君の生きる希望になりたい

ほたる

僕の世界の始まり(3)

僕が産まれて一月ひとつきが過ぎた頃。


僕達のお世話をしてくれてる女の人が、
キャリーケースと言う物を持って来た。


キャリーケースに2頭ずつ入れられた。


初めてお母さんと離れた不安と怖さでクゥーンと鳴いた。


お母さんは、僕達を連れ戻そうとしてくれて、初めて聞く低い声でバウッバウッと鳴いたんだ。



でもお母さんが迎えに来てくれる事はなく、
僕達の入ったキャリーケースは揺れた。


狭いキャリーケースの中で、
一緒に入れられたお姉ちゃんとくっ付いて震えてた。



バタン

という大きな音がした後
お腹の下から振動を感じた。



不安で震えてる僕を守る為に、
キャリーケースの外を見てくれてたお姉ちゃんが僕を呼んだ。


呼ばれるままに外を覗くと、
すごい速さで動く外の様子に驚いた。


目で追うのに夢中になっていると、
外の動きが止まり振動がなくなった。



しばらく動かなくなった外を眺めていると、

女の人が知らない人を連れて来て、
キャリーケースに入った僕達をどこかへ移動させ始めた。




すると何処からかツーんとした匂いがして来て、
何故かもの凄く心臓がドキドキとした。


初めて聞く沢山の音や
お母さんとは全然違う鳴き声に怖くなって
ヒンヒンと鼻を鳴らした。



お姉ちゃんと一緒にキャリーケースの奥に丸まって居ると、
女の人が来てお姉ちゃんをキャリーケースの中から連れて行ってしまった。



僕を置いて行かないでよ…。


怖いよ…。


お姉ちゃん戻って来てよ!


お母さんはどこに居るの?



キューゥン…キューゥン…





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