元魔王の人間無双

月田優魔

学園

それから数日後、合格通知が届きオレは国立魔法学園の一年生になった。
今日はその初めての登校日である。
日差しが眩しく太陽に手をかざす。
街は賑わっており、活気にあふれていた。
入学日和だな…。
オレはそう思うと学園に向かって歩き出す。

(A組…ここだな)
オレは案内図を見ながらA組にたどり着いた。
自分の席に座ると周りからの視線を感じる。

「おい、あいつらしいぞ」

「マジかよ、あんな奴が…」

そんな声が聞こえてくる。
オレ、何か変なことでもしたか?
顔も洗ったし、髪もといた、トイレもバッチリ快便だったし、変なところはないはずだが…?

「すごかったんだってねガゼル」

急に聞いたことのある声に名前を呼ばれ、思わず振り向くと、クシェルだった。

「クシェルじゃないか!合格できたんだな」

「うん、ガゼルこそすごかったって噂になってるよ」

ん?オレ何かすごいことしたかなぁ?

「魔法素質で平均100のところを4000を叩き出したり、筆記試験で初の満点だったり、試験官を倒したり、すごい一年生がいるって」

あれがそんなにすごいことなのか?
全部大したことはなかったが、人間のの魔法騎士見習いとしては、少しやりすぎたか。
手を抜いた方が良かったかな…。

「いい気にならないことね」

クシェルと話をしていると、急に赤髪の女の子が割って入ってきた。

「学年首席だったからって調子に乗らないことね。必ず抜いてやるんだから!」

「え〜っと、あんたは?」

知らない人にいきなり声をかけられて、少し戸惑う。

「あんた呼びとは失礼ね、アタシはオリビア・ハーマニー。誇り高きハーマニー家の長女で、アンタに次ぐ学年次席よ」

お前もオレのことあんたって呼んでるじゃないか…。

「オレはガゼル・レイヴァルド。これからよろしくオリビア」

「よろしくガゼル、精々アタシに抜かれないように気をつけることね」

そう言うとオリビアは自分の席に座った。
…オリビアの視線を感じる。
よほどオレが気に食わないのか、ずっと睨んでくる。

「ガゼルも大変そうだね」

まったくだ。
クシェルにそう言われて、心底賛同した。

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