合同籠球マネージャー

さばりん

第47話 濃密な秘密の特訓って…何?

第二クォーターを終了し、ベンチに引き返してくる彼女たちは、生き生きとしていた。
俺は全員とハイタッチを交わしてベンチに座らせ、拍手を送った。

「おっけい、目標の一桁で終えることが出来た。しっかり休憩して、後半第三クォーターからが本当の勝負だからな」
「はい!」

俺が答えると自身に満ち溢れた声が彼女たちから感じ取ることが出来た。

「そういえば静。もう眠気は大丈夫なの?」
「うん、大丈夫!」

黒須が水分を補給しながら静に質問をすると、静は元気にグットサインを出してみせる。

「あら珍しい。午前中に静の眠気がふっとなんて」
「そういえば、第二クォーターの途中で二人ともどこに行ってたのよ…」

倉田が、もの申したそうに聞いてくる。

「あぁ、あれは…その…」

俺がアタフタしながら静に目線を送り、助けを求める。

「なに?」

倉田が少し鋭い視線を俺に向けてくる。

「それは二人だけの秘密のおまじない…特訓である」

静がにこやかに笑顔を見せながら助け舟を出してくれる。

「特訓?」
「それって眠気を覚ますための??」
「そう!」

倉田と黒須の問いに静は満足そうに続ける。

「私と大樹の二人だけの愛がこもったそれはそれは濃密な・・・」
「ま、まあ静の眠気が覚めたならそれでよかったけど…」

黒須はこれ以上言及しないでくれた。

「愛のこもった」
「濃密な秘密の特訓って」
「何?」
「何?」

今度は梨世と復活した本田が問い詰めてくる。

「いやぁ…それは…」

俺がまた静に助け舟を求め目線を送ると、静は一息ついて顔を赤らめながら答えた。

「大樹が、あんなに私のこと求めてくるから…あんなに強く体を触られて弄ばれたら…眠気も吹っ飛ぶ」

一瞬空気が凍り付く。地雷を見事に落としてきやがった…

「大樹…」
「は、はい…」
「私たちが必死に試合している間に、どういうことか説明してくれる…」
「それは…その…えぇっと…」
「どうやら・・・これは言及の必要がありそうね…フッフッフ」

梨世と本田が怪しい笑みを浮かべると同時に俺に飛びついてくる。

「あんた!試合中に静と二人で抜け駆けってどういうこと!?」
「体力の限界ギリギリで死にそうだったんだからね!!」
「わ…悪かったって!!!」

俺は梨世と本田に首を絞められ頭をバシバシと叩かれている。

「はぁ…」

倉田が呆れたようにため息をつく。

「あはは…まあ、いつものチームの雰囲気に戻ってよかったんじゃないかな?」

渡辺が苦笑しながらフォローを入れてくる。

「そんなこと言ってないで!助けてくれ!!!」
「はぁ…最高だった…」

こうしていつものノリを取り戻した川見・城鶴合同チームのハーフタイムなのであった。

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