冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

幸運?不幸?

前方が騒がしい。
 気配はたくさんあるが、まだ見えるところまでは来ていないので、何が起きているかわからない。


 少しずつ近づくにつれ、叫びあう声が聞こえてきた。
 武器を打ち合う音や悲鳴、そして動物の鳴き声。
この先で戦闘が行われているようだ。


しかし今はこの馬車の護衛。
ラウール達はどうしたらいいか迷っていた。


 「すいませんがラウールさん。この先の争いを見てきてもらってもいいですか?このままだと、私の馬車にも被害が出るかもしれませんから。そうならないように、前方にいる人と協力すれば、お2人で対峙するよりは楽になるのではないかと思ったんですが。」


この移動馬車の人?慣れてるな。いい案だ。


 「わかりました。急いだほうが良さそうなので、サクラ!行こう!」


そう言いラウールは走り出した。その後ろをサクラが追うように走り、すぐに戦場にたどり着いた。
そこには、鎧を着た人たちが必死に馬車を守っている姿が見えた。
 鎧を着た人たちは10人。そのうちの7人はもう倒れこんでいる。
そして取り囲んでいる盗賊?達は30人ほどいる。
なぜこんな目立つところで、こんな鎧の人たちに襲い掛かているのかはわからないが、どちらが危ないかは一目瞭然だ。


 「加勢は必要ですか!!」
とラウールは鎧の人たちに叫んだ。


 「いいのか!?」と先頭に立つ鎧の人が答えた。


それを聞いた瞬間ラウールとサクラは目で会話した。
ラウールは鎧の人の前に出て守りを。
サクラは広範囲魔法を。
2人は役割分担をした。


そしてサクラは適当な詠唱をはじめ、
 「エアカッター!!」
そう叫ぶと、サクラの目の前の盗賊?は一番偉そうなやつを除き、頭と体がおさらばした。


その後にラウールは、残りのえらそうなやつを入れて5人の腹を殴りつけ、大ダメージを与え、地面とお友達にした。


 ~~~~~~~


 「ありがとう!助かったよ!」
そう言って一番先頭に立っていた人は近づいてきた。


しかし言葉を全て聞く前にラウールは、適当に詠唱して、
 「範囲回復魔法!エリアハイヒール!!」と天に向け両手を掲げた。


パ~~~~!


その言葉の後、倒れている鎧の男を含め、盗賊?以外は光に包まれた。


 「それは範囲回復魔法??」
 鎧の人はびっくりしているが、1人1人の状態を確認に行った。


・・・・・
 ・・・・・


「ありがとう!!みんな無事だ!!本当にありがとう!!」
 鎧の人は、兜が吹っ飛ぶんではないかと思うほど頭を下げた。


 「僕たちも近くにいたので、いっしょに対処したほうがいいと思って行動したので、そんなに頭を下げなくてもいいですよ。」


 「いやいやいやいや・・。私たちは負けそうだった。そして君たち2人ですべて倒した・・・。我々は何もしていないよ。おまけにみんなを回復してもらって。どうお礼をしたらいいのか・・・。」


 「いいんですよ。お礼はいらないので、僕たちのランクアップのために、次の街で誰か一人が証言してくれませんか?盗賊を討伐すると、サクラはCランクへ。多分僕はAランクに昇格できますから。」


 目の前の鎧の人はびっくりした動きをしている。
 「その年で・・・、そんなに高ランクだったとは。それならこの成果も納得だ。」


ビックリしている人に、身分を明かしていないと思い出し、冒険者プレートを掲示した。
 目の前の馬車は紋章が入っているものだと、いまさらながら気づいたからだ。


 「ありがとうわざわざ。私はサワー。この馬車に乗るお方の護衛隊長だ。」
そういって兜を脱いだ。するとそこには、白髪のボブカット、20歳代中盤くらいの可憐な女の人だった。ただ身長は僕より大きかった・・・。


 「そうなんですね。それでは用事が終わったのでしつ『ちょっと待って!』」
ラウールは面倒ごとを避けようとその場を立ち去ろうとした。しかしその言葉を遮り、馬車の中から声が聞こえた。


 「キソ・ポルフォ様!ここでお顔をお見せになるのは・・・。」


 馬車の中から顔を出した人はそうサワーを静止した。


 「この度はありがとうございます。私はキソと申します。」


 「どうも・・・。ラウールです・・・。」


 「おい!ポルフォ侯爵家のキソ様になんて口の利き方だ!」
そういって、サワーの後ろにいた騎士が怒鳴りつける。
 既に兜を脱いでいるから顔が見えているが、こんな状況なのに長身、金髪、イケメンだ。カシマスさんとは系統が違うが。


 「申し訳ございません。僕は冒険者で、丁寧な言葉は苦手なので。」
そういって、普段はもっと丁寧な口調をあえて崩していた。


 「いいのです。ラウールと言いましたねそしてサクラとそちらの女性を呼んでいましたね。お2人は命の恩人。言葉遣いなんてどうでもいいじゃない!」


おっおう・・・。急に来た・・・。


 「私がいいっていうんだからいいの。ねっサワーもウツカも。ねっ#!」


 「「はい・・。」」


2人は逆らえない。絶対強者だ。


 「わかりましたよ、ラウールよろしくね! 私はサワー。キソ様の護衛筆頭!」
 「俺はウツカ!2番目と言いたいが、2番目でない護衛だ!よろしくな!!」


 「「おっおう・・・。」」
ラウールとサクラはガラでない返事をしてしまった・・・。


 「それでラウールさんたち? 一緒に進んでくださいね。こわ~いので。」


 ~~~~~~~~~


なぜこうなった?
いきなり一緒に?
どこに?
ロムビドに。
 護衛はいるよね?
さっきピンチになったよね?
 護衛は納得するの?
OKっす!
ウツカは面白くないよね?冒険者も一緒なんて?
キソ様が安全ならそれでいい!
 僕は移動馬車の護衛依頼を受けてるんだけど?
 護衛馬車も一緒に言ったらいいですよ!
そんなに守れるかな?
あれで何言ってるの?
 僕は・・・。
あ~あ~!?きこえな~い!


 何と不毛な会話か・・・。すべて返される。この人は・・・、やり手だ。
ラウールとサクラはあきらめた。
しかしランクアップができるように報告して?とお願いはした。
 快諾された。


 「そんなにランクアップを急いでなかったけどありがたいよ。」
 「わたしもそんなに気にしてなかったけどよろしく。」
ラウール達はキソ様に素直に話した。


 「そうなんだ?冒険者ってランクアップを常に目指してると思ってた。」


 「そうでもなんだよ。僕の両親もCランクで止めてたしね。ランクアップすると危険や、緊急招集依頼があるからね?」


 「なるほどね~、私なんて護衛隊長はなりたくて頑張ったけどね?」
そうサワーが会話に入ってきた。


 「それで、ラウール達はパーティーを組んでるのか?」
ウツカも入ってきた。


 「そうですよ。2人だけですけど、【黒猫】って言います。」


 「へ~、似合うね。見た目も性格も黒猫みたいだし、いいね!」
とキソ様がほめてくれた。


 「じゃあ、Bランクだと厳しいかもしれないけど、あの実力だと、二つ名とかは?」
とキソ様がぶっこんで来た・・・。


・・・・・・・
 ・・・・・・


「【漆黒の翼】です・・・・。」


 「「「え~~~~~~!!!」」」 

「冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く