これがあたしの王道ファンタジー! 〜愛と勇気と装備変更と〜

プリティナスコ

前略、魔術師と呪術師と

「やったぁーー!!」


 かなり際どいジャンプだったけど見事に成功。これもみんなで力を合わせた結果だね!


 石像の腕は切り離され、バランスを崩す。


「残りの接合部も刈り取る!」


 己の身体を支えきれず倒れ込む石像の弱点は、あたしの目がなくてもハッキリとわかった。


 あたし達は思い思いに手足を刈る。さんざんやってくれた落とし前をつける!

 すぐさま石像は元の岩の集まりに戻った。


 たしかに倒した、でも問題は


「この石像は何だったのか、ですね。」


 そうだ、そして、


「元からなのか、人によるものか、だね。」


 もし、元からいたのなら、入口を塞いだりするのはおかしい。誰かがこの遺跡の為に、と考えた方がしっくりとくる。


「多分、まだ近くにいるよね。探そう。」


 あたし達もボロボロだけど、逃せば次の被害がでる。あと少し頑張るのは、あたしの手が届く仕事だ。


「んん?」


 ゆっくりと孤高なる暗黒騎士が近づいてくる。あたしの近くで、静かに大剣を振り上げてーーーまさか!


「ぬんっ!」


 立ちすくむあたしの隣にあった、石像の胴体。ひときわ大きな岩を打ち砕いた。

 こ、怖かった……


「ぐぇっ!」


 カエルの潰れたような声と一緒に、岩の中から男が現れた。まぁ、カエル潰したことないけど。


「くそっ!せっかく……お前、ラルムか?」


 石像からでてきた男は、悪態をつきながらラルム君をみた。もしかして知り合い?


「ぐっ……」


 まだ話そうとしていた男を、素早く近づいたラルム君が杖で気絶させた。らしくない短絡的な行動だった。


「知り合い……だったの?」


 リッカからの質問。だとしたらやっぱり疑問のことる動きだった。


 一瞬、焦ったような表情を浮かべたけど、すぐに観念したようにラルム君は語りだす。


「彼は……同じ学園の先輩です。ですが呪術に手を染め、追放されたのです。」


 曰く、魔術と呪術はまるで違うものらしい、人を貶めるため、傷つくけるため、それが呪術。


「なぜ彼がここにいるかはわかりませんが、あとは『法の番人』に任せましょう。」


 『法の番人』……たしかネオスティアにおける警察みたいなギルドだっけかな。……たしか裁判官とかじゃなかったっけ?

 まぁでもひとまず。


「あたし達の勝ちだ!」


「「「イエーイ」」」


 パーティー4人揃ってのイエーイ。ありきたりなセリフだけど、この勝利はみんなの勝利だった。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品