合同籠球マネージャー

さばりん

第38話 不安要素

第一クォーターが終了し、梨世たちがベンチに戻ってきて、2分間のインターバルに入った。
ベンチに戻ってくるなり、俺はまず始めに静に声を掛けた。

「静…お前大丈夫か??どこか調子でも悪いのか??」

俺は絶不調の静を心配そうに見つめた。

「あの…大樹君」

しかし、声を掛けてきたのは黒須だった。

「ん?どうした??」
「大樹君は静が朝苦手なのは知ってるよね?」
「ん、あぁ。まあよく小学校の頃眠そうにしながら登校してたのは覚えてるけど…ってまさか!」

俺は静の方を驚いて向く。

「はい…そのまさかです…」

静は大きな欠伸をしながら眠そうに目をこすっていた。

「静…午前中めっぽう弱くて…授業も4限までずっと寝てる状態で…午前中の試合だといつもこんな感じなんです。」

黒須が申し訳なさそうに真実を俺に伝える。

俺は呆れかえってもう何も言えなかった。
試合前からずっと欠伸をして眠そうにしてるのは、そういうことだったのねと納得した。

はぁっとため息をついて静かに向き直る。

「静~起きてるか~」

俺の問いかけに静はうつろな表情のまま

「うん…」

と答え、また大きな欠伸をする。

「ダメだなこりゃ…」
「大樹がハグしてくれたら一瞬で目が覚める気がする~」
「そんなこと試合中に出来るかよ!いいから、顔洗って、目覚まして来い。」

俺は苦笑を浮かべつつ、怒りを抑えながら指示した。

「ふぁ~い」

大きな欠伸をしながら静は顔を洗うべく、体育館の外へ向かって行った。

「はぁ。全く・・・仕方ねぇな」

俺はベンチメンバーの方を見て、ある少女の前で目をとめた。

「本田スタートから行くぞ!」
「え?えぇぇ!!わ、私??」

どうやら予想外だったらしく目を見開いて驚いている。

「あぁ、最初の5分、いや3分でいい!お前の持ち味を存分に発揮して来い。」

俺がそういうと、本田は武者震いする。

「し、仕方ないわねぇぇぇ…わわわっ私の実力ををををっ思うぞぞっ存分はははっ発揮するとと時が来たようねぇぇぇ」

腕を組みながら顔だけは様になっていたが、完全に緊張してる奴だこれ…
全員が本田の方をじーっと見つめる。

「な、何よ??」

それに気づいた本田が、挙動不審な動きをしながらこちらの様子に気が付く。

「お前ほんとに大丈夫か?」
「あったり前でひょっ!私を誰だと思ってるのひょ!」

なんか語尾おかしくなってるけど…まあいいや。

「相手のセンターは倉田がスライドしてマークについてくれ」
「わかったわ」
「よしっ、行くか…」

俺は大きなため息をつきながら第二クォーターへ選手と送りだす。

心配の本田を見てみると、足ががくがくと震えている。大丈夫かあいつ・・・

合同チームは大きな不安要素を沢山抱えながらも、第二クォーターへと向かっていったのであった。

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