平穏を求める実力者

月田優魔

帰り道

 その日、オレと翔太と佐竹と樟葉は一緒に帰っていた。


「犯人って本当にいるのかな?」


 佐竹がそんなことを言い出す。


「そう思いたくなる気持ちも分かるけど、ゲームのルール上いると思うよ。きっと上手く隠してるんだよ」


「翔太の言う通りだとオレも思う」


 犯人がいないんじゃ特別ゲームにならないから、必ずいるはずだ。


「でも、だとしたら誰なんだろう?」


 樟葉が首をかしげる。


「オレは全然分からない。二人はどうだ?」


 翔太と佐竹に尋ねるが二人とも首を横に振る。


「それにしてもさ、20万円もくれるなんて学校も太っ腹だよね」


「僕もそう思う。絶対普通じゃないよ」


 樟葉の言う通り、確かにお金回りが良すぎる気がする。それほどの金が出るからには有力なバックがいるはずだ。


「でも少ないならともかく、多い分には大丈夫なんじゃないか」


「そうかな?僕は不安だよ。金銭感覚がおかしくなりそうで……」


「わ、わたしもそう思います」


 オレは大丈夫だと思ったが、翔太と佐竹は大丈夫じゃないようだ。まぁ、金銭感覚なんて人それぞれだからな…


「でもさ、犯人当てなきゃ賞金10万円しか貰えないんだよね。どうせなら、犯人当てて30万円貰いたいな」


 樟葉は犯人当てゲームに前向きなようだ。


「オレもだな。お金は多いに越したことはないし、犯人を当ててみたいしな」


「へぇ、だったら月田くんは犯人誰かわかるの?」


 樟葉がニヤニヤしながら意地悪に訊いてくる。


「オレの特殊能力『魔眼』を使えば一発よ」


「月田くん……その冗談面白くない」


 冗談ではないんだが、どうやらウケなかったようだ。
 凍えるように冷たい空気が張り詰める。


「と、とにかく、まだあと二日あるんだし、その間に犯人が動くかもしれないから、みんなで頑張って犯人見つけような」


「そ、そうですね、私も賛成です」


 オレの呼びかけに佐竹が応えて、なんとか凍える空気を脱することができた。


「あ、そういえば、僕用事があるんだった。ごめんだけど先にかえってもいいかな」


「私も今日は早めに帰りたいんだけど、いいかな」


 翔太と樟葉が先に帰り、オレと佐竹が残る。
 オレ達は二人で話しながら帰った。



「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く