冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

サクラの生まれ変わり

サクラは話し出した。


サクラは地球という世界の日本と言う国の広島という所に住んでいた。
 小さなころから目立つこともない学歴だが、両親に過剰な愛情を注がれて生活をしてきた。
サクラは高校を卒業した後、料理の専門家になるための学校に行ったと言う。そこで料理を学び、将来の夫になる人物のために学びなさいと両親に言われたみたいだ。
そして料理をすることが得意な人になっていったが、両親は将来のためと言いながら、夜まで外出していることを良しとせずに、自分たちの夕食を作れる時間には帰ってくるように言い聞かせられたという。するとサクラは、周りの人に取り残され、気が付いたときには、周りに両親以外の人物がいることがなくなっていた。
 朝食を作り、昼に持っていく食べ物を作り持たせる。そして夕食の準備。1日に2回は台所に立っている。すると昼と夜に時間はあるが、1人だったため、インターネット(はっきり言ったわけではないが)でいろんなことを調べる。本を読む。そして調べ物をする。それだけで1日が過ぎて行った。
 過剰な愛情が仕事に出ることも許さず、そして交友関係をなくさせ、サクラの1日は両親のためと、知識を得る事だけになっていた。
そして時間が過ぎるのは早く、気づけば産まれてから30年以上が過ぎていた。
そのころには今度両親は、孫が欲しいと言い出した。ここまで育ててやったのに、孫の顔も見せないのかと・・・。


そこまで来てサクラは爆発した。
 私はこんなことがしたかったわけではない。両親が言う事に逆らえない自分だったけど、もっといろんなことがしたかったんだと。
 初めて両親を罵倒し、家を飛び出した。


 行く当てもなく、お金もない。どうしようか考えているときに、道路に飛び出す子供が目についた。
そして危ないな~と思った瞬間、トラックが曲がり角から見え、猛スピードで子供に向かっていた。
 何も考えてないと思っていたけど、その瞬間、この子には未来がある。そう思っていた。そして次に目を開けた時にはもう私の目の前にトラックがいた。


ブラックアウトした。


 ~~~~~~~~~~


 一息つきサクラがまた話し始めた。


ブラックアウトしたと思ったら、真っ白な部屋にいた。ここはどこかとキョロキョロしていると、目の前に光り輝く女の人が出現した。


その人は自分を創造神と名乗った。


その創造神は、私が子供を救ったことをほめてくれた。
そして、私の人生を何かの力で見た後に、私を違う形で生き返らせてくれると言った。
 私は初め断った。これ以上無為な生活は送りたくないと。


しかし創造神さんは、地球以外で生活してみることを進めてくれた。あの部屋で見ていた物語のように。


 私は興味が引かれ、話を聞いてみた。
 創造神さんは今の気持ちを持ったまま、違う事をすることで何か見えて来るだろうと、記憶を持ったまま転移することを勧めてくれた。そして、何か少しなら人生を楽しむくらいの能力を与えてくれると。


 私は思い描いてみた。異世界で生活している自分を。
そこで望んでみた。あの幸せだった中学2年生のころを。大人と子供の中間、何事にも自由と責任の狭間で揺れ動き、動揺が多いが楽しい時代を。14歳からもう一度やり直したいと。そして、一度は思い描いた魔法を使ってみたいと・・・。


 創造神さんはかなえてくれた。
14歳と言う肉体。魔法の適正。前世の知識や技術。
しかし、今世がすべて悪かったものでないと言いたいと、前世のままの姿と記憶を・・・。


 最後に加護をいただいた。なんでも、全てにおいて器用になるそうだ。肉体もこの世界の人に比べ、強くなる。
しかし、最大値を考えると、他の神の加護を持っている人のほうが大きくなる可能性が高いと。
 創造神の加護は、何でもできるが器用貧乏だと自嘲していたことが記憶に強く残っている。


シチランジンと言う名前が、次に生まれる世界。
 創造神さん以外も地球から転生させている人がいるかもしれないと。
 地球だけでも生き物の数は膨大だから、地球だけに生命が集まるわけではなく、色々な世界に飛ばされることもあるのだと。記憶の引継ぎはほぼないけれど。


そういったやりとりをして、サクラはこの世界にやってきたと説明をしてくれた。


 ~~~~~~~~


 「これが私の人生・・・。これでも私と一緒に旅をしてくれる?気味が悪い?」


・・・・・
 ・・・・


「僕の決心が足りなかった・・・。気味が悪いわけがないよ・・・。僕はサクラと旅をしたい。僕はではなくて、僕以上にサクラと旅ができる人はいないと思うから・・・。」


ラウールも話しを聞きながら考えていた。話しが続くにつれて、ここまで話してくるとは思っていなかった。前世の記憶がある程度でお茶を濁すと考えていた自分が恥ずかしい・・・。


 僕もサクラの話しの最後の方で、決心をしていた。両親にもまだ話していないことを言ってしまおうと・・・。


・・・・・
 ・・・


「これからも僕と一緒に旅をしてください。そして・・・、僕も転生者だ・・・。」


・・・・・
 ・・・・・


 その言葉を聞いたサクラは、今まで涙を浮かべていたが、そのまま動きが止まった。 

「冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く