冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

轟く二つ名

「あの【漆黒の翼】さんですか?」
そうキソ様が言った。


 「お前が【漆黒の翼】・・・。」
そうウツカは目を見開いた。


 「【漆黒の翼】に会えました!!」
そうサワーは拝みだした。


 「ぶふぅ~~~!!」
そうサクラは噴出した・・・。


 「サクラはあとで話がある。今後のパーティーの行方を左右する、大事な話だ。」


サクラは慌てた
「ごめんなさいラウール。免疫がないのよ、急に出てきたらね?」


 「は~、そうだよね・・・。」


なぜラウールの二つ名をこの人たちが知っているのか気になった。
そしてそのまま聞いてみ。
なぜ漆黒の翼を知っているのかを・・・。


 「少し前にクライスの街に遊びに行ったんだけど、そこで知り合いのデーブンさんが言ってたの。デーブンさんがこの国に来た頃に【放浪の羊】と知り合いになって、護衛依頼もしてもらったことがあったんだけど、その途中でね?このくらいの攻撃など~!漆黒の翼に比べたら~!と言っていて、気になったから聞き出したの。」
そういい笑顔でキソ様がこちらを向いた。


 「デーブン・・・。」


 「それでね、漆黒の翼について聞いてると、Gランクから二つ名があったっていうじゃない!!なにそれ、Gランクってまだ町中の依頼しかしてないようなランクよ。それなのに二つ名なんて、面白いじゃない!!」


 面白いのか・・・。僕は面白い・・・。


 「だから、ラウール、私の護衛依頼を受けてくれないかしら?」
 真剣な表情に合ったキソ様が目の前にいた。


 ~~~~~~~~


 急に真剣になったキソ様の事情が分からないので、依頼は冒険者ギルドに、指名依頼で出しておいてほしいことを伝え、街に到着した。
そして、入場の列に並ぼうと思っていたのだが、貴族入り口から入ることになった。
 今回の門番さんとの出会いは、もう少し後になりそうだ・・・。


 門をくぐり、父にも紹介したいと言ったキソ様だが、街に到着したばかりと言う理由をつけ、今日のところは分かれた。そして、冒険者ギルドに行くために、サワーさんは少しの間一緒に来てもらうことになった。


サワーさんに案内され、冒険者ギルドに行き、移動馬車の護衛依頼の報告をした。そしてサワーさんと一緒に途中で襲われたことを報告した。
ほとんどの盗賊?は討伐したが、5人程度は生かし、ポルフォ家に移送されたことも併せて説明した。


ラウールとサクラの昇格は、審議してからという事になった。
 依頼として受けているものでないので、通常の手続きだ。


その後はサワーさんと別れ、教えてもらった宿に泊まることにした。
もちろんいつものチェーン店があった。


 ~~~~~~~~~


 「つかれたねラウール・・・。」


 「そうだねサクラ・・・。」


2人は肉体よりも精神的に疲れていた。
もちろん原因はあの貴族だ。
 【黒猫】に指名依頼が入る状況になってしまった。立派な護衛がいるのにもかかわらず、冒険者ギルドに護衛依頼を出すほどのことって?


そして盗賊?だ。いつまでも『はてな』がついているが、あの盗賊たちの装備は、一見粗末なものに見せかけて統一されていた。そして、魔力を感じる男までいた。
 魔法を唱えることが出来る人は確かに盗賊にもいる。しかしその男の魔力の運用は、うまかった。今まで見た人の中でも上位なほどに・・・。
だからこその一瞬での殲滅だった。


 痛いのは嫌いなので・・・。


 「サクラは感じた?あの集団の違和感を?」


 「うん。この世界のことはまだまだ分からないことが多いけど、何かわざとらしい雰囲気を感じた。自然じゃない話し方?違和感?なんか変だった。」


 「そうだよね?話し方も無理してる感じだったし、なんとなく棒読みな話し方・・・。」


 「どこかの敵対貴族が狙ってるのかな?よくあるでしょ、盗賊に見せかけてって・・・。」


 「そうだね・・・。僕の幸運値は高いはずなんだけどね、巻き込まれるね。」


 「巻き込まれるのが幸運だったりして?この世界を楽しめよって言うこと?」


 「それはそれで、そうなんだ・・・。」


ラウールとサクラはそこで話を止めて休むことにした。
そして明日は冒険者ギルドに向かい、ランクアップとなるか聞いてみる。
そしてしばらくはこの街にとどまることになるのだろうという状況になったので、街の中も見ておかないといけないと思っていた。


できたら権力者とは絡みませんように・・・、と祈って。 

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