頭脳派ゲーム世界の黒幕

月田優魔

特別ゲーム

「それでは、今年度最初の特別ゲームを説明する」

放課後になった直後、榎本先生が教壇でそう口にする。

「特別ゲームとはなんですか?」

当然意味のわからない生徒からの質問が飛ぶ。隣の席の白銀だ。

「それを今から説明する。最後まで黙って聞け」

一呼吸置いた後、榎本先生が言葉を続ける。

「今年度最初の特別ゲーム。その名もーーーーーテストゲーム」

ゲームがテストという台詞に全員疑問を浮かべたことだろう。しかし、大事なことなので黙って聞いている。

「いいか。これから二人一組のペアになってテストの点数で競い合ってもらう。内容は中学校の復習レベル。100点満点のテスト5教科で500点満点、二人で合計1000点満点。テストは今日から5日後にする。そして、二人合わせて499点以下だった場合はランクが低い方が退学となる」

「た、退学!?先生、そりゃないっすよ!!」

クラスメイトの男子が動揺して慌てふためいている。
ゲームと言いながらも完全に学力テスト。それに、点数が低かったら退学。慌てるのも無理もない状況だ。誰だって高校中退にはなりたくない。そんな中でも隣の白銀は落ち着いた様子で質問する。

「特別ゲームをするのは全学年ですか?」

「いや、1年生だけだ。この特別ゲームはあくまで中学校の復習をすることだからな。とりあえずお前たちの学力を測っておきたい。期間内にペアが決まらなかったら学校側がランダムで決定する。それと、成績上位者には賞品がある。これを見ろ」

そう言って、榎本先生は黒板に大きな紙を貼る。

1位〜10位      5000ポイント
11位〜50位    500ポイント
51位〜100位    50ポイント
101位以下        5ポイント

「すげぇ!!5000ポイントも貰えんのかよ!」

「そうだ高橋。お前も勉強すれば1位になれるかもしれんぞ」

「よっしゃー!!頑張るぜ!」

高橋と呼ばれた生徒がガッツポーズしている。ポイントがもらえるのが余程嬉しいようだ。

「それともう一つ。今回の特別ゲームはテストということもあり完全実力型になっている。そこでゲーム性を加えるために各クラスから一人ずつ選び、その者を優待者とする。優待者は学校側が選抜し、今回のテストで無条件で満点扱いになる。例え0点を取ったとしても500点扱いになって合格だ」

クラス中に動揺が走る。
それはズルいなんてもんじゃない。
最初から勝つことが決まった出来レースに等しい。
優待者に選ばれれば、今回の特別ゲームはかなり有利になるだろう。

「優待者になれなかった者も、優待者が誰か当てることで、優待者と同じ待遇を受けることができる。つまりその者も無条件満点だ」

それなら、優待者が周りに自分が優待者であることを教えれば全員満点だ。
そうすれば、この特別ゲーム自体の意味がなくなるが…………。

「優待者が自分が優待者であることを周りに教えてもいいんですか?」

白銀がそのことに気づいたようで榎本に訊ねる。

「それは構わない。しかし優待者は誰か一人に当てられるごとにペナルティとして、マイナス1000ポイントとなる。優待者を当てようとして外した場合もペナルティでマイナス1000ポイントだ。当てる時は慎重にするように。尚、優待者当て、通称密告という制度は学校に電話して優待者の名前を言うことで密告することができる」

ペナルティがあるなら周りに教えることはほぼ不可能と見るべきだろう。

「優待者であるかどうかは学校からメールによって知らされる。全員にメールが届き、優待者だけ文章が違うようになっている。メールは見た後自動的に削除されるので、メールを見せ合うことは不可能だ」

優待者の秘密は完全に本人にしか分からないということか。

「全員気を引き締めて特別ゲームに挑むように」

オレも気を引き締めないといけないかもしれない。
退学だけは避けたいところだからな。

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