君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜
第1話 ウルスの洞窟▷▷魔石の秘密
ーークレイルの街を出て暫くは、草原を走り抜けた。
月は満月。
なんだか紅いフルムーンでどうにも、不吉な予感しかしない。
神秘的なんだけどね。
風が冷たい。
昼間とは大違いだった。このポンチョみたいのが無かったら、大変な事になっていただろう。
とは言え、足は少し寒いかな。
パッカパッカと、軽快な足音をたてながら走る三頭の馬。
既にクレイルの街はもう見えない。
だいぶ走ってきた。
「カルデラさん! どこに行くの? さっき洞窟とか言ってたけど。」
私は少し先を走るカルデラさんに向かって、そう叫んだ。
その後を私と飛翠が追いかける形になる。
「イレーネを出るんじゃ。さすればそこまで追手を気にせんでも行けるじゃろ。」
と、カルデラさんはそう言ったのだ。
「……領土を出るって事は、他の領地に入るって事だよな?」
と、聞いたのは飛翠だ。
「ああ。“ケネトスの台地”は領地ではない。あそこは“無法空間”。つまり“自由な地”だ。その先には、“アトモス公国”があるがな。」
カルデラさんの声を聞きながら、私は何がなにやら? だった。
アトモスだかケネトスだか……よくわからないけど、この領地にいるよりはマシなんだろうな。と、何となく思った程度であった。
草原をひたすら走って行くと、岩山が突如として目の前を塞いだのだ。
どうやらここをぬけるらしい。
広い草原にせりたって出てきた岩山。
岩肌は私の思う土の色とは異なっていた。蒼と白が入り混じった、キラキラとした岩肌だ。
ぽっかりと空いている穴。
大きな入口に私達は、馬を走らせたのだ。
洞窟の中は外より少し寒い。
ぶるっと、私の肩は震えた。
中は暗いのかと思ったけど、意外だった。
明るいのだ。
まるで蒼と白の入り混じった壁が、灯りにでもなっているかの様に、オレンジ色の光を照らしていた。
ランプの灯りみたいだ。
岩の地面を歩いて行くと、カルデラさんが立ち止まったのだ。
黒馬から降りた。
私達の馬も止まった。
「この先は歩いて行く。少し狭くなったりするでのう。」
と、カルデラさんはそう言った。
今の時点ではそうは思えない。
とても広い洞窟だからだ。
まだ入口がしっかりと見えている。
私は先に降りた飛翠に手を借りながら、トーマスくんから降りた。
「この岩は自然発光なのか?」
飛翠は白馬の手綱を引きながら、そう聞いた。
「そうじゃ。この岩壁の中には“魔石”の源。元素の塊が埋まっておる。」
カルデラさんは黒馬の手綱を引きながら歩く。ガッシャガッシャと、鎧が音をたてる。
「え? そうなの? この中に……」
私は岩壁を見回した。
オレンジの灯りを照らしているけれど、何だか大きい。岩の中で光が灯ってる様にしか見えない。
ロッドの先についている魔石とは、違う。
「これを掘り出してみんと、“魔石”になるかどうかはわからんのじゃ。」
と、カルデラさんはそう言った。
「え? どうゆうこと?」
と、私はそう聞いた。
洞窟の中は確かに少し狭くなった。
それでも私と飛翠が、並んで歩いても大丈夫だ。
「魔石とは不思議なものでな。“人の手”は一切加えておらん。天然ものだ。掘り出し外に出した後、勝手に魔石になるのだ。お主たちの持っているものが、“魔力”を秘めた魔石だ。」
と、カルデラさんはそう言った。
「他にもあるのか?」
聞いたのは飛翠だ。
何だかこんなに興味を示している飛翠は、珍しい。いつもこんなに熱心に話に食いつかないのに。
「宿屋のランプ。あれも“魔石”じゃよ。」
カルデラさんは、私達の方をちらっと見ると笑った。
「え? そうなの? あのランプが?」
と、私はちょっと驚いた。
「そうじゃ。“灯り”をつける為に魔石を使う。魔力を持たない元素の塊を、“原石”と呼ぶ。その原石は、この世界にとって大切な“資源”なのだ。用途は様々。火を起こし、灯りになり動力ともなる。そのうちわかるじゃろ。」
と、カルデラさんは何だか楽しそうに笑っている。
つまり……ガソリンとかガスみたいなものか。
へぇ。面白い。
何か色々ありそう。
私は自然と興味が湧いた。
この世界の“数ある不思議”を解明していくのも、面白そうだと、思ったのだ。
普段……何気なく使用しているものが、この世界では、全く別のもので、でも同じ様なものだったりする。
そう。暗闇を照らすランプは、私の世界でもある。電球だけど。それを、この不思議な”石“が補う。なんだか……楽しくなってきた。
「カルデラさん。それってやっぱり色々あるの? 例えば……水とか。」
と、私は聞いてみた。
「水は“自然”のものじゃよ。あと、大地や空気。森もそうだ。自然だ。ああ。水力で船を動かす事には使われるな。」
と、カルデラさんは少し不思議そうな顔をしながらそう言った。
「なるほどな。“エネルギー資源”ってことか。」
と、飛翠はそう言った。
あ。わかりやすい。
私は納得した。
「エネルギー資源? まあ。“源”と言う意味ではそうかもしれんな。」
何だかカルデラさんの言う“エネルギー”と、飛翠の言う“エネルギー”は、ちょっと食い違ってる気もしたけど、まあいいか。
うん。言葉は難しい。
「あ。カルデラさん。魔石って……持つと誰でも魔法が使えるものなの?」
と、私はそう言った。
現に、私と飛翠は同じものを、持っている。
「魔法と魔石については……ワシよりも、ゼクセン様の方が詳しいんだが……。ワシは使わんからな。」
洞窟を歩きながらカルデラさんは、酷く困っている様な声をだした。
前を向いていて顔は見えないけど、声でもそれはわかった。
「え? 使わない?」
と、私が聞くと
「王国には“専属”と言うのがいてな。魔道士達の魔法の方が、強いしな。魔石の魔法とは、簡単に言うと“誰でも使える初歩的魔法”だそうだ。」
なに? その“お試し”みたいなノリ……。
「それに……ワシは苦手でな。」
と、カルデラさんの声は少し小さくなった。
顔は見えないけど、たぶん情けない顔してるんだろうな。
おほん。
カルデラさんは一つ咳払いをした。
意を決した様に話をしてくれたのだ。
「魔石の魔法は、“四大元素”と呼ばれるモノしか使えんのだ。“火、氷、風、雷”。その他は“魔道士”や“魔法使い”の特権でな。う〜む。なんと説明してやったらよいものか。」
本当に苦手なんだな。
カルデラさんは、首を傾げている。
オレンジっぼいその肩までの髪が、揺れた。
「おお。そうだ。“下級魔法”じゃった。そうだ。そうだ。」
うんうん。と、頷いているのがわかる。
「“単体魔法”と呼ばれるもので、敵に対して単体攻撃と、全体攻撃がある。下級魔法は単体のみしか使えん。威力もある程度までは範囲があるが、それ以上の強さはない。」
と、カルデラさんは少し坂になっている洞窟の道を歩きながら、話をしてくれた。
「つまり、“進化”と言う過程はないのだ。それに武器に装着出来るのも“魔石”三つのみ。魔法使いや魔道士は、関係ない。」
と、そう言ったのだ。
「それなら魔石って余り意味がないの?」
と、私はそう聞いた。
「いやいや。斬撃などが効かん敵もおる。そんな時に利用するのが、“魔石と魔力”の混合技だ。これは“戦士と魔法使い”、もしくは魔道士がおらんと使えん。」
カルデラさんは、ちらっと後ろを見てくれた。やっぱり優しい眼をしている。
「混合技?」
飛翠は本当に興味があるみたいだ。
真剣にそう聞いてる。
カルデラさんのライトブラウンの瞳が、煌めく。やっぱりオレンジっぽくも見える。
「“魔法剣”だ。」
と、そう言ったのだ。
「「魔法剣??」」
同時だった。
私と飛翠の声は。
「魔石を装着した武器を持つ戦士と、魔法使いの魔力が無いと成立しない“力”だ。戦士の武器に魔力を備えさせる。王都には“魔法剣士”と言う専属部隊もいる程だ。」
カルデラさんは、私達二人を見ながらそう教えてくれた。
「なんかカッコいいかも……」
私はとても惹かれてしまった。
魔法と剣のコラボか。
なんかワクワクしてきました。
月は満月。
なんだか紅いフルムーンでどうにも、不吉な予感しかしない。
神秘的なんだけどね。
風が冷たい。
昼間とは大違いだった。このポンチョみたいのが無かったら、大変な事になっていただろう。
とは言え、足は少し寒いかな。
パッカパッカと、軽快な足音をたてながら走る三頭の馬。
既にクレイルの街はもう見えない。
だいぶ走ってきた。
「カルデラさん! どこに行くの? さっき洞窟とか言ってたけど。」
私は少し先を走るカルデラさんに向かって、そう叫んだ。
その後を私と飛翠が追いかける形になる。
「イレーネを出るんじゃ。さすればそこまで追手を気にせんでも行けるじゃろ。」
と、カルデラさんはそう言ったのだ。
「……領土を出るって事は、他の領地に入るって事だよな?」
と、聞いたのは飛翠だ。
「ああ。“ケネトスの台地”は領地ではない。あそこは“無法空間”。つまり“自由な地”だ。その先には、“アトモス公国”があるがな。」
カルデラさんの声を聞きながら、私は何がなにやら? だった。
アトモスだかケネトスだか……よくわからないけど、この領地にいるよりはマシなんだろうな。と、何となく思った程度であった。
草原をひたすら走って行くと、岩山が突如として目の前を塞いだのだ。
どうやらここをぬけるらしい。
広い草原にせりたって出てきた岩山。
岩肌は私の思う土の色とは異なっていた。蒼と白が入り混じった、キラキラとした岩肌だ。
ぽっかりと空いている穴。
大きな入口に私達は、馬を走らせたのだ。
洞窟の中は外より少し寒い。
ぶるっと、私の肩は震えた。
中は暗いのかと思ったけど、意外だった。
明るいのだ。
まるで蒼と白の入り混じった壁が、灯りにでもなっているかの様に、オレンジ色の光を照らしていた。
ランプの灯りみたいだ。
岩の地面を歩いて行くと、カルデラさんが立ち止まったのだ。
黒馬から降りた。
私達の馬も止まった。
「この先は歩いて行く。少し狭くなったりするでのう。」
と、カルデラさんはそう言った。
今の時点ではそうは思えない。
とても広い洞窟だからだ。
まだ入口がしっかりと見えている。
私は先に降りた飛翠に手を借りながら、トーマスくんから降りた。
「この岩は自然発光なのか?」
飛翠は白馬の手綱を引きながら、そう聞いた。
「そうじゃ。この岩壁の中には“魔石”の源。元素の塊が埋まっておる。」
カルデラさんは黒馬の手綱を引きながら歩く。ガッシャガッシャと、鎧が音をたてる。
「え? そうなの? この中に……」
私は岩壁を見回した。
オレンジの灯りを照らしているけれど、何だか大きい。岩の中で光が灯ってる様にしか見えない。
ロッドの先についている魔石とは、違う。
「これを掘り出してみんと、“魔石”になるかどうかはわからんのじゃ。」
と、カルデラさんはそう言った。
「え? どうゆうこと?」
と、私はそう聞いた。
洞窟の中は確かに少し狭くなった。
それでも私と飛翠が、並んで歩いても大丈夫だ。
「魔石とは不思議なものでな。“人の手”は一切加えておらん。天然ものだ。掘り出し外に出した後、勝手に魔石になるのだ。お主たちの持っているものが、“魔力”を秘めた魔石だ。」
と、カルデラさんはそう言った。
「他にもあるのか?」
聞いたのは飛翠だ。
何だかこんなに興味を示している飛翠は、珍しい。いつもこんなに熱心に話に食いつかないのに。
「宿屋のランプ。あれも“魔石”じゃよ。」
カルデラさんは、私達の方をちらっと見ると笑った。
「え? そうなの? あのランプが?」
と、私はちょっと驚いた。
「そうじゃ。“灯り”をつける為に魔石を使う。魔力を持たない元素の塊を、“原石”と呼ぶ。その原石は、この世界にとって大切な“資源”なのだ。用途は様々。火を起こし、灯りになり動力ともなる。そのうちわかるじゃろ。」
と、カルデラさんは何だか楽しそうに笑っている。
つまり……ガソリンとかガスみたいなものか。
へぇ。面白い。
何か色々ありそう。
私は自然と興味が湧いた。
この世界の“数ある不思議”を解明していくのも、面白そうだと、思ったのだ。
普段……何気なく使用しているものが、この世界では、全く別のもので、でも同じ様なものだったりする。
そう。暗闇を照らすランプは、私の世界でもある。電球だけど。それを、この不思議な”石“が補う。なんだか……楽しくなってきた。
「カルデラさん。それってやっぱり色々あるの? 例えば……水とか。」
と、私は聞いてみた。
「水は“自然”のものじゃよ。あと、大地や空気。森もそうだ。自然だ。ああ。水力で船を動かす事には使われるな。」
と、カルデラさんは少し不思議そうな顔をしながらそう言った。
「なるほどな。“エネルギー資源”ってことか。」
と、飛翠はそう言った。
あ。わかりやすい。
私は納得した。
「エネルギー資源? まあ。“源”と言う意味ではそうかもしれんな。」
何だかカルデラさんの言う“エネルギー”と、飛翠の言う“エネルギー”は、ちょっと食い違ってる気もしたけど、まあいいか。
うん。言葉は難しい。
「あ。カルデラさん。魔石って……持つと誰でも魔法が使えるものなの?」
と、私はそう言った。
現に、私と飛翠は同じものを、持っている。
「魔法と魔石については……ワシよりも、ゼクセン様の方が詳しいんだが……。ワシは使わんからな。」
洞窟を歩きながらカルデラさんは、酷く困っている様な声をだした。
前を向いていて顔は見えないけど、声でもそれはわかった。
「え? 使わない?」
と、私が聞くと
「王国には“専属”と言うのがいてな。魔道士達の魔法の方が、強いしな。魔石の魔法とは、簡単に言うと“誰でも使える初歩的魔法”だそうだ。」
なに? その“お試し”みたいなノリ……。
「それに……ワシは苦手でな。」
と、カルデラさんの声は少し小さくなった。
顔は見えないけど、たぶん情けない顔してるんだろうな。
おほん。
カルデラさんは一つ咳払いをした。
意を決した様に話をしてくれたのだ。
「魔石の魔法は、“四大元素”と呼ばれるモノしか使えんのだ。“火、氷、風、雷”。その他は“魔道士”や“魔法使い”の特権でな。う〜む。なんと説明してやったらよいものか。」
本当に苦手なんだな。
カルデラさんは、首を傾げている。
オレンジっぼいその肩までの髪が、揺れた。
「おお。そうだ。“下級魔法”じゃった。そうだ。そうだ。」
うんうん。と、頷いているのがわかる。
「“単体魔法”と呼ばれるもので、敵に対して単体攻撃と、全体攻撃がある。下級魔法は単体のみしか使えん。威力もある程度までは範囲があるが、それ以上の強さはない。」
と、カルデラさんは少し坂になっている洞窟の道を歩きながら、話をしてくれた。
「つまり、“進化”と言う過程はないのだ。それに武器に装着出来るのも“魔石”三つのみ。魔法使いや魔道士は、関係ない。」
と、そう言ったのだ。
「それなら魔石って余り意味がないの?」
と、私はそう聞いた。
「いやいや。斬撃などが効かん敵もおる。そんな時に利用するのが、“魔石と魔力”の混合技だ。これは“戦士と魔法使い”、もしくは魔道士がおらんと使えん。」
カルデラさんは、ちらっと後ろを見てくれた。やっぱり優しい眼をしている。
「混合技?」
飛翠は本当に興味があるみたいだ。
真剣にそう聞いてる。
カルデラさんのライトブラウンの瞳が、煌めく。やっぱりオレンジっぽくも見える。
「“魔法剣”だ。」
と、そう言ったのだ。
「「魔法剣??」」
同時だった。
私と飛翠の声は。
「魔石を装着した武器を持つ戦士と、魔法使いの魔力が無いと成立しない“力”だ。戦士の武器に魔力を備えさせる。王都には“魔法剣士”と言う専属部隊もいる程だ。」
カルデラさんは、私達二人を見ながらそう教えてくれた。
「なんかカッコいいかも……」
私はとても惹かれてしまった。
魔法と剣のコラボか。
なんかワクワクしてきました。
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