太った女子高生が異世界で痩せた話
チョ、マテヨ
突如異世界の森に来て、痩せたはずだったが、街に出てみるとまた太っていたことが判明したデブ子。
突然理想の体型を手に入れ、今までの人生を捨ててこの世界で住むことまで決意したのに、元の木阿弥だ。
「何でなの……どういうこと……」
人気のない裏通りで、デブ子は絶望し、膝を抱えて座りこんでいた。なぜ私はここにいるのか。なぜ私はこんなに空腹なのか。なぜ私は命を狙われているのか。なぜ私は太ったり痩せたりしているのか。
「もう訳がわからないよ……」
疲れて歩く元気もなく、何が何だかわからない。デブ子は空腹を満たす気力もなく、そこに座っていた。
そんな時だった。
「やーいやーい!ここに規格外のデブがいるぞ!!」
枝や石を持った悪ガキたちがデブ子を見つけて走ってきた。
「このデブ、泣いてるぜ。石でもぶつけちゃおうぜ!!」
何でひどいことを言う子供たちなのだ。弱ってる人に追い討ちをかけ、何が楽しいのか。そもそも、周りから見ても私はデブなのか?今鏡に映っていた姿が真実なのか?デブはいじめられてもいいのか?もう最悪……
ネガティヴになって怒る気力もないデブ子は、立ち上がる力もなかった。
「よーし、ぶつけてやる!!」
子供の1人が少し離れたところからデブ子に石を投げつけた。
「えっ、本当に投げるの!?女に!?」
思わずデブ子は顔を上げてしまい、飛んでくる石を直視した。
しかしーーーーー!
「きゃあっ!怖い!」
石が膝を抱えている腕辺りに来て、思わずデブ子が悲鳴を上げた時、腕から3センチくらい離れたところで石が跳ね返り、その場に落ちたのだ。
まるでデブ子の体をバリアが包んでいるように、その石はデブ子に当たる前に下に落ちたのだ。
「あはははっ!やーいデブに当たったー!肉で跳ね返してる!肉厚だから痛くないだろう!」
「あははは!やめろよトム!もう行こうぜ!」
子供たちが戻っていくのを横目に、見ながらデブ子は放心状態になっていた。
今の現象は何?自分に当たりそうで当たっていなかったぞ。石が当たる直前で落ちた?
でも、子供たちは言っていた。
「肉で跳ね返してる」
と。当たっていなかったら、子供たちはもう一度投げて来ただろうに、投げてこなかった。まるで既に当たったかのように満足して帰っていった。どういうこと?
デブ子は非現実的な仮説を立てた。そして立ちあがり、石を拾い、試しに自分のお腹を目掛けて軽く投げてみた。
「えぃっ!」
本来なら、石はデブ子のお腹に当たりそのまま落ちるはずだが、石はやはりお腹3センチくらいのところでわずかに跳ね返り、そのまま落ちていった。
デブ子は頷き、仮説が現実だと確信した。デブ子は今、周りからはデブに見えている。悲しいけどこれは鏡で見たようにそうなんだと思う。そして余分な肉が、バリアになって外敵をはじいてくれているのではないか。だから石が3cmあたりのところで跳ね返ったのではないか。
しかし、自分では腕も足も腰も痩せているように見える。昨日湖でも痩せた姿を見ている。もしかしたら、周りから太って見えているのではなく自分だけに痩せて見えるのではないか。あの湖は、何か願望を写す不思議な湖なのではないかーーー。
さらにデブ子はハッとした。
「ちょ、待てよ……」
昨日、手裏剣、弓矢、ブーメランが飛んできて危ない目にあった。それはそれぞれ、自分の目の前スレスレに飛んできた。自分が痩せているから怪我しなかったものの、もし自分が太っている状態だったら、実際に肉に刺さっていたのではないか。何者かが、本当に自分を殺そうとしているということか。それに気付いてデブ子は背筋が凍った。
手紙には「俺に謝れ」と書いてあった。謝らないと、このまま恐ろしい目に遭い続けるかもしれない。今は自分自身は痩せているため、周りから見た時の厚みのギャップがバリアになってるかもしれないけど、いつデブに戻るかわからない。デブに戻った時、その時は自分の本当の終わりかもしれない。その時がいつかわからないけど、その時までには「俺」を見つけ出し、謝りに行かなきゃいけないーーーー。でも、どこに行けば?このあてのない世界で??
表通りから聞こえる人々の声を聴きながら、デブ子は立ち竦むのだった。
突然理想の体型を手に入れ、今までの人生を捨ててこの世界で住むことまで決意したのに、元の木阿弥だ。
「何でなの……どういうこと……」
人気のない裏通りで、デブ子は絶望し、膝を抱えて座りこんでいた。なぜ私はここにいるのか。なぜ私はこんなに空腹なのか。なぜ私は命を狙われているのか。なぜ私は太ったり痩せたりしているのか。
「もう訳がわからないよ……」
疲れて歩く元気もなく、何が何だかわからない。デブ子は空腹を満たす気力もなく、そこに座っていた。
そんな時だった。
「やーいやーい!ここに規格外のデブがいるぞ!!」
枝や石を持った悪ガキたちがデブ子を見つけて走ってきた。
「このデブ、泣いてるぜ。石でもぶつけちゃおうぜ!!」
何でひどいことを言う子供たちなのだ。弱ってる人に追い討ちをかけ、何が楽しいのか。そもそも、周りから見ても私はデブなのか?今鏡に映っていた姿が真実なのか?デブはいじめられてもいいのか?もう最悪……
ネガティヴになって怒る気力もないデブ子は、立ち上がる力もなかった。
「よーし、ぶつけてやる!!」
子供の1人が少し離れたところからデブ子に石を投げつけた。
「えっ、本当に投げるの!?女に!?」
思わずデブ子は顔を上げてしまい、飛んでくる石を直視した。
しかしーーーーー!
「きゃあっ!怖い!」
石が膝を抱えている腕辺りに来て、思わずデブ子が悲鳴を上げた時、腕から3センチくらい離れたところで石が跳ね返り、その場に落ちたのだ。
まるでデブ子の体をバリアが包んでいるように、その石はデブ子に当たる前に下に落ちたのだ。
「あはははっ!やーいデブに当たったー!肉で跳ね返してる!肉厚だから痛くないだろう!」
「あははは!やめろよトム!もう行こうぜ!」
子供たちが戻っていくのを横目に、見ながらデブ子は放心状態になっていた。
今の現象は何?自分に当たりそうで当たっていなかったぞ。石が当たる直前で落ちた?
でも、子供たちは言っていた。
「肉で跳ね返してる」
と。当たっていなかったら、子供たちはもう一度投げて来ただろうに、投げてこなかった。まるで既に当たったかのように満足して帰っていった。どういうこと?
デブ子は非現実的な仮説を立てた。そして立ちあがり、石を拾い、試しに自分のお腹を目掛けて軽く投げてみた。
「えぃっ!」
本来なら、石はデブ子のお腹に当たりそのまま落ちるはずだが、石はやはりお腹3センチくらいのところでわずかに跳ね返り、そのまま落ちていった。
デブ子は頷き、仮説が現実だと確信した。デブ子は今、周りからはデブに見えている。悲しいけどこれは鏡で見たようにそうなんだと思う。そして余分な肉が、バリアになって外敵をはじいてくれているのではないか。だから石が3cmあたりのところで跳ね返ったのではないか。
しかし、自分では腕も足も腰も痩せているように見える。昨日湖でも痩せた姿を見ている。もしかしたら、周りから太って見えているのではなく自分だけに痩せて見えるのではないか。あの湖は、何か願望を写す不思議な湖なのではないかーーー。
さらにデブ子はハッとした。
「ちょ、待てよ……」
昨日、手裏剣、弓矢、ブーメランが飛んできて危ない目にあった。それはそれぞれ、自分の目の前スレスレに飛んできた。自分が痩せているから怪我しなかったものの、もし自分が太っている状態だったら、実際に肉に刺さっていたのではないか。何者かが、本当に自分を殺そうとしているということか。それに気付いてデブ子は背筋が凍った。
手紙には「俺に謝れ」と書いてあった。謝らないと、このまま恐ろしい目に遭い続けるかもしれない。今は自分自身は痩せているため、周りから見た時の厚みのギャップがバリアになってるかもしれないけど、いつデブに戻るかわからない。デブに戻った時、その時は自分の本当の終わりかもしれない。その時がいつかわからないけど、その時までには「俺」を見つけ出し、謝りに行かなきゃいけないーーーー。でも、どこに行けば?このあてのない世界で??
表通りから聞こえる人々の声を聴きながら、デブ子は立ち竦むのだった。
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