後悔して転生できたから、好きに生きよう的物語

月田優魔

新しいアイドル

入学式が終わり放課後になった。
湊と翔は部活の見学をするらしく、先に行ってしまった。
オレは、妹を迎えに行って帰ることにした。
教室を後にしてくつ箱でくつをはいていると、


「ねえ、そこのアンタ」


いきなり声をかけられた。
周りには誰もいなかったのでオレに話しかけていると分かると、一応返事をしてみた。


「オレ、だよな。なに?」


「教室でアタシを指差してなんか話してたみたいだけど、アンタもアタシのサインが欲しいの?」


誰かと思えば山岸カレン、だったか・・・が声をかけてきた。
その顔はすこし嬉しそうだ。


「いや・・・別にいいけど」


「え・・・?」


さっきの嬉しそうな顔から一変、ショックでぽかーんとした顔になっていた。
何が起きたかわからないといった顔だ。


「・・・サインが、このアタシのサインがいらないってこと・・・」


「悪い、あんまりアイドルのこと知らなくて」


「・・・く、屈辱だわ」


歯を食いしばり、山岸は悔しそうだった。
そして、オレを指さしてこう言った。


「アイドルはアタシにとっての全てなの!さっきだって教室で沢山の人がアタシに群がってたわ!そんな超人気アイドルのアタシのサインがいらないなんて、こんな屈辱は生まれてはじめてよっ!!」


アイドルのとしての自分にかなりのプライドがあるようだ。
山岸は堂々とオレに気持ちをぶつけてきた。


「アンタ、名前は?」


「月田優真だけど」


一呼吸置くと、山岸はオレに宣言してきた。


「月田優真っ!アンタをアタシのとりこにしてやるっ!」


いやいや、サインを受け取らせるだけじゃ無いのかよ・・・。
飛躍しすぎだろ・・・虜って・・・。


「覚えてなさいよっ!」


捨てゼリフをのこすと山岸は去っていった。
まったく、台風みたいな女だったな・・・。
面倒くさそうなことになったが、すこし面白そうだと思っている自分がいた。
こういう波乱の予感がする展開も悪くない。


そうしてオレは家に帰ることを決めた。















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