冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

念願の・・・

街道をそれないように、街から遠くなりすぎないように歩き、気配を探って歩いていく。
2㎞くらい歩いたところで、その先の森の中から気配がする。


「何かがいるみたいだな、そっちを探してみるか・・・」


草を分け、木々の間を進んでいくと、『ギギギィ・・』と複数の声、音?が聞こえてきた。そ~と木の陰から覗いてみると、緑色の小人が3人いた。その他の気配は遠いな・・・。


「よし、3匹のゴブリン発見。できるだけ2匹を早く倒して、もう1匹は、色々試してみるか・・。」


ラウールは片手に剣を持ち駆け寄って行く。
一番手前にいたゴブリンに剣を横一線・・・!
ゴブリンの首が体から落ちた。
そのままの勢いで、もう一匹のおなかを蹴ると、地面にあおむけに倒れる。そこに剣を突き刺す。
『ギギー!』と1鳴きすると、ぴくぴくと痙攣している。
残りはもう1匹!!


「やー、ごめんね。お仲間さんは倒しちゃったよ。けどまだ、魔法を使ってないから、ちょっと付き合ってよ。」


そういうと目の前で何が起きているかわからず止まっているゴブリンに、魔法を使った。
詠唱はいらないけど、仲間といた場合の練習として、魔法名は唱える・・・。


「バインド」 足に土の塊が巻き付くイメージで唱える。


『ギギギギギ!』
ゴブリンの足に土の塊がリング状になり、巻き付いている。


「よし、成功だな・・・。次は『ブラインド』」


魔法を唱えると次は、ゴブリンの目のあたりに黒い靄がまとわりついた。


「次『ロックバレット改』」と唱えると、ラウールの前からすさまじい速さで、銃弾のように石が飛んでいく。


バコーン!!


甲高い音がゴブリンの後ろから聞こえた。そっちを見てみると、岩が少し砕けていた。そしてゴブリンを見てみると、胸の真ん中に赤ん坊のこぶしくらいの穴が開いていた。そしてゴブリンはそのまま後ろに倒れた。足が拘束されていたので、まるでマト〇ックスの有名な場面のように・・・。


「あ~もう少しいろんな種類の魔法を使おうと思ったのに・・・。けど、どうせならひと思いに倒すのが情けかな・・・。魔物とは言え生き物だし・・・。」


顎に手を当てながら考え込んだが、


「よし、僕よりだいぶ弱い魔物は今後、一気に倒そう!  そして、少し強い敵がいたら、色々と試してみよう・・・。ま~安全圏を残してだけど。」


そう中身の中年は、あまり戦闘で冒険をしたくなかった。この世界に来て、魔物と言う生き物を倒すことで気もちが揺らぐことはなかったが、もてあそぶのはまた別だな、と考えていた。


「目標のゴブリンを倒すことが出来たから、後はこの森を街道から離れすぎないように歩いて、街に戻ろう! そして魔物がまたいたら、即滅だ。 かなわなそうなら逃げる。」


そう宣言しながら、街に向けて歩き出した。街道に近いとはいえ、整備されていない道。気配を探るのは忘れずに行った。その結果、ラピットホーン3匹、ウサギ3匹、小さめの鳥2匹を遠くからエアカッターで首を一閃し倒していた。
そしてもうすぐ街につきそうなころ、ウサギが一匹いたから、またエアカッターで一閃し回収としたとき、横から人が現れた。


「おいおまえ!それは俺が目をつけてたウサギだ!だからそれを置いていけ!」


目の前に現れたラウールと同じくらいの子供が怒鳴りつけてきた。
しかし、気配を探って歩いていたラウールは、このウサギを狙って動いている人の気配は感じていなかった。少し近いところで草を刈っているような気配はあったので、気を付けて魔法を放ったけど・・・。


「おい!黙ってないで、ささっとおいていけ!」


ん~おかしい、どう考えても狙ってる人はいなかったはずなのに・・・。


「おい!ガキ!何か言ったらどうなんだ!」
そう叫んでいる、赤毛、短髪の男の子へ近寄ってきた女の子がいた。
「やめてよお兄ちゃん、ウサギなんて狙ってないじゃない!」
近寄ってきたまた赤毛で肩まである髪を一本で束ねた少女が止めに入ってきた。
「うるさいシリン! 俺の言う通りなんだ! 俺のウサギなんだよ!」


「何言ってるのよ!そういうことすると、また院長先生に怒られるよ『こらー!カイン!また悪さしたのか~!』ってね?」


「似てる・・・、でなくて、シリンが黙ってればわからないんだよ! こんな弱そうなガキ、脅せばよこすさ。」


「弱そうなガキが、森の中から、剣を持ってくる? それに、剣でなくて、他の方法で倒したんでないの?ウサギにあの距離だと届かないよ?」


「なんだっていいんだよ! 肉 肉がそこにあるんだぜ!」


・・・・ラウールが口を挟む隙間がない。会話のラッシュだ。そして、こっちがテンプレ!! 倒した獲物が狙われる? 院長先生?? 孤児院とか教会? 学校? 2人の会話を聞きながら、想像が膨らんで、つい聞き入ってしまっていた。



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