元魔王の人間無双
事情
オレは血だらけのリルル・マレイラを抱き抱えて軍の本部にやってきていた。
医務室で気絶して横たわっているリルル。その傍にオレともう一人、厳つい顔をした男がいる。
「すまない、リルルを運んできてくれて。私はリルルの同僚のジェラードという者だ。君の話は聞いている、ガゼルくん」
この人が、リルルを抱き抱えたオレを軍の中へと案内してくれた人だ。服装から王国宮廷魔法騎士団に所属していることはわかっていたが、同僚ということはそこそこ交流もありそうだ。
信用できると判断し、オレは知っていることを話す。
「学校からの帰り道に路地で倒れているの見つけて、それでここに連れてきたんです」
すると、ジェラードは眉間にしわを寄せ考え込む。
「そうか……。また無茶なことをしたのか」
なにか知っているようなので興味本位で聞いてみる。
「何か知っているんですか?」
「………私からは話せん。知りたかったらリルルに直接聞きたまえ」
そう言うと、ジェラードは口を閉ざしてしまった。
オレもそれ以上詮索するのはやめておいた。
それなりの事情があるのだろう。人には知られたくないことだってある。
オレはリルルが目を覚ますのを待つことにした。
それから一時間程すると、リルルが目を覚ました。上体を起こしてベットの上に座る。
「ここは………軍の医務室?」
周りを見渡しながら、リルルがポツリと呟く。
「元気そうでよかったです」
声をかけるとオレの方を向き直る。
「ガゼルくん……。そっか、君がここまで運んでくれたんだね。ありがとう」
状況を把握したようで、オレに頭を下げてきた。
「いえ、構いませんけど。それよりなんであんなところに血だらけで倒れていたんですか?」
「それは………」
リルルは聞かれたくないことだったようで口ごもる。
「よければ教えてください。力になりたいんです」
「………君は面倒ごとはしないんじゃなかったけ?」
「自分から面倒なことをするつもりはありませんが、巻き込まれたら話は別です。オレにできることだったら力になりますよ」
あくまで出来るだけだが、人間を見捨てるつもりはオレには無かった。
「………だったら聞いてくれるかな。私の妹の話を」
リルルは固く閉ざしていた口をゆっくり動かし始めた。
医務室で気絶して横たわっているリルル。その傍にオレともう一人、厳つい顔をした男がいる。
「すまない、リルルを運んできてくれて。私はリルルの同僚のジェラードという者だ。君の話は聞いている、ガゼルくん」
この人が、リルルを抱き抱えたオレを軍の中へと案内してくれた人だ。服装から王国宮廷魔法騎士団に所属していることはわかっていたが、同僚ということはそこそこ交流もありそうだ。
信用できると判断し、オレは知っていることを話す。
「学校からの帰り道に路地で倒れているの見つけて、それでここに連れてきたんです」
すると、ジェラードは眉間にしわを寄せ考え込む。
「そうか……。また無茶なことをしたのか」
なにか知っているようなので興味本位で聞いてみる。
「何か知っているんですか?」
「………私からは話せん。知りたかったらリルルに直接聞きたまえ」
そう言うと、ジェラードは口を閉ざしてしまった。
オレもそれ以上詮索するのはやめておいた。
それなりの事情があるのだろう。人には知られたくないことだってある。
オレはリルルが目を覚ますのを待つことにした。
それから一時間程すると、リルルが目を覚ました。上体を起こしてベットの上に座る。
「ここは………軍の医務室?」
周りを見渡しながら、リルルがポツリと呟く。
「元気そうでよかったです」
声をかけるとオレの方を向き直る。
「ガゼルくん……。そっか、君がここまで運んでくれたんだね。ありがとう」
状況を把握したようで、オレに頭を下げてきた。
「いえ、構いませんけど。それよりなんであんなところに血だらけで倒れていたんですか?」
「それは………」
リルルは聞かれたくないことだったようで口ごもる。
「よければ教えてください。力になりたいんです」
「………君は面倒ごとはしないんじゃなかったけ?」
「自分から面倒なことをするつもりはありませんが、巻き込まれたら話は別です。オレにできることだったら力になりますよ」
あくまで出来るだけだが、人間を見捨てるつもりはオレには無かった。
「………だったら聞いてくれるかな。私の妹の話を」
リルルは固く閉ざしていた口をゆっくり動かし始めた。
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