頭脳派ゲーム世界の黒幕

月田優魔

他クラス

オレと白銀は隣の3組にやってきた。
廊下から教室の中を覗き込む。

「あれ?夜神くん。3組に何か用?」

教室の奥からやってきたのは昨日図書室で会った天羽だ。

「いや、ちょっとな。教室の中を見させてもらってたんだ」

「偵察に来たってことだね。でも特に変わったものはないと思うよ」

確かに教室の中は4組と全く一緒。構造も椅子も机も、雰囲気まで一緒だ。

「天羽。昨日はありがとな。オレたちを助けてくれて」」

「全然いいよ。その隣の人は?」

「私は白銀織姫。私たちは今回の特別ゲームについて意見交換をしたくてここに来たんだよ」

白銀は偵察だけではなく、特別ゲームのことも話したかったようだ。

「そっか。僕たちも初めてのことで戸惑ってたんだ。意見交換できるならありがたいよ」

そう言って天羽はオレたちを自分のクラスに招き入れてくれた。

「僕たちの意見だけど、今回の特別ゲームはペアっていう制度が重要だと思うんだ」

「私もそう思ってた。ランクの高い人と低い人を上手くペアにできればいいと思うの」

「けど、それにはみんなの協力が必要だよ。ランクの高い人は当然ランクの高い人と組んで高得点を狙いたいはず」

自分のために得点を上げて商品のポイントを貰うか、みんなのために退学者を出さないようにするか。この二択。
後者をするならクラスメイトの協力は必須だ。

「そうだね。上手く協力をお願いできるかが鍵になると思う。これ以上は、お互いのクラスで考えるべきだね」

白銀が話題を終わらせる。これ以上敵に塩を送るべきではないと思ったからだろう。

「それもそうだね。来てくれてありがとう」

天羽に見送られて教室を出ようとする。
しかし、

「オイ。何で俺のクラスに敵が入り込んでんだ?」

出口を海堂が塞いでいた。
鋭い眼がオレたちを睨みつける。

「僕が招いたんだよ」

海堂の視線が天羽に向けられる。

「またお前か、天羽。いい加減にしろよ」

「情報を共有してたんだよ。3組のためになると思ったからね」

「ふざけんな。俺がいる以上話し合いなんて不要だ。こんな生温いゲームじゃ暇つぶしにもなりゃしねぇ」

「本当にそうかな?」

天羽と海堂が話してるところに白銀が割って入る。

「君はEランクだよね。ランクが低いとペアを組むのは難しい。残りものの低い人と組むことになるんじゃない?」

その台詞を海堂は鼻で笑う。

「ハッ。誰だか知らねぇが頭が悪いみてぇだな。このクラスは俺の支配下だ。ペアぐらい簡単に決めれるんだよ。軽く脅してやれば一発さ」

不良の海堂だからできる強引な荒技。
脅して無理やり組ませることも視野に入れている。

「そんなことすれば問題になるよ」

「問題になんてなりゃしねぇよ。相手が勝手に俺にビビっただけだからな」

「そっか。面白いことを考えてるみたいだね」

「さっきから偉そうに誰だテメェ。どこの組のもんだ?」

「1年4組だよ」

2人が視線を交錯させ火花を散らす。
辺りは、いや教室中は緊迫にも似た空気に包まれている。

「それじゃあオレたちは教室に戻るよ」

オレは撤退を切り出した。
ここにこれ以上長居するのは得策とはいえない。
収穫は十分あっからな。

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