君の生きる希望になりたい

ほたる

僕の世界の始まり(4)

キャリーケースの中で独り震えていると、
緊張と汗の匂いをさせてお姉ちゃんが戻って来た。



お姉ちゃんは、キャリーケースがカタカタと音を立てる程に震えていた。


僕は心配でお姉ちゃんに擦り寄った。



でもお姉ちゃんの震えが止まらない内に、
僕は女の人に抱きかかえられた。



いつも触ってくれる女の人の匂いに安心してしがみついた。


優しく頭を撫でてくれる女の人。

少しだけ身体の力が抜けていくと、
僕は冷たい台の上に降ろされた。



女の人の腕に戻ろうとバタバタしていると、
ゴツゴツと固い手が僕の身体を触った。


ビクッと身体を硬直させて固い手の主を見ると、メガネをかけた男の人だった。


少しくぐもった低い声で女の人と話してる。




僕の脚や背中、しっぽや耳を触って
それから眼を覗き込んで少しだけ笑いかけてきた。


だから僕もよく分からなかったけど、
ヘヘッと舌を出して笑って応えた。




そしてメガネの男の人は、
僕の横腹にポン…ポンと丸い物を当ててきたり。


お尻の穴に棒を入れてきたり…。


僕は不快な気持ちになって、
チーンと固まっていた。



僕を不快な気持ちにさせたメガネの男の人が、
「よしよし。とっても元気だね〜。」と嬉しそうに言ったから、

僕はもう終わったんだと思って、
女の人に抱っこしてもらおうとお腹に手をかけた。



それなのに女の人は僕をまた台の上に戻して、
動けないように身体を固定した。


後ろに逃げようと頭を引いてもピクリとも動かない…。


必死にもがいていると、

首の辺りがスーッとして、
チクリと鋭い痛みが走った。


キャンッ!!

痛みに驚いた瞬間、
足元に温かいモノが広がった。


どうやら僕は、
おしっこを漏らしてしまったようだ……。




タオルで脚やお腹を拭かれて、
ようやくキャリーケースに戻れた。




またキャリーケースが揺れてたけど、
睡魔には勝てなくて…。

お姉ちゃんに寄り添って眠りについた。



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