合同籠球マネージャー

さばりん

第46話 小林の奇跡

第二クォーター残り1分弱、スコア25対36。小林をコートに投入して、相手ボールから試合がスタートする。
相手は美優ちゃんにボール渡した。
その時だった、一人の小さな黒い影が美優ちゃんの手に目掛けて飛びついた!
ピッ!っと笛の音が鳴り響く!

「ファール黒10番」
「えぇ!?」
「ヴぁ…あのバカ…」

俺ははぁとため息をつきながら小林を睨み付ける。

「小林!そんなところにいなくていい!自分の陣地へ戻れ!」

小林は、はーい!と元気よく返事をすると自分のベンチ辺りまで戻って来た。
はぁ…初出場早々1秒でファールするとは…先が思いやられるな…
仕切りなおして再び相手の攻撃がスタートする。
相手はまたも美優ちゃんにボールを渡す。美優ちゃんはボール受けるとすぐに隣の選手にパスを渡す。
ボールを受けた選手をマークしていたのは小林だった。どうやらあのファールを見て穴だと早くも理解したのだろう。相手選手がシュートフェイクを入れると簡単に小林は引っかかってしまった。
それを見てドリブルを仕掛けた相手選手はあっという間に小林を抜き去る。

相手選手はジャンプシュートの体制にはいった。そのシュートに倉田が必死にプレッシャーをかける中、シュートが放たれた。

頼む、外れてくれ。俺は心の中で願った。
ボールはリング一直線へ向かっていく。

ガンッという音が鳴った。どうやら神様が味方してくれたみたいだ。ボールはリングに当たりボールは大きく跳ね上がり、静の元へ落ちていく。
静は相手選手を見事に抑え込みながらジャンプする。

ガシッという静がボールをキャッチする音が響くと同時に「先輩!」という大きな声が聞こえる。すでに小林が走りだしていた。
すかさず、静はボールを右手一本で持ち野球投げの要領で思いっきり投げる。
そのボールを必死に追いかける小林は相手選手全員を置き去りにして、がむしゃらにボールを追いかける。
小林は必死にジャンプして、静が投げたボールを見事にキャッチする。

「いけ!」

俺は無心に叫んでいた。練習を思い出せ小林、お前ならいける!
小林はドリブルを一度ついて丁寧にレイアップシュートを放つ。
ボードに当たったボールはリングの淵に2回のほど当たって何とかゴールへ吸い込まれた。

「よっしゃぁ!」

小林は自分のシュートが決まると一目散にベンチへ走ってきた。

「やったよ!瀬戸!!」
「よし、よくやった!」

俺と小林はハタッチを交わした。

結局このゴールが前半最後の得点となり前半終了。スコア29対36の7点差で前半を終えたのだった。

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