頭脳派ゲーム世界の黒幕

月田優魔

白銀織姫

「君、私の雑用係になってよ」

教室に戻ってきて自分の席に座った途端、隣の白銀がそんなことを言ってきた。

「脈絡がなさすぎるだろ。いきなりなんだ?」

「だって君、やる気なさそうで使いやすそうなんだもん」

「他にもっと優秀なやつがいるだろ。そっちに当たってくれ」

オレよりもっと重宝する人はたくさんいると思う。

「君、わかってないね。優秀な人間は利害が一致しないと動いてくれないの。それぞれプライドがあってランクやポイントにこだわってるからね」

「オレもプライドありますけど!?」

「いやいや。君のそれは無いも同然だよ」

こいつはオレの何を知っているというんだか………。
諦めてもらう為には、オレもランクにこだわってるとアピールした方がいいな。

「オレもランク上げたいなー」

「何その棒読み。嘘バレバレだよ」

失敗した。心にもないことだから当然か。

「なんでオレなんだ?オレはFランクの雑魚中の雑魚だぞ」

「私が今欲しいのは将棋でいうところの『歩』なの。『金』や『銀』じゃないんだよ」

なるほど。オレは『歩』というわけか……。

「なんにしてもオレは引き受けないぞ。オレは平穏な生活を送りたいんだ。メリットがない」

こき使われるなんてごめんだ。

「………じゃあ、メリットがあれば引き受けてくれるの?」

少し驚いた様子でこちらに訊ねる白銀。

「………話ぐらいは聞いてやる」

「問答無用で断られると思ってた。メリットか………」

白銀はう〜んと考える。どんなメリットを提示してくるのか………。

「じゃあこんなのはどう?私に協力してくれたら君の平穏な生活を守ってあげる。破格の待遇でしょ?」

「普通にしてたら守れるわ」

「そうかな?こんな島だから何があってもおかしくないよ。君に何かあった時に私がバックアップしてあげる」

確かに悪くはない取引だ。
この先どんなことがあるかわからない。
面倒ごとを全部白銀に押し付けることができるかもしれない。

「それにこれから戦っていく上で個人ではいつか限界がくる。そんな時仲間がいれば有利だと思うな。組んでて損は無いと思うよ」

白銀の言うことも一理あるどころかもっともな話だ。
手を組んでおくに越したことはないのかもしれない。

「………わかった。組めばいいんだろ。組めば」

「契約成立だね。よろしく、雑用」

「雑用って呼ぶな」

そんなニックネームでは呼ばれたくない。

「それで、雑用って何すればいいんだ?」

「私の荷物持ったり、私の宿題やったり、私の掃除当番代わったり、かな」

「死んでもごめんだ!!」

「半分冗談だって。たまに頼みごと聞いてくれるだけでいいよ」

「全部冗談だと言ってくれ………」

でもまあ、頼みごとを聞くぐらいなら………。

「分かった。大人しく従えばいいんだろ」

「分かればよろしい、雑用」

「……雑用って呼ぶなって」

実に上から目線の答えだった。
こっちは雑用だから当然か。
今日からオレは隣の白銀の雑用係になった。

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