後悔して転生できたから、好きに生きよう的物語

月田優魔

・・・なんで、どうしてこんなことに・・・


夢の中でオレは思う
こんなはずじゃなかった


・・・もし生まれ変わることができるなら・・・


・・・その時は、オレは絶対・・・


・・・後悔しないように生きよう、と。




「うぅ〜ん」


暗い部屋の中でオレは目を覚ました。
締め切ったカーテンの隙間からは太陽の光が差し込んでいる。


「もう昼か・・」


オレはダルそうに声をだし、上半身を起こした。
周りを見渡すと、部屋の中は足場もないほど散らかっている。


「嫌な夢を見たな」


頭をかいてそう呟いた。


オレの名前は山田太郎やまだたろう。絶賛引きこもり中の15歳。
中学生の時、親と大喧嘩をして、自暴自棄になり、生活が乱れて、学校に行けなくなってしまった。以来、ずっと引きこもりをしている。その時のことを未だに後悔して引きずっている。
なんとか高校には行けているが、引きこもりから抜け出せなくて、家でずっと小説を読んでいた。


「いいなぁ。転生して人生をやり直すとか。憧れるなあ」


小説の中では、主人公が転生して、楽しく生きている様が描写されたいた。
そんな主人公に自分を投影して、小説の中の世界に飛び込み、主人公になりきり、小説を読むことを楽しんでいた。


「オレもチート級の能力を持って人生を面白おかしくやり直してみたいなあ・・・って、無理か」


現実にそんな都合のいいことが起きるわけがない。
理屈ではそうわかっている。
しかし後悔している気持ちがそんなありもしない希望を見させていた。


「現実逃避ばかりしてないで、昼メシでも買いに行くか」


そうして靴を履き玄関を開けるとオレはコンビニへと歩きだした。
暗い部屋からでたせいか太陽が眩しく目がチカチカする。




そんな時、


「ブヴーーーーーーーー」


大きな音が鼓膜を震わす。
その瞬間俺は時間が止まったかのように思えた。
よく見ると信号は赤だった
俺はようやく状況を理解する。


(しまった、眩しくてみえなかったっ!?)


その車は大型トラックだった。
直撃して生きてはいられないだろう。
オレは頭が真っ白になった。
そして急速に頭の中を過去の映像が過ぎ去っていく。


(これが…走馬灯・・・オレ、死ぬんだ・・・)


現実では一瞬だったはずなのに、頭の中では10秒近くに感じた。


(オレの人生楽しいことなんかほとんどなかったなあ)


(もし・・もしも、生まれ変わることができるなら)


(そのときは、オレは絶対・・・)




その日、オレは死んだ。

















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