を証明することで、ほとんど止められることもないし、中もあらためられない。


はっ!!ここの門番情報が・・・、門番さんの名前も知らない・・・。
ラウールは落ち込んだ。


 ~~~~~~~~


 門を出て街道をゆっくりと進んだ。
 首都ニジュール迄は5日間程度の道中だ。


 初めにキソ様の事を聞いた。
キソ様は15歳だった。12歳で学園に入学し、すでに卒業できるほどの天才だった。魔法も簡単なものは使えると言っていたが、光魔法だけ使えるみたいだ。学園で習う勉強も楽しいが、簡単すぎて、時々旅に出たくなるそうだ。
 見た目ではこれと言って目立つこともなく、服装を地味にすると、貴族の娘とも思われなくて楽だと言っている。そして将来は教会で働き、貧しい人を救いたいと熱心に語っている。


そんな話をしながら、1泊目は野営だった。
キソ様は野営も苦ではないようで、テントで女性陣と一緒に休んでいた。
 仲のいい貴族と護衛だ。


2日目も特に何事もなかった。
 光魔法、回復魔法を教えてほしいと言われたが、ラウール達の方法は独特なので、魔素の使い方を教えた。この世界では魔法を人に教える時に、弟子のみと言う条件も付けることがあるため、キソ様も納得してくれた。
 魔法も才能があるのか、魔素の練り方も短時間で上達していった。しかし詠唱が分からないのでそれ以上は教えることが出来なかった。
 夜はこの日も野営であった。途中でイノシシを騎士が捕まえたため、焼肉だった。内緒で臭いが周りに行かないようん魔法を使った。ばれなかった。


3日目は小さな町まで移動することになっている。
 途中で魔物が出現していたが、騎士たちが危なくなることもなく討伐していた。
ゴブリンやオークなら、集団でも倒せそうな騎士たちがなぜ盗賊?には一方的にやられていたのか?
この日は旅の事をキソ様は聞きたがった。だからデーブンさんの変わりようを教えた。僕が味方に魔法を使った事を抜かし、昔の事、この前会った時のことを話した。そして、ラウールとクロース、クリスとの冒険、サクラとのダンジョン攻略について語った。黒猫以外を・・・。
この日の宿は小さかったが、キソ様は文句も言わず楽しそうだった。


4日目はキソ様が勉強してみない?と、僕たちが知らないであろう知識を教えてくれようとした。
しかし、ラウールは転生チートだった。読み書き算数はキソ様が質問してくることもすべて答えることが出来、教えることはないと項垂れた。
サクラは転移チートだった。そして、僕より前世で知識を得ていたため、逆に色々な原理を教えようとして、僕が止めた。
 勉強を教えることをあきらめたキソ様は、僕とサクラから、計算方法を聞き出していた。
 僕たちはこの世界の魔法について復習した。やはり詠唱、詠唱短縮、無詠唱と難しくなるようだ。イメージだけでは魔法が発動しないようで、僕たちは神様が作った肉体にも秘密があるのかな?と小声で話していた。
この日も野営だった。残り1日で予定通り到着しそうだ。


そして5日目・・・。 

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