冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

外伝7 フイエウ国首相バルモート視点

「出発したようですね、繁栄をもたらすかもしれないものが・・・。」
 黒いローブを着た人物が、こじんまりとしながらも品の良い部屋で、目の前の風格のある人物に話しかけている。


 「そうだな。私はこの国の繁栄を願うが、1人の個人の自由を縛りたくはないと考えている。だが、あいつらはどう思うか・・。」


 「ブレットンの知事は、次の首相を狙ってますからね。次の選挙までに手柄を上げたいみたいですからね。今回も首相を早く退陣させようと策も練っていましたものね。」


 「本当にうっとおしい奴だ。お前たちが私や家族を守ってくれているから安心はしているが・・・。あいつらは大丈夫だろうか?結局頼っては来なかったからな。」


 「ラウール君は大丈夫でしょう。彼と障害がないところで対峙したときに感じた力・・・。彼は強い。」


 「そうか・・・。お前が言うほどなら本当の強者なのだな。ではサクラはどうだ?あのものの知恵についての情報はあるが・・・。もし襲われた場合に、ラウールの足を引っ張り、つかまってしまうことはないか?」


・・・・・・


「大丈夫でしょう。ちょっと気になっていたから私自身で見てみる機会があったんですけど、魔法で地面に大きな穴をあけていましたよ。そして、剣でも魔物の討伐は楽にこなしていましたし。」


 「やはり歴史の通りの者か・・・? 知恵があり、戦闘能力もある。ぜひ味方になってほしかったな。」


 「今は敵対しないことでよいのではないでしょうか? 旅をしていると言っていますし、いずれこの国に繁栄をもたらせるように観察しているだけでも。14歳ですから。」


 「そうだな。これから先、旅で得た知識も加え我が国の為に働いてくれたら。」


 「そのためにもあいつらの戦力を少しでもそいでおきましょうか?ラウール君たちが不覚を取るとは思えませんが、少しでも楽になるように。」


 「そうだな。私が首相の任期を終えた後でもこの国にまた寄ってもらえるようにな。」


 「じゃあ少し組織を動かしますね。僕はちょっと別れのあいさつでもしてきますよ。すべてを影で行っていてもラウール君たちに何も気づいてもらえませんからね。」


 「そうだな、ちょっとは恩を売っておこう。」


 一室で行われた会話で有った。


そして黒いローブの人物はすっと消えて行った。 

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