機械と花 ロボットだろうが感情はあるんだから恋愛くらいしてもいいだろ?
盲目の少女と戦うロボット 1
血と火薬の臭いが立ち込める街中を俺は走っていた。銃弾が雨のように降り注ぐ中、橘博士の言っていた言葉が頭をよぎった。
「今日は夜から雨降るらしいよ?錆びないように気を付けてね」
と笑いながら折りたたみ傘を差しだしてきた彼に
「その気遣いを俺のボディを作る時にして欲しかったものだ」
と文句を言いながら受け取り、戦場へと向かった。
夜までに帰らねばというくだらない考えを消し去るように弾丸を土嚢袋にぶち込む。このままでは埒が明かないと思った俺は、静かに手榴弾のピン外し、投げ込んだ。
大きな爆発音と微かな土の香りを感じた後、やかましかった銃声が止んだ。どうやら一網打尽に出来たらしい。身を隠していた壁から出ようとしたとき、殺気に気が付き、スモークグレネードを投げた。煙が相手の視界奪っていく中、俺は殺気の方向へ愛銃をぶっ放した。すると、耳に残る人間の悲鳴と何度かいでも慣れない血の臭いがした。
煙の中を進行しながら暗視ゴーグルをつけると、全滅した敵の小隊があった。それを横目に目的である物資を探した。探索を続けていると遠くに走る輸送用トラックを発見した。護衛が命に代えて稼いでくれた距離をあっけなく詰め、物資を確保した。
「ふぅ…これなら雨が降る前に帰れそうだ」
ホッとして帰還しようとしたその時、軍から連絡があった。どうやらどこかの貴族の豪邸が襲撃されたらしい。
俺は一向に減らないミッションに辟易しながら、首を縦に振った。正直このご時世で裕福層が襲われることは多々ある、それに付き合うくらいなら敵国の基地を潰したほうが得策だろうと内心思いながら、俺は折りたたみ傘の持たせてくれた橘博士に少し感謝しながら次なる目的地へと向かった。
目的地へと近づくに連れて、段々とモノが焼けた時に出るあの鼻につく臭いが強まっていった。
俺は何故か分からないがこの臭いをかぐと、言い知れぬ恐怖を感じるのだ。機械である俺が何を恐れる必要があるのかと自問し、不安をかき消そうとした。
その時、ほほに当たる冷たい感触があった。雨が降りだしてきたのだ。
俺はそっと用意された傘を開き、目的地へと向かった。これで少しはこの臭いも収まってくれればよいのだが…
目的地へと着くと、思った通りの惨状が広がっていた。どうやら護衛を雇っていたらしい。あちらこちらで戦闘の痕跡がある。しかし、その痕跡と反比例するがごとく、その場所は静まり返っていた。
俺は、生存者を捜索しつつ敵兵を探した。だが、生存者どころか敵すらいなかった。
手遅れだったと本部に連絡を入れようとしたその時、焼け焦げ壁によりかかる本棚の隙間に微かに銀色に光るものを見た。それに近づき壁を確認すると、簡易的なシェルターがあった。
扉を破壊し、奥に進むと、そこには少女が怯えた表情で佇んでいた。綺麗になびく髪と雪のような白い肌、華奢という言葉がこれほどまでに似あった人物はいないだろう。俺は、形容しがたいこの昂る気持ちを抑えていると
「こ…来ないで…」
怯え切ったその声で我に返り、こう返した
「俺は、貴方を保護するために軍から派遣された者だ、貴方をこれから安全な場所まで護衛する」
すると、彼女は
「信じていいの…?」
その声には、少し安堵の感情が感じられた。
「安心してくれ、必ず守り抜く」
俺はそう言うと、彼女に近づき、外までエスコートしようと手を差し伸べた。しかし、彼女は一向に手を取らない。もしかして、嫌われてしまったのか?そう危惧していると、何かを感じたのか
「私…目が見えなくて…」
彼女がそう言うと、俺はホッとし、手を取った。
これが俺の人生を大きく動かす出会いということをまだ誰も知らなかった。
「今日は夜から雨降るらしいよ?錆びないように気を付けてね」
と笑いながら折りたたみ傘を差しだしてきた彼に
「その気遣いを俺のボディを作る時にして欲しかったものだ」
と文句を言いながら受け取り、戦場へと向かった。
夜までに帰らねばというくだらない考えを消し去るように弾丸を土嚢袋にぶち込む。このままでは埒が明かないと思った俺は、静かに手榴弾のピン外し、投げ込んだ。
大きな爆発音と微かな土の香りを感じた後、やかましかった銃声が止んだ。どうやら一網打尽に出来たらしい。身を隠していた壁から出ようとしたとき、殺気に気が付き、スモークグレネードを投げた。煙が相手の視界奪っていく中、俺は殺気の方向へ愛銃をぶっ放した。すると、耳に残る人間の悲鳴と何度かいでも慣れない血の臭いがした。
煙の中を進行しながら暗視ゴーグルをつけると、全滅した敵の小隊があった。それを横目に目的である物資を探した。探索を続けていると遠くに走る輸送用トラックを発見した。護衛が命に代えて稼いでくれた距離をあっけなく詰め、物資を確保した。
「ふぅ…これなら雨が降る前に帰れそうだ」
ホッとして帰還しようとしたその時、軍から連絡があった。どうやらどこかの貴族の豪邸が襲撃されたらしい。
俺は一向に減らないミッションに辟易しながら、首を縦に振った。正直このご時世で裕福層が襲われることは多々ある、それに付き合うくらいなら敵国の基地を潰したほうが得策だろうと内心思いながら、俺は折りたたみ傘の持たせてくれた橘博士に少し感謝しながら次なる目的地へと向かった。
目的地へと近づくに連れて、段々とモノが焼けた時に出るあの鼻につく臭いが強まっていった。
俺は何故か分からないがこの臭いをかぐと、言い知れぬ恐怖を感じるのだ。機械である俺が何を恐れる必要があるのかと自問し、不安をかき消そうとした。
その時、ほほに当たる冷たい感触があった。雨が降りだしてきたのだ。
俺はそっと用意された傘を開き、目的地へと向かった。これで少しはこの臭いも収まってくれればよいのだが…
目的地へと着くと、思った通りの惨状が広がっていた。どうやら護衛を雇っていたらしい。あちらこちらで戦闘の痕跡がある。しかし、その痕跡と反比例するがごとく、その場所は静まり返っていた。
俺は、生存者を捜索しつつ敵兵を探した。だが、生存者どころか敵すらいなかった。
手遅れだったと本部に連絡を入れようとしたその時、焼け焦げ壁によりかかる本棚の隙間に微かに銀色に光るものを見た。それに近づき壁を確認すると、簡易的なシェルターがあった。
扉を破壊し、奥に進むと、そこには少女が怯えた表情で佇んでいた。綺麗になびく髪と雪のような白い肌、華奢という言葉がこれほどまでに似あった人物はいないだろう。俺は、形容しがたいこの昂る気持ちを抑えていると
「こ…来ないで…」
怯え切ったその声で我に返り、こう返した
「俺は、貴方を保護するために軍から派遣された者だ、貴方をこれから安全な場所まで護衛する」
すると、彼女は
「信じていいの…?」
その声には、少し安堵の感情が感じられた。
「安心してくれ、必ず守り抜く」
俺はそう言うと、彼女に近づき、外までエスコートしようと手を差し伸べた。しかし、彼女は一向に手を取らない。もしかして、嫌われてしまったのか?そう危惧していると、何かを感じたのか
「私…目が見えなくて…」
彼女がそう言うと、俺はホッとし、手を取った。
これが俺の人生を大きく動かす出会いということをまだ誰も知らなかった。
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