冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

不本意な二つ名

僕はラウール。冒険者登録をしたばかりのGランクだ。けして『G』になったわけではない。
冒険者登録をした日はテンプレで絡まれ、依頼を受けずに帰宅した。
そのまま依頼を受けないなんて、冒険者登録をしたかいがないと思って、冒険者ギルドに向かい歩いていた。






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ここで僕の容姿をご紹介しよう。
身長と体重はご想像にお任せしよう。年相応だ。
髪の毛は前世の姿を引きずったのか、黒だ。決して珍しい色だ。顔は、『WIYEEEEE!!!」』と叫びそうな人ではなく、二重パッチリ、でもおとなしそうな顔をしている。パーツも大きくなく、二重以外は目立たない顔をしていると自分では思っている。眉毛はきりっとしている。
ちなみに髪を切るのがめんどくさく、どこぞのホストよろしく、後ろ髪が長く、横は耳が隠れる程度の長さだ。


ついでに父様ミックのご紹介
イケメンだ・・・おわり!
ではだめだろう。身長180㎝、細マッチョ、36歳になる。赤い頭髪、肩まである髪をなびかせ剣で戦っている、2度目の、イケメンだ。


そして母様。女神だ!!
と一言で表すことが出来るが、少し説明をする。
身長150㎝、全体的にきゃしゃだ。はっきりとした顔立ちをしていて、パッチリお目目。緑の髪が腰まであり、一本で無造作に結んでいる・・・、美人だ・・・・こほんっ40s・・・。姉さん女房だ・・・・。




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久しぶりの剣と盾の紋章だ・・・。入るのに緊張する・・・。
しかしいつまでたっても入らない事には、二度と立ち寄れない。思い切ってドアを開けて入っていく。もちろん父様、母様は後ろで控えている。


がこっ!!


ドアを開けて入っていくと・・・・


「ひっ!!!」
「すいません!!  今よけます!!  殺さないで!!」
「おいおい何の騒ぎ『しっ、あれがうわさの』・・・騒がしくないですね。いい天気だ・・・。」


何という事でしょう。あれほど珍しいものを見るようにされていたのが、今では恐怖の視線で・・・。


「父様・・・これはどういう事でしょう。僕は絡まれた被害者だったのではないでしょうか?」


「ん~、あの時のプレッシャーがここまで影響するとは・・・。ラウ、冒険者とは周りに称えられることが誉れ。良いではないか。」


「・・・・いいのですか、称えられる・・・、遠巻きにされる・・。避けられてるのではないでしょうか。まだGランクというか、登録したてですが・・・。」


「まー、依頼票を見て並んでみよう。実績を積めばかわるものもあるよ。」


父様の提案で依頼票を確認に行く。僕が移動すると、移動した先の人が道を開ける。まるでどこかのご貴族様のように・・・。


ちなみにこの世界にも貴族はいる。貴族が馬車で街に入場してくると、一斉に道を開けて通りやすくする。もし邪魔になるようなら、そのまま馬車で引いて行ってもお咎めが無いような権限を持っている。


僕は平民ですよ皆さん。


あきらめもありながら採取依頼の依頼票をもって受付に並ぶ。しかし、並んだ先から前の人がいなくなって・・・。


「本日はどのようなご用件ですか?」
受付の人が声をかけてきた。


「薬草採取の依頼を受けたいと思います。」


「あらあなたは。。。」


「アリサさん!2度目ですね。登録の時にお世話になったラウールです! 依頼を受けたいと思います。」


「採取依頼ですね。かしこまりました。しかし、『漆黒の翼』の二つ名を持つラウール様には、採取の依頼など簡単すぎるのではないですか?    そういえばまだGランクでしたね。Gランクで二つ名持ちなんて、いまだかつておりませんでしたよ。」


!!!!!!!!!!


「『漆黒の翼』どこの中2・・・。」


「あの時の魔素が、見える人には背中に二つの翼が見えたと・・。それは真っ黒に染まり、まるで黒い翼をもった天使、そう、漆黒の翼の二つ名にふさわしい姿に見えたとか。もうこのギルドであなたに向かっていく愚かな冒険者はいないと思います。ギルドマスターもいずれ会いたいと話していました。」


「なんでそんな扱い・・・。ただ登録に来た8歳児なのに・・・。」


「噂が消えるまでは我慢する必要があると思いますよ。けど、私は話していて嫌な気持ちになりません。いずれどういった人物かわかってもらえますよ・・・ラウールさん。」


「ありがとうございます。まずはギルド職員から大切にされる冒険者になりたいと思います!」


照れながらも、これから頑張って、『漆黒の翼』なる二つ名の印象をなくすように頑張ろうと決意したラウールであった。ちなみに、採取依頼は大成功で、過去最高の、1日300束を記録した。品質も最高で、アイテムボックスXさまさまだった。

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