冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

次に進みたいラウール

ラウールはサクラに相談を持ち掛けた。そろそろ他のところに行かないかと。
サクラは答えた。いいよ、と。


 「じゃあ、みんなに挨拶をして、買い物をして、3日後くらいに出発する?護衛依頼とかはどうする?」
そういってサクラは何かを考えている。


 「そうだね、3日後でいいかもね。じゃあそうしようか。護衛依頼は、いいのがあったらしようか?」


 「じゃあそう言う事にして、行き先は?まだ聞いてないよね?」


ハッとしたラウールだったが、行き先を決めていないことに気づいた。
 「忘れてた・・・。出発することだけ考えてた・・・。」


サクラもびっくりして、
 「普通は旅に出る、行き先はセットでないの?は~・・・。でもラウールの性格もだいぶわかってきたから、一緒に考えよ!」


 「ありがとう。僕はテザン皇国をもっと見て周ろうと思っているけど、サクラは行きたいところはある?」


 少し考え、
 「特にはないかな。でも、フイエウ共和国はまだ通りたくないな。後は、サーシン王国に行って、ラウールの両親にも会ってみたい。」


 「そうだね。フイエウ共和国はもう少しほとぼりが冷めてから移動しよう。じゃあ、今度サーシン王国に行くときは、西のラシーア帝国を通って戻ろうか?」


 「そうね。そうすると、一度テザンをまわって、転移でここクライスの街に戻ってきたらいいわね。」


そう話し合ったラウール達は、まずは南西にあるロムヒドの街を通り、次は更に東のツヘイシの街により、そこから南西にある首都ニジュールに行く計画を立てた。3つの街は、逆三角形のような位置関係にある。


スヘイシの東に行くと、ボーリットの街と言う港がある街につく。
 首都ニジュールの南は、交易都市サザがある。
 転移ポイントを付けて、次の場所に行きやすくしながら旅をする予定だ。
そして、首都ニジュールでは積極的に依頼をこなす予定として、ダンジョンにも挑戦する。できたら、今度こそラウールはAランクになりたいと考えている。


 ~~~~~~~~


 行き先が決定した後は、買い物に出かけた。
 長移動中であるため、食材と、すでに出来上がっている料理を持っていこうと計画している。そこで、3日後の出発までに買いに来るからといって、料理を準備してもらえるように、店をまわった。


 冒険者ギルドにも、出発することを伝えた。
そして、【放浪の羊】のメンバーにも挨拶をしようと考えていたが、今はダンジョンにこもっているようで、出発の日にまで戻ってくるかは不明のようだ。もし戻ってきたら、出発前にもう一度冒険者ギルドに寄ると伝言を残した。冒険者同士はそう言う事もできるのである。


 教会には・・・、行かない。


 ~~~~~~~~~


そして出発の日、朝から冒険者ギルドにいた。
そこでは、これまで顔見知り程度だった冒険者も、
 「頑張れよ!」
 「気を付けてな!」
 「いつか俺にも黒猫の姿を見せろよな!」
 「行っちゃうの?私悲しい(マッチョ)」
 「いっそのこと、ずっと武器なし、軽装で冒険してみたらどうだ?そのうち伝説になるかもよ!?」
 「漆黒の翼のイメージを少しは消しておくぜ!」
などと、好き勝手なことを言ってくれて、うれしかった・・・。


 【放浪の羊】は帰ってきた。ギリギリ昨日の夜に戻ったようで、疲れているだろう朝に、わざわざ来てくれた。
 「おうラウール!お前たちもこれから頑張るんだ。俺みたいな道具使いはなかなかいないだろうが、きっとお前たちにも、りっぱな道具使いが見つかるさ!!」
とデーブンさんは平常運転だ。


 「ラウール、無理をしないようにね。俺達はもう少しここで実力をつける予定だ。しかしそのあとはまた護衛依頼で各地をまわりたいと考えている。またどこかでな!」
そうフルートさんは言ってくれた。


 後の3人もそれぞれ別れを告げた。
 長い間一緒にいるパーティーではなかったが、数少ない知り合いで、ラウールも悲しさがこみあげてきた。


 「【放浪の羊】の皆さん・・・。また逢いましょう。それまでお元気で!!」


 「おう!!俺が代表して!!またな!ラウール!」
 最後はリーダー・・・ではない、デーブンさんからの言葉だった。


 ~~~~~~~~~


ラウールとサクラは、結局は移動馬車へ護衛もかねて乗車した。乗車料金が少し安くなり、少しは冒険者ギルドの依頼達成件数に足される。


そして、運が良い?悪い?どちらかは言えないが、盗賊などに襲われた時には、サクラのランクアップに役立つことになる。


 「じゃ行こうかサクラ!」


 「そうねラウール!」

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